トリドール(3397)は買い?株主優待は魅力的でも「今は待つ」と判断した理由

丸亀製麺でおなじみのトリドールホールディングス(3397)。
株主優待は年2回。丸亀製麺を普段から利用する人にとっては使いやすく、長期保有株主への優遇制度もあります。
さらに業績を2018年までさかのぼって確認すると、売上規模は大きく成長。主力の丸亀製麺は好調を維持し、近年は海外事業の利益も改善してきました。
ここまで見ると、
「株主優待をもらいながら長期保有するには、かなり良い銘柄なのでは?」
と思います。
私も会社そのものについては魅力を感じています。
ところが、現在の株価やPER、配当・優待を合わせた総合利回りまで確認すると、結論は少し変わりました。
トリドールは買いたい会社。
ただし、今の株価では急いで買わなくてもいい。
これが今回の結論です。
株式投資では、良い会社を見つけることと、その株を良い価格で買うことは別です。
そこで本記事では、2018年以降の業績、丸亀製麺の強さ、海外事業、株主優待、配当、財務、現在の株価まで確認しながら、
「トリドールは株主優待目的で買ってもいいのか?」
「中長期で保有できる銘柄なのか?」
「私はいくらまで下がれば買いたいのか?」
を、投資初心者の方にも分かりやすく整理していきます。
① トリドールホールディングス(3397)はどんな会社?
トリドールホールディングス(3397)という会社名だけでは、あまり馴染みがない方もいるかもしれません。
しかし、
「丸亀製麺を運営している会社」
と聞けば、一気に身近になるのではないでしょうか。
トリドールホールディングスは、讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を中心に、国内外で複数の飲食ブランドを展開している外食企業です。
今回この会社を見るうえで、まず押さえておきたいのは、
「国内の丸亀製麺で安定して稼ぎながら、海外事業でさらに成長を目指している会社」
ということです。
最大の強みは丸亀製麺
トリドールの中心にあるのは、やはり丸亀製麺です。
各店舗で小麦粉から麺を打ち、できたてのうどんを提供するスタイルが特徴で、
「安いうどんを食べる店」ではなく、「丸亀製麺を食べに行く店」
というブランドを作っています。
これは外食企業にとって大きな強みです。
価格だけで選ばれる店は、競合店がさらに安い商品を出せば顧客が流れやすくなります。
一方で、商品や店舗そのものに魅力があれば、多少値上げをしても顧客が残りやすくなります。
原材料費や人件費が上昇する現在の外食業界では、こうした価格以外の強みを持っているかが重要になります。
次の成長を担うのが海外事業
一方、日本国内だけで店舗を増やし続けるには限界があります。
そこでトリドールが力を入れているのが海外事業です。
海外でもMARUGAME UDONを展開するほか、現地の飲食ブランドをM&Aで取得し、事業規模を拡大してきました。
海外で安定して利益を稼げるようになれば、
国内の丸亀製麺+海外成長
という2本柱を作ることができます。
ただし、海外事業はすべて順調だったわけではありません。
不採算店舗の整理や事業再建も行っており、
大きな成長余地がある一方で、国内事業よりリスクも高い
という点には注意が必要です。
株主優待だけでは判断しない
トリドールは株主優待が魅力的な会社ですが、長期保有するなら優待だけを見て判断するわけにはいきません。
優待を長く受け取り続けるためには、
本業そのものが利益を出し続けられること
が重要だからです。
その意味でも、トリドールを見る場合は、
丸亀製麺が今後も安定して稼げるか
海外事業を第二の収益柱に育てられるか
この2点が大きなポイントになります。
次は2018年までさかのぼり、売上と利益がどのように変化してきたのかを確認していきます。
② 2018年から業績を確認|売上2倍超、利益体質も改善
トリドールを中長期で保有できる銘柄か判断するには、直近の好決算だけでなく、過去からどのように成長してきたのかを見ることが重要です。
2018年までさかのぼって売上収益を確認すると、
| 決算期 | 売上収益 |
|---|---|
| 2018年3月期 | 約1,165億円 |
| 2019年3月期 | 約1,450億円 |
| 2020年3月期 | 約1,565億円 |
| 2023年3月期 | 約1,883億円 |
| 2024年3月期 | 約2,320億円 |
| 2025年3月期 | 約2,682億円 |
| 2026年3月期 | 約2,787億円 |
2018年3月期の約1,165億円から、2026年3月期には約2,787億円。
8年間で売上規模は約2.4倍になっています。
数字だけを見れば、かなり大きく成長した会社です。
売上が増えても利益が伸びなかった時期もある
ただし、トリドールは一直線に成長してきたわけではありません。
2019年3月期には売上収益が大きく増えた一方、営業利益や最終利益は大幅に減少しました。
海外事業や新規ブランドへの投資を進める中で、減損損失などが利益を圧迫したためです。
ここで初心者の方に覚えておいてほしいのが、
「売上が増えている=良い成長」とは限らない
ということです。
店舗を増やしたり企業を買収したりすれば、売上規模は大きくできます。
しかし、その投資から十分な利益を生み出せなければ、株主にとって良い成長とは言えません。
さらに2020年以降はコロナ禍が直撃し、外食企業であるトリドールも大きな影響を受けました。
コロナ後は利益を残す力が改善
一方、近年は状況が大きく変わっています。
事業利益は、
2023年3月期:約70億円
2024年3月期:約143億円
2025年3月期:約182億円
2026年3月期:約215億円
と増加。
事業利益率も、
約3.7% → 約7.7%
まで改善しました。
これは、単純に売上規模を大きくしているだけではなく、
増えた売上をしっかり利益へつなげられるようになってきた
ことを意味します。
以前は「売上は伸びても利益が残りにくい」という課題がありましたが、近年は利益面まで改善していることが大きな変化です。
業績を見るなら「売上」と「利益」をセットで
今後トリドールの決算を見る場合も、売上だけを見るのではなく、
売上が伸びているか
事業利益も増えているか
利益率が改善しているか
をセットで確認すると分かりやすいでしょう。
2018年から現在までを見る限り、トリドールは、
会社の規模を大きくする成長から、利益を伴う成長へ変化してきた
ことが数字から確認できます。
次は、その利益を支えている中心である丸亀製麺の強さを詳しく見ていきます。
③ 主力の丸亀製麺はなぜ強い?過去最高益を支えるブランド力
トリドールの業績を支えている中心は、やはり丸亀製麺です。
2026年3月期の丸亀製麺セグメントは、
売上収益:約1,372億円
事業利益:約220億円
となり、売上・事業利益ともに過去最高を更新しました。
原材料価格や人件費、水道光熱費などが上昇する厳しい環境でも、利益を伸ばしている点は重要です。
丸亀製麺の強みは「安さ」だけではない
丸亀製麺では、各店舗で小麦粉から麺を打ち、できたてのうどんを提供しています。
目の前で調理される様子や、自分で天ぷらなどを選ぶ店舗体験まで含めて、
「丸亀製麺で食べたい」
という理由を作れていることが強みです。
単純な価格競争だけに頼っていないため、一定のブランド力があります。
これは外食企業にとって非常に重要です。
値上げ後も最高益を更新
近年は原材料費や人件費の上昇を受け、丸亀製麺も価格改定を行っています。
それでも2026年3月期に売上・事業利益とも過去最高となったことから、現時点では、
値上げをしながらでも顧客を維持し、利益を確保できている
と見ることができます。
外食企業では、値上げによって客数が大きく減ると業績に響きます。
そのため今後は、単に売上が増えているかだけでなく、
値上げ後も客数が維持できているか
を確認することが重要です。
今後は既存店売上を確認したい
丸亀製麺を見るうえで、分かりやすい指標が既存店売上高です。
新店舗を増やせば会社全体の売上は伸ばせます。
しかし既存店売上が伸びていれば、
「以前からある店舗そのものが成長している」
ことが分かります。
中長期でトリドールを保有する場合は、
既存店売上が前年を上回っているか
値上げ後も客数が大きく減っていないか
利益率を維持できているか
この3点を中心に確認すれば、丸亀製麺の強さが続いているか判断しやすいでしょう。
2026年3月期までを見る限り、主力の丸亀製麺は、コスト上昇を吸収しながら売上・利益ともに成長しています。
次は、国内の丸亀製麺とは対照的に、トリドールの今後の成長を左右する海外事業を確認していきます。
④ 海外事業は成長の柱になれるのか?
トリドールが今後さらに成長するためには、海外事業が重要になります。
国内の丸亀製麺はすでに大きな事業へ成長しているため、今後は、
国内で安定して稼ぎながら、海外でどこまで利益を伸ばせるか
がポイントになります。
海外売上より「利益改善」に注目
2026年3月期の海外事業は、
売上収益:約1,019億円
事業利益:約53億円
となりました。
売上は前期比で減少しましたが、事業利益は大幅に増加しています。
これは、不採算店舗を整理しながら収益性を改善しているためです。
海外事業を見るときは、
「何店舗増えたか」「売上がどれだけ増えたか」
だけではなく、
「きちんと利益が残っているか」
を見ることが重要です。
MARUGAME UDONは成長期待、英国事業は再建中
海外の中でも、MARUGAME UDONは台湾などのアジア地域を中心に比較的順調に成長しています。
国内で培った丸亀製麺の仕組みが海外でも定着すれば、トリドールにとって大きな成長材料になります。
一方、英国を中心とする事業では苦戦もありました。
不採算店舗の整理や事業売却などを進めており、
海外展開がすべて成功しているわけではありません。
ここは注意が必要です。
ただし、利益の出ない事業を抱え続けるのではなく、整理を進めている点は今後を見るうえで重要です。
直近では海外利益がさらに改善
2027年3月期第1四半期では、海外事業の事業利益が前年同期比で大きく増加し、第1四半期として過去最高となりました。
台湾などのMARUGAME UDONやTam Jaiが好調に推移しており、海外事業全体としては改善傾向が続いています。
今後確認したいのは、
海外事業の売上ではなく、事業利益が継続して増えているか
です。
海外事業が安定して利益を生み出せるようになれば、国内の丸亀製麺に続く第二の収益柱になる可能性があります。
一方で、再び大きな減損や不採算事業が増えるようであれば注意が必要です。
現時点では、
成長期待はあるが、まだ国内丸亀製麺ほど安心できる段階ではない
と見るのが分かりやすいでしょう。
⑤ 株主優待はかなり魅力的|長期保有優遇にも注目
トリドールを検討する大きな理由のひとつが、株主優待です。
現在は毎年3月末と9月末の年2回、保有株数に応じて国内グループ店舗で利用できる株主優待カードが贈られます。
| 保有株数 | 1回あたり | 年間 |
|---|---|---|
| 100株以上 | 3,000円相当 | 6,000円相当 |
| 200株以上 | 4,000円相当 | 8,000円相当 |
| 1,000株以上 | 10,000円相当 | 20,000円相当 |
| 2,000株以上 | 15,000円相当 | 30,000円相当 |
100株でも年間6,000円相当になるため、丸亀製麺を普段から利用する人には使いやすい優待です。
200株を1年以上保有すると年間14,000円相当
さらに注目したいのが、長期保有優遇制度です。
200株以上を1年以上継続保有すると、通常の優待に加えて1回3,000円相当が追加されます。
200株の場合は、
通常優待4,000円
+長期保有優待3,000円
で1回7,000円相当。
年2回なので、
年間14,000円相当
になります。
短期的に株主を集めるだけではなく、長く保有する株主を優遇する仕組みになっています。
2018年以降、優待制度を段階的に拡充
今回2018年までさかのぼって確認すると、現在の優待制度が突然作られたものではないことも分かりました。
2018年当時は9月末の年1回で、100株以上500株未満なら2,000円相当でした。
その後、
2019年3月から年2回へ拡充。
さらに2019年には優待金額を引き上げ、200株以上を1年以上保有する株主への長期保有優遇制度も新設しています。
2020年の株式分割後も制度を組み直し、現在の100株3,000円相当という形につながっています。
つまりトリドールは、少なくとも2018年以降、
株主優待を継続しながら、段階的に制度を充実させてきた
ことになります。
優待は「金額」だけでなく使いやすさも重要
株主優待では、額面が高ければ必ず良いとは限りません。
年間1万円相当でも、自分が利用しない店舗の優待なら実際の価値は低くなります。
その点、普段から丸亀製麺を利用する人であれば、トリドールの優待は比較的使いやすいでしょう。
一方で、
「6,000円もらえるからお得」
だけで判断するのは早いです。
現在の株価では100株購入にも40万円以上必要になるため、
その投資額に対して優待と配当を合わせた利回りがどの程度になるのか
まで確認する必要があります。
この総合利回りについては、後ほど現在の株価と合わせて詳しく見ていきます。
⑥ 配当利回りは低いが、累進配当はプラス材料
株主優待が魅力的なトリドールですが、配当金についてはそれほど高くありません。
2027年3月期の予想配当は、
1株12円
です。
100株保有しても年間配当は1,200円程度となるため、現在の株価水準では配当利回りはかなり低い部類に入ります。
したがって、
「配当金をたくさん受け取りたい」
という目的で買う銘柄ではありません。
近年は少しずつ増配している
一方、配当額の推移を見ると、少しずつ改善しています。
| 決算期 | 1株当たり年間配当 |
|---|---|
| 2021年3月期 | 4.5円 |
| 2022年3月期 | 7.5円 |
| 2023年3月期 | 7.5円 |
| 2024年3月期 | 9円 |
| 2025年3月期 | 10円 |
| 2026年3月期 | 11円 |
| 2027年3月期予想 | 12円 |
2021年3月期の4.5円から見ると、2027年3月期予想では12円まで増えています。
金額そのものはまだ小さいものの、
配当を少しずつ増やしてきた流れ
は確認できます。
「累進配当」を基本方針に
さらに注目したいのが、会社が現在累進配当を基本方針としていることです。
累進配当とは簡単に言えば、
原則として配当を減らさず、維持または増配していく考え方
です。
たとえば現在12円なら、今後も12円を維持するか、業績が伸びれば13円、15円と増やしていくことを目指します。
もちろん、将来の減配が絶対にないという意味ではありません。
それでも、会社自身が安定的な配当を意識していることは、中長期保有ではプラス材料になります。
トリドールは「高配当株」ではなく「成長+優待+増配」
現在のトリドールを見ると、配当だけでは魅力は弱いです。
しかし、
株主優待がある
業績成長が続いている
累進配当を基本方針としている
という3つを合わせて考えると、見方は少し変わります。
今すぐ高い配当を受け取るのではなく、
会社の成長に合わせて、将来的に配当も育っていくことを期待する銘柄
という位置づけです。
そのためトリドールは、配当利回りだけで判断するよりも、
株主優待と配当を合わせた総合還元
で見る方が実態に合っています。
ただし、配当や優待が魅力的でも、財務が弱ければ長期保有では不安が残ります。
次は、自己資本比率や負債を確認しながら、トリドールの財務は本当に大丈夫なのかを見ていきます。
⑦ 財務は少し注意|自己資本比率約30%をどう見る?
中長期で株を保有するなら、業績や株主優待だけでなく財務の安全性も確認しておきたいところです。
2026年3月期のトリドールは、自己資本比率に相当する「親会社所有者帰属持分比率」が、
29.9%
となっています。
2024年3月期25.1%、2025年3月期27.0%、2026年3月期29.9%と改善しているものの、一般的に財務がかなり強い会社といえる水準ではありません。
外食企業はリース負債が大きくなりやすい
ただし、トリドールの財務を見る場合は少し注意が必要です。
2026年3月期末には、
1年以内のリース負債:約220億円
1年超のリース負債:約771億円
があり、合計すると約991億円になります。
外食企業は多くの店舗を賃借しているため、将来支払う店舗賃料などが会計上リース負債として計上されます。
そのため、
「負債が多い=すべて銀行から借りた借金」
というわけではありません。
とはいえ、将来支払う必要がある負債であることに変わりはないため、無視してよい数字でもありません。
現金と営業キャッシュフローは確保
一方、2026年3月期末の現金及び現金同等物は、
約699億円
あります。
さらに2026年3月期には、営業活動によって約492億円のキャッシュを生み出しています。
つまり、
自己資本比率は高くないものの、
本業から現金を生み出す力はある
ことも確認できます。
財務を見る場合は、自己資本比率だけで判断するのではなく、
現金をどれだけ持っているか
本業からキャッシュを生み出せているか
も合わせて見る必要があります。
注意したいのは減損損失
もうひとつ確認しておきたいのが、2026年3月期に約114億円の減損損失を計上していることです。
トリドールは海外M&Aや出店を積極的に行っています。
そのため、買収した企業や店舗が想定ほど利益を出せなければ、資産価値を引き下げる減損が発生する可能性があります。
今後財務を確認するときは、
自己資本比率が改善しているか
営業キャッシュフローを安定して確保できているか
海外M&Aによる大規模な減損が繰り返されていないか
この3点を見ておくと分かりやすいでしょう。
現時点では、自己資本比率は高くないものの改善傾向にあり、一定の現金と営業キャッシュフローも確保しています。
次は、ここまで確認した会社の内容に対して、現在の株価が高いのか安いのかを見ていきます。
⑧ 現在の株価は割安とは言いにくい|PER約53倍をどう見る?
ここまでトリドールについて、
業績は成長している。
丸亀製麺は強い。
海外事業も改善している。
株主優待も魅力的。
ということが分かりました。
それでも、株式投資ではもうひとつ重要な確認があります。
それが、
「今の株価で買ってよいのか」
という点です。
2026年9月11日の終値は、
4,257円
でした。
100株購入するには、
約42万6,000円
必要です。
PERは約53倍
現在の予想PERは、
約53倍
です。
PERとは簡単に言えば、
会社が稼いでいる利益に対して、株価が何倍まで買われているか
を示す指標です。
PERが高いほど、
「今後もっと利益が増えるだろう」
という期待が株価に織り込まれていることが多くなります。
トリドールの場合も、
丸亀製麺の成長
海外事業の改善
今後の増益
といった期待が、かなり株価に反映されていると考えられます。
高PER銘柄は「悪い決算」だけが怖いわけではない
高PER銘柄で注意したいのは、
業績が悪化したときだけ株価が下がるわけではない
ということです。
たとえば市場が、
「利益が30%増える」
と期待しているのに、実際は20%増だった場合。
20%増益なら十分良い決算です。
しかし市場の期待には届いていないため、
良い決算なのに株価が下がる
ことがあります。
現在のトリドールは、まさにこうした「成長期待の高い株」に近い位置づけです。
PBRも約3.9倍
PBRも、
約3.9倍
となっています。
PBRは、会社の純資産に対して株価が何倍まで評価されているかを見る指標です。
ブランド力のある成長企業の場合、PBRが高いこと自体は珍しくありません。
ただし、
PER約53倍、PBR約3.9倍
という数字を見る限り、
「割安に放置されている銘柄」
とは言いにくいでしょう。
年初来安値は3,492円
2026年には一時、
3,492円
まで下落しています。
現在の4,257円と比べると、100株で約7万6,000円の差になります。
同じ会社。
同じ株主優待。
同じ100株。
それでも、買う時期によって投資金額は大きく変わります。
ここが株式投資で「買値」が重要になる理由です。
「以前より安い」と「割安」は違う
初心者の方には、ここを特に覚えておいてほしいと思います。
株価が4,600円から4,000円へ下がれば、
「かなり安くなった」
ように見えます。
しかし、それはあくまで、
以前より安くなった
だけです。
本当に割安かどうかは、
業績
利益成長
PER
PBR
将来性
などを合わせて判断する必要があります。
トリドールについては、会社の成長力は評価できますが、現在の株価にはその期待もかなり織り込まれています。
したがって、
良い会社だから今すぐ買う
のではなく、
良い会社を、できるだけ納得できる価格で買う
という考え方が重要になります。
次は、現在の株価で100株・200株を買った場合に、株主優待と配当を合わせた総合利回りがどの程度になるのかを確認していきます。
⑨ 株主優待と配当を合わせると本当にお得?
トリドールの株主優待は魅力的ですが、優待額だけを見て判断するのは危険です。
大切なのは、
「その優待をもらうために、いくら投資する必要があるのか」
です。
そこで、2026年9月11日の終値4,257円を使って、100株と200株の総合利回りを計算してみます。
100株の場合
100株購入するには、
4,257円×100株=425,700円
必要です。
年間の株主優待は6,000円相当。
予想配当は1株12円なので、100株なら年間1,200円です。
したがって、
優待6,000円+配当1,200円=年間7,200円相当
となります。
投資金額425,700円に対する総合利回りは、
約1.69%
です。
年間6,000円の優待と聞くと魅力的に感じますが、
約42万円を投資して年間7,200円相当
と考えると、高利回りとは言いにくいことが分かります。
200株は1年以上持ってから魅力が増す
次に200株です。
現在の株価なら投資額は、
約85万1,000円
です。
通常の優待は年間8,000円相当。
配当は年間2,400円なので、1年未満では、
年間10,400円相当
となります。
総合利回りは約1.22%です。
つまり、最初の1年間は100株より利回りが低くなります。
ただし、200株以上を1年以上継続保有すると、長期保有優待が加わり、年間優待額は14,000円相当になります。
配当を合わせると、
年間16,400円相当
となり、総合利回りは約1.93%まで上がります。
「何株持つか」でも効率は変わる
整理すると、
| 保有株数 | 年間優待 | 年間配当 | 総合利回り |
|---|---|---|---|
| 100株 | 6,000円 | 1,200円 | 約1.69% |
| 200株・1年未満 | 8,000円 | 2,400円 | 約1.22% |
| 200株・1年以上 | 14,000円 | 2,400円 | 約1.93% |
このように、保有株数を増やせば必ず効率が良くなるわけではありません。
特に200株は、長期保有条件を満たして初めて優待の魅力が大きくなる仕組みです。
優待目的だけなら利回りは高くない
現在の株価では、100株でも200株でも総合利回りは2%前後です。
そのためトリドールは、
「高い優待利回りを狙う銘柄」
ではありません。
むしろ、
会社の成長に期待しながら、株主優待を楽しむ銘柄
と考える方が自然です。
また、優待は実際に使って初めて価値があります。
丸亀製麺を普段から利用する人であれば額面どおり使いやすいですが、利用しない人にとっては実質的な価値は下がります。
次は、トリドールが今後も現在の高い株価を正当化できるだけの成長余地があるのかを確認していきます。
⑩ 今後も成長は続く?2027年・2028年の計画を確認
現在のトリドールはPER約53倍と、将来の成長期待がかなり株価に織り込まれています。
そのため中長期で保有するなら、
「今後も本当に利益を伸ばせるのか」
を確認する必要があります。
まず2027年3月期の会社予想は、
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 約2,787億円 | 約2,870億円 |
| 事業利益 | 約215億円 | 約220億円 |
| 営業利益 | 約106億円 | 約170億円 |
| 親会社帰属利益 | 約23億円 | 約70億円 |
となっています。
売上収益は約3%増と比較的緩やかな成長ですが、営業利益や最終利益は大幅な増加を見込んでいます。
今後は「売上拡大」より利益率改善が重要
注目したいのは、
売上の伸び以上に利益を伸ばそうとしていること
です。
過去のトリドールには、売上は増えても利益が十分に残らない時期がありました。
現在は不採算店舗や海外事業を整理しながら、
売上規模よりも収益性を高める方向
へ変わりつつあります。
この利益率改善が計画どおり進めば、現在の高い株価を支える材料になります。
反対に、売上だけ増えて利益が伸びなくなれば、高PERを維持するのは難しくなる可能性があります。
2028年3月期は売上3,000億円超を計画
さらに会社は2028年3月期について、
売上収益3,050億円
事業利益240億円
営業利益200億円
ROE8%以上
を目標としています。
2018年3月期の売上収益は約1,165億円でした。
計画どおり2028年3月期に3,050億円へ到達すれば、
10年間で売上規模は約2.6倍
となります。
ただし、ここでも売上3,000億円という数字だけを見るのではなく、
その売上からどれだけ利益を残せるか
が重要です。
高PERは利益成長で下げることができる
PERは、利益が増えれば株価が変わらなくても低下します。
たとえば今後利益が大きく伸びれば、
PER53倍
↓
40倍
↓
30倍
というように、現在の割高感が徐々に薄れていく可能性があります。
これが成長株へ投資する考え方です。
一方で、
丸亀製麺の成長鈍化
海外事業の再悪化
利益率改善の遅れ
などが起きれば、
成長期待が株価から剥がれ、大きく調整する可能性
もあります。
そのため今後の決算では、
丸亀製麺の既存店売上
海外事業の利益
会社全体の利益率
この3点を中心に確認していけば、成長計画が順調に進んでいるか判断しやすいでしょう。
トリドールには今後も成長余地があります。
ただし現在の株価には、その成長への期待もかなり織り込まれています。
次は、ここまで確認した内容を踏まえて、どんな人ならトリドールを買ってもよく、どんな人には向かないのかを整理していきます。
⑪ トリドールはどんな人に向いている?
ここまで確認すると、トリドールは、
株主優待が魅力的だから誰にでもおすすめできる銘柄
というわけではありません。
現在の株価は割安とは言いにくく、配当利回りも低いため、投資目的によって評価が大きく変わります。
向いているのは「成長+優待」を長く楽しみたい人
まず相性が良いのは、丸亀製麺を普段から利用している人です。
100株でも年間6,000円相当の優待を受け取れるため、もともと利用している人なら優待を無理なく使いやすくなります。
さらに、
5年程度の中長期で保有できる人
にも向いています。
トリドールは国内の丸亀製麺に加え、海外事業の成長にも取り組んでいます。
短期間の値上がりより、
会社の成長を見ながら、その間に株主優待も楽しむ
という持ち方の方が、この銘柄には合っています。
また、株価が一時的に下落しても、丸亀製麺や海外事業の業績を確認して冷静に保有できることも重要です。
反対に高配当・割安株を求める人には向かない
一方、
配当利回り3%以上の高配当株が欲しい人
には向いていません。
予想配当利回りは約0.28%と低く、配当目的で選ぶ銘柄ではないからです。
また、
配当+優待で総合利回り4%以上
を狙う場合も、現在の株価では条件に届きません。
割安株を探している人にとっても、PER約53倍、PBR約3.9倍という水準は気になるところです。
「優待が欲しいだけ」で買うのも注意
特に注意したいのが、
「丸亀製麺の優待が欲しいから買う」
というケースです。
100株購入には現在約42万円必要です。
一方、年間優待は6,000円相当。
仮に株価が10%下落すれば、100株では4万円以上の含み損になります。
優待数年分より、株価の値動きの方がはるかに大きいわけです。
そのため、優待だけではなく、
丸亀製麺の事業そのものや、今後の成長にも期待できるか
まで考えて購入することが大切です。
最初は100株から考えるのが分かりやすい
トリドールには200株以上を1年以上保有すると長期保有優待があります。
しかし200株を現在の株価で購入すると、約85万円必要です。
優待を増やしたいからといって、最初から200株購入する必要はありません。
まず100株で保有し、
業績を見る。
実際に優待を使う。
株価の動きを見る。
そのうえで、
「この会社なら長く持ちたい」
と思えた段階で200株への買い増しを検討する方が、初心者には分かりやすいでしょう。
トリドールは、
高利回りを取りに行く銘柄ではなく、成長企業を長期保有しながら優待も楽しむ銘柄
という位置づけが合っています。
次は、ここまでの分析をすべて踏まえて、私なら実際にいくらで買うのかを価格帯ごとに整理していきます。
⑫ 私ならいくらで買う?価格帯ごとに考える
トリドールは会社としては魅力がありますが、現在の4,200円台では割安感がありません。
そこで私なら、あらかじめ価格帯ごとの行動を決めておきます。
4,200円前後なら「待つ」
2026年9月11日の終値は4,257円。
PER約53倍、PBR約3.9倍、総合利回りも100株で約1.7%です。
この水準では、
「優待が欲しいから、とりあえず100株」
とは考えません。
会社の成長期待までかなり株価へ織り込まれているため、まずは監視を続けます。
3,500円前後なら再度詳しく確認
次に意識するのが、
3,500円前後
です。
2026年には3,492円まで下落した場面がありました。
3,500円なら100株で35万円。
現在より約7万6,000円少ない資金で購入できます。
ただし、
3,500円になったから自動的に買うわけではありません。
ここで必ず確認したいのが、株価が下がった理由です。
市場全体の下落や一時的な外食株売りによって下がっただけで、
丸亀製麺の業績
海外事業の利益
株主優待
配当方針
に問題がなければ、購入候補としてかなり気になってきます。
反対に、業績悪化や大幅な下方修正によって3,500円になったのであれば、安くなったとは限りません。
3,000円台前半なら100株を本格検討
さらに、
3,000円台前半
まで下落し、それでも会社の中身に問題がなければ、100株購入をかなり本格的に検討します。
仮に3,200円なら100株で32万円。
現在の4,257円と比較すると、約10万円少ない資金で購入できます。
同じ100株なので、受け取れる株主優待は年間6,000円相当のなので、受け取れる株主優待は年間6,000円相当のままです。
つまり、
良い会社のまま株価だけ安くなれば、投資条件はかなり良くなる
ということです。
最初から200株は買わない
長期保有優待を考えると200株も魅力がありますが、最初から200株を購入する必要はないと考えます。
まず100株。
その後も業績が順調で、さらに株価が下がる場面があれば100株追加し、200株へ増やす。
この方が購入単価を分散できます。
重要なのは、
「下がったから買い増す」のではなく、「下がっても会社の内容が変わっていないから買い増す」
ことです。
現在の私の目安を整理すると、
4,200円前後:待つ
3,500円前後:再分析
3,000円台前半:100株を本格検討
となります。
株価がそのまま5,000円へ上がってしまう可能性もあります。
その場合は無理に追いかけません。
株式市場には他にも多くの銘柄があります。
欲しい株だからこそ、納得できる価格まで待つ。
トリドールについては、この考え方で見ていきたいと思います。
⑬ まとめ|トリドールは「買いたい会社」だが今は待つ
今回は、トリドールホールディングス(3397)について、2018年までさかのぼって業績、丸亀製麺、海外事業、株主優待、配当、財務、現在の株価まで確認してきました。
最初に結論を言うと、私の評価は、
「会社としてはかなり魅力的。ただし、今の株価では急いで買わない」
です。
これは、トリドールを悪く評価しているからではありません。
むしろ調べれば調べるほど、
「株主優待だけの銘柄ではない」
と感じました。
丸亀製麺は、やはり大きな強み
一番評価しているのは、やはり丸亀製麺です。
店内製麺という分かりやすい特徴があり、単純な安売りだけに頼っていません。
原材料費や人件費が上がる中でも値上げを行い、それでも売上・利益を伸ばしている。
これは、
「安いから行く店」ではなく、「丸亀製麺だから行く店」
になっている証拠のひとつだと考えています。
私はトリドールへ投資するなら、まずこの国内丸亀製麺が崩れていないことを最優先で確認します。
ここが強い限り、会社全体を見るうえで大きな安心材料になります。
海外事業は期待するが、まだ全面的には信用しない
海外事業については、以前よりかなり良くなっています。
売上を追いかけるだけではなく、不採算店舗を整理し、利益重視へ変わってきた点は評価できます。
一方で、過去には英国事業などで苦戦し、減損も発生しています。
そのため私は、
「海外事業は成長材料ではあるが、まだ丸亀製麺ほど安心して見ていない」
という立場です。
今後数年間、海外事業の利益が安定して増えることが確認できれば、トリドールの評価はさらに上がります。
株主優待はかなり魅力的
株主優待については高く評価しています。
100株なら年間6,000円相当。
200株を1年以上継続保有すれば年間14,000円相当。
さらに2018年以降を確認すると、突然高額優待を始めた会社ではなく、長い時間をかけて優待制度を拡充してきました。
ここは安心材料です。
特に丸亀製麺を普段利用する人にとっては、実際に使いやすい優待です。
ただし、
「6,000円もらえるから買う」
という考え方はしません。
現在は100株購入するだけでも40万円以上必要です。
優待額だけではなく、投資金額とのバランスを見る必要があります。
配当は△、配当方針は○
配当については、正直に言えば魅力は弱いです。
現在の配当利回りはかなり低く、高配当株として買う銘柄ではありません。
ただし、
2021年3月期4.5円
↓
2027年3月期12円予想
と増配してきた点、さらに累進配当を基本方針としている点は評価しています。
したがって私の整理では、
配当そのものは△。
配当方針は○。
となります。
今すぐ高い配当をもらう株ではなく、会社の成長と一緒に将来の配当も育つことを期待する銘柄です。
財務はやや注意
財務については、手放しで安心とは言えません。
自己資本比率は約30%。
私が普段ひとつの基準としている50%以上から見ると低い水準です。
一方で、外食企業特有のリース負債が大きいことや、営業キャッシュフローをしっかり確保していることまで見ると、
「危険だから買ってはいけない」
という状態ではありません。
私の評価は、
財務は△。ただし改善傾向は○。
です。
今後、大型M&Aによる負債増加や減損が繰り返されるようなら注意したいところです。
最後に引っかかったのが株価
ここまで見ると、
「それなら買っていいのでは?」
と思うかもしれません。
私も会社だけを見れば買いたいです。
しかし、最後に株価を確認すると判断が変わりました。
2026年9月11日の終値は4,257円。
PER約53倍、PBR約3.9倍。
これは、
丸亀製麺の強さや海外成長への期待が、かなり株価に織り込まれている
水準だと考えています。
良い会社であることと、良い買い場であることは別です。
今回トリドールを調べて、改めてここを感じました。
私ならこうする
現在の私の行動はシンプルです。
4,200円前後では買わずに監視。
3,500円前後まで下がれば、
丸亀製麺の既存店売上、
海外事業の利益、
株主優待、
配当方針
をもう一度確認します。
さらに3,000円台前半まで下がり、それでも会社の内容が変わっていなければ、
まず100株購入をかなり真剣に検討します。
最初から200株は買いません。
まず100株で優待を受け取りながら会社を見て、さらに下落しても業績が問題なければ200株へ増やす。
このくらいの距離感が、私には合っています。
最終評価
最後に今回の評価を整理すると、
| 項目 | 私の評価 |
|---|---|
| 丸亀製麺 | ◎ |
| 業績成長 | ○~◎ |
| 海外事業 | ○ |
| 株主優待 | ◎ |
| 長期保有との相性 | ◎ |
| 配当利回り | △ |
| 配当方針 | ○ |
| 財務 | △ |
| 成長余地 | ○~◎ |
| 現在の株価 | × |
こうして並べると、今回の結論が分かりやすくなります。
会社は欲しい。
株主優待も魅力的。
中長期でも保有してみたい。
それでも、
今は買わない。
理由は、会社ではなく価格です。
トリドールは、
「買ってはいけない銘柄」ではなく、「買いたいからこそ安くなるのを待ちたい銘柄」
というのが今回の最終判断です。
株式投資では、良い会社を探すだけではなく、
その良い会社を、自分が納得できる価格で買う。
トリドールは、この考え方が非常に分かりやすい銘柄だと思います。
※本記事は2026年9月時点の企業IR、決算資料、株価情報等をもとに作成しています。業績予想、株主優待制度、配当方針等は今後変更される可能性があります。
※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。







