高配当株の見分け方|利回りだけで買わない初心者向け7つのチェックポイント

「配当利回り5%」
「年間配当100円」
この数字を見ると、
「かなりお得な株では?」
と思ってしまいます。
しかし高配当株は、
利回りが高いほど良い株
というわけではありません。
例えば、
「配当5%なら買っていい?」
「配当性向は何%なら安心?」
「今は高配当でも、減配されたらどうする?」
「DOEや累進配当は何を見ればいい?」
といった疑問を持つ方も多いと思います。
実際、株価が大きく下落した結果、見かけ上の配当利回りだけが高くなっている銘柄もあります。
また、現在の配当は高くても、
業績悪化
配当性向の上昇
借入金の増加
などが続けば、将来減配される可能性もあります。
そのため私は、
配当利回りだけを見て高配当株を買うことはありません。
私が見るのは、
「今いくらもらえるか」ではなく、「この配当を今後も続けられる会社なのか」
という点です。
この記事では、高配当株を選ぶときに私が確認している
7つのチェックポイント
を、株式投資を始めたばかりの方にも分かるように解説します。
配当3%、4%、5%という数字だけに惑わされず、
「長く配当を受け取り続けられる銘柄か」
を判断できるようになることを目指します。
まずは、
そもそも何%から高配当株と考えるのか
から確認していきましょう。
① 高配当株は何%から?私は3%以上を一つの目安にする
高配当株を探すとき、まず気になるのが、
「配当利回りは何%あれば高配当なの?」
という点だと思います。
私は、
配当利回り3%以上
を一つの目安にしています。
ただし、
3%以上なら買う
という意味ではありません。
私にとって3%は、
「詳しく調べてみる銘柄を探すための入口」
です。
配当利回りの計算方法
配当利回りは、
1株あたり年間配当 ÷ 株価 × 100
で計算します。
例えば、
株価1,000円
年間配当40円
なら、
40円 ÷ 1,000円 × 100=4%
です。
非常に分かりやすい数字ですが、ここで注意したいことがあります。
注意① 株価が急落すると利回りだけ高く見える
例えば年間配当50円の会社があったとします。
| 株価 | 年間配当 | 配当利回り |
|---|---|---|
| 2,000円 | 50円 | 2.5% |
| 1,500円 | 50円 | 3.3% |
| 1,000円 | 50円 | 5.0% |
配当は50円のままなのに、株価が下がるだけで利回りは5%まで上がります。
問題は、
なぜ株価が2,000円から1,000円まで下がったのか
です。
もし、
業績悪化
赤字転落
減配懸念
財務悪化
などが原因なら、5%という高い利回りは、
「お買い得だから高い」のではなく、「危険だから株価が下がって高く見えている」
可能性があります。
注意② 予想配当は確定ではない
株情報サイトに表示されている配当利回りは、多くの場合、
会社が発表している年間配当予想
をもとに計算されています。
例えば、
株価1,000円
年間配当予想50円
なら利回り5%です。
しかし業績が悪化し、
年間配当50円
↓
30円へ減配
となれば、
実際の利回りは3%になります。
つまり、
現在表示されている利回りが、そのまま受け取れるとは限りません。
高配当株を見るときは、
「利回り何%?」
だけでなく、
「その配当を本当に維持できそうか?」
を見る必要があります。
注意③ 記念配当・特別配当が含まれていないか
年間配当が高く見える理由が、
一時的な記念配当や特別配当
という場合もあります。
例えば、
普通配当40円
+
記念配当20円
で年間60円だったとします。
株価1,000円なら、その年の配当利回りは6%です。
しかし翌年、記念配当20円がなくなれば、
年間配当40円
配当利回り4%
へ戻ります。
そのため私は、
「年間配当○円」だけでなく、その中身が普通配当なのか、一時的な配当なのか
まで確認します。
注意④ 過去に何度も減配していないか
現在の配当利回りが高くても、
増配
↓
減配
↓
増配
↓
再び減配
を繰り返している会社なら、長期で安定した配当を受け取れるかは分かりません。
私は高配当株を見るとき、
今の配当額だけでなく、過去5年~10年程度の配当推移
も確認します。
毎年安定して配当を出しているのか。
減配を繰り返していないか。
業績が悪いときにどう対応したのか。
ここを見ると、現在の高配当がどの程度信用できるのか判断しやすくなります。
3%は「買う基準」ではなく「調べる基準」
私が配当利回り3%以上を目安にしているのは、
その数字だけで購入を決めるためではありません。
3%を超えたら、
「この会社はなぜこの利回りなのか?」
と一段深く調べます。
特に、
株価急落で利回りが上がっていないか
配当予想は維持できそうか
記念配当・特別配当が含まれていないか
過去に減配を繰り返していないか
は必ず確認したいところです。
高配当株では、
「何%もらえるか」より、「その配当を何年続けられるか」
の方が重要です。
次は、その持続性を確認するうえで欠かせない、
「配当性向」
について見ていきます。
② 配当性向は高すぎない?無理して配当を出していないか
高配当株を見るとき、配当利回りの次に確認したいのが、
配当性向
です。
配当性向とは、
会社が稼いだ利益のうち、何%を配当に使っているか
を示す数字です。
例えば、
1株利益(EPS)100円
年間配当40円
なら、
配当性向40%
です。
つまり、100円稼いだうち40円を配当として株主に還元し、残り60円を会社に残しているということです。
私は40~50%程度を一つの目安にする
一般企業の場合、私は、
配当性向40~50%程度
を一つの目安にしています。
もちろん、
40%なら安全
50%を超えたら危険
という意味ではありません。
大切なのは、
利益に対して無理なく配当を出しているか
です。
会社には配当以外にも、
設備投資
研究開発
借入金の返済
新しい事業への投資
などにお金が必要です。
配当を出したあとにも余力が残っている会社の方が、長期的には安心して見やすくなります。
70~80%を超えてきたら少し注意する
例えば、
EPS100円
年間配当80円
なら、
配当性向80%
です。
利益の大部分を配当に回していることになります。
業績が良いうちは問題なくても、利益が少し落ちただけで、
現在の配当を維持しにくくなる可能性
があります。
そのため私は、配当性向が70~80%を超えてきたら、
「なぜここまで高いのか」
を確認します。
100%超が続く場合は慎重に見る
例えば、
EPS50円
年間配当60円
なら、
配当性向は120%です。
つまり、
その年に稼いだ利益以上の配当を出している
状態です。
1年だけなら、一時的な利益減少などが原因の場合もあります。
しかし、
100%を超える状態が何年も続いている
のであれば注意が必要です。
この状態を続けるには、会社が持っている現金などを使う必要があり、将来減配につながる可能性があります。
配当性向だけでは決めない
反対に、配当性向が低ければ必ず良いとも限りません。
例えば配当性向20%なら、
将来の増配余地が大きい
と見ることもできますし、
利益を会社に残して成長投資へ使っている
場合もあります。
そのため私は、
配当性向だけで買う・買わないを判断しません。
業績や財務、会社の配当方針と合わせて確認します。
また最近は、
DOEや累進配当
を配当方針に取り入れる会社も増えています。
これらの違いや、減配しにくい配当方針の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ DOE・配当性向・累進配当の違い|減配しにくい高配当株はどれ?
「配当利回りが高い」
↓
「では、その配当を利益の範囲内で無理なく出しているか?」
という順番で見ると分かりやすいと思います。
次は3つ目のチェックポイント、
業績が安定しているか
を確認していきます。
③ 業績は安定している?利益が減っていないか
高配当株で次に確認したいのが、
会社の業績が安定しているか
です。
配当の原資になるのは、基本的には会社が稼いだ利益です。
そのため、今は高い配当を出していても、
利益が毎年減っている会社
では、将来その配当を維持できなくなる可能性があります。
まず見るのは売上高と営業利益
初心者の方は、まず次の2つを見ると分かりやすいです。
売上高
→ 商品やサービスがどれくらい売れたか
営業利益
→ 本業でどれくらい利益を出したか
例えば、
| 年度 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 1年目 | 1,000億円 | 100億円 |
| 2年目 | 1,050億円 | 105億円 |
| 3年目 | 1,100億円 | 110億円 |
のように、安定して伸びている会社なら安心して見やすくなります。
反対に、
売上高は減少
営業利益も毎年減少
しているのに高配当を続けている会社なら、
「この配当はいつまで続けられるのだろう?」
と考えた方がよいでしょう。
純利益だけで判断しない
決算を見ると、
純利益+50%
という数字が目立つことがあります。
しかし純利益には、
土地の売却益
保有株式の売却益
一時的な利益
が含まれることがあります。
そのため、
純利益が増えた=本業が好調
とは限りません。
私はまず、
営業利益がしっかり出ているか
を確認します。
高配当を長く続けてもらうなら、一時的な利益より、
本業で毎年稼げていること
の方が重要です。
直近1年だけで判断しない
高配当株を見るときは、
今年だけ良い
ではなく、数年間の業績を確認します。
私は可能であれば2018年頃までさかのぼり、
コロナ前
↓
コロナ中
↓
コロナ後
↓
現在
という流れで見ます。
例えば、
コロナで一時的に赤字になったものの、その後すぐ回復した会社
と、
コロナ前から利益が減り続け、現在も回復していない会社
では意味がまったく違います。
長期間を見ることで、
その会社が一時的に悪かったのか、それとも本業そのものが弱くなっているのか
が分かりやすくなります。
利益が減っているのに配当だけ増えていないか
特に注意したいのが、
利益は減っているのに、配当だけ維持・増配している会社
です。
例えば、
営業利益
100億円 → 80億円 → 60億円
と減っているのに、
配当
50円 → 50円 → 55円
となっていたら、
「株主還元が強い会社だ」
と見ることもできます。
しかし同時に、
利益が減っているのに、この配当を本当に続けられるのか
も確認する必要があります。
ここで前に説明した配当性向も重要になります。
高配当株は「配当」と「業績」をセットで見る
初心者の方は、
配当利回りが高い
↓
買いたい
となりやすいと思います。
しかし私は、
配当利回りを見る
↓
配当性向を見る
↓
業績を見る
という順番で確認します。
業績が安定していれば、現在の配当を将来も受け取れる可能性は高くなります。
反対に、
利益が減り続けている高配当株
なら、利回りが高くても慎重に考えます。
次は4つ目のチェックポイントとして、
財務は大丈夫か、借金が増えすぎていないか
を確認していきます。
④ 財務は大丈夫?借金が増えすぎていないか
高配当株を見るときは、
会社に配当を続けるだけの財務余力があるか
も確認します。
利益が出ていても、借金が増え続け、手元資金に余裕がなくなれば、将来配当を維持できなくなる可能性があります。
初心者の方は、まず次の項目を確認すると分かりやすいです。
| 財務チェック項目 | 私が見るポイント |
|---|---|
| 自己資本比率 | 一般企業なら50%以上を一つの目安 |
| 自己資本比率の推移 | 数年間で大きく低下していないか |
| 借入金 | 急激に増えていないか |
| 現金・預金 | 借入金に対して十分な余裕があるか |
| 業績との関係 | 利益が減る一方で借金だけ増えていないか |
自己資本比率は50%以上を一つの目安にする
自己資本比率とは、
会社の資産のうち、返済する必要のない自己資本がどのくらいあるか
を示す数字です。
私は一般企業なら、
自己資本比率50%以上
を一つの健全性の目安にしています。
ただし、現在の数字だけではなく、
60%
↓
55%
↓
48%
↓
40%
というように、毎年低下していないかも確認します。
大きく低下している場合は、
大型投資
企業買収
業績悪化
借入金増加
など、その理由を確認します。
借入金と現金はセットで見る
借入金が多いからといって、すぐに悪い会社とは判断しません。
例えば、
借入金100億円
現金150億円
の会社と、
借入金100億円
現金10億円
の会社では、同じ借入金100億円でも財務余力は大きく違います。
そのため、
借入金だけでなく、現金・預金も一緒に確認する
ことが大切です。
特に、
利益は減少
借入金は増加
配当は維持
という状態が続いている場合は、
「この配当を今後も続けられるのか」
を慎重に見ます。
業種によって基準は変わる
自己資本比率50%は、すべての会社に当てはまるわけではありません。
例えば、
銀行
リース
不動産
などは、事業の仕組み上、借入金を多く使う傾向があります。
そのため、
自己資本比率が50%未満=危険
とは単純に判断しません。
まずは一般企業では50%を一つの目安とし、業種の特徴も考えて判断します。
高配当株では、
現在の配当が高いかだけでなく、配当を出した後にも会社に余裕が残るか
を見ることが大切です。
次は5つ目のチェックポイントとして、
会社が本業で実際に現金を稼げているか
を見るために、キャッシュフローを確認していきます。
⑤ 本業で配当を払えるだけの現金を稼いでいる?キャッシュフローを確認
高配当株では、利益だけでなく、
会社が実際に現金を稼げているか
も確認します。
なぜなら、
配当は「利益」という数字ではなく、実際の現金で株主へ支払われるからです。
決算上は黒字でも、会社に十分な現金が入っていなければ、高い配当を長く続けることは難しくなります。
そこで確認したいのが、
キャッシュフロー
です。
利益が出ていても、配当を払う現金があるとは限らない
例えば、A社とB社がどちらも年間100億円の利益を出しているとします。
一見すると同じくらい安心できそうです。
しかし、実際のお金の流れを見ると、
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 純利益 | 100億円 | 100億円 |
| 営業キャッシュフロー | +130億円 | +30億円 |
| 年間配当総額 | 50億円 | 50億円 |
| 配当後の余裕 | 大きい | 小さい |
A社は本業から130億円の現金を稼ぎ、50億円の配当を支払っています。
これなら、配当を支払った後にも余裕があります。
一方、B社は利益こそ100億円ですが、本業から入ってきた現金は30億円しかありません。
それなのに50億円の配当を支払うのであれば、
足りない20億円を手元の現金や借入金などで補う必要があります。
これが1年だけなら問題にならない場合もあります。
しかし何年も続けば、
高配当を維持するために会社の体力を削っている
可能性があります。
高配当株では、ここを確認したいのです。
なぜ「利益」と「現金」が違うのか
初心者の方には少し分かりにくいところですが、
利益=会社に入ってきた現金
ではありません。
例えば商品を100万円で販売しても、代金の回収が3か月後なら、
会計上は売上や利益が計上されても、会社にはまだ100万円が入っていません。
ほかにも、
売掛金が増えた
在庫が増えた
代金回収が遅れている
などによって、
利益は出ているのに現金が増えていない
ことがあります。
だからこそ、高配当株では利益とキャッシュフローの両方を見る必要があります。
キャッシュフローは3種類ある
会社のキャッシュフローは、大きく3種類に分かれます。
| 種類 | 簡単にいうと | 高配当株で見るところ |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 本業で稼いだ現金 | 継続してプラスか |
| 投資キャッシュフロー | 設備などに使った現金 | 何に投資しているか |
| 財務キャッシュフロー | 借入・返済・配当など | 借入依存になっていないか |
この中で私が最初に見るのは、
営業キャッシュフロー
です。
営業キャッシュフローが安定してプラスか
営業キャッシュフローは、
本業によって実際にどれだけ現金を生み出したか
を見る数字です。
例えば、
営業利益100億円
営業キャッシュフロー+120億円
なら、本業からしっかり現金が入っていると判断しやすくなります。
反対に、
決算では毎年黒字
↓
しかし営業キャッシュフローは何年も弱い、またはマイナス
という会社なら、
「利益は出ているのに、なぜ現金が入ってこないのか?」
を確認します。
配当総額と営業キャッシュフローを比べてみる
初心者の方にもおすすめしたいのが、
営業キャッシュフローと年間の配当総額を比較する
方法です。
例えば、
営業キャッシュフロー100億円
年間配当総額30億円
なら、本業で稼いだ現金の範囲内で配当を出していることが分かります。
しかし、
営業キャッシュフロー30億円
年間配当総額50億円
という状態が何年も続いているなら注意します。
配当を支払うために、
手元現金を取り崩す
借入金を増やす
資産を売却する
といった対応が必要になる可能性があるからです。
設備投資にもお金が必要
ただし、
営業キャッシュフロー>配当総額
だけを確認すれば十分というわけでもありません。
会社は本業を続けるために、
工場
店舗
機械設備
システム
などへの投資も必要です。
例えば、
営業キャッシュフロー100億円
設備投資70億円
配当50億円
なら、
本業では100億円稼いでいても、
70億円+50億円=120億円
の現金が必要になります。
この状態が続けば、やはり現金は減っていきます。
そこで参考になるのが、
フリーキャッシュフロー
です。
簡単に言えば、
本業で稼いだ現金から、事業を維持・成長させるための投資を差し引いた後に残る現金
です。
この残った現金から無理なく配当を出せている会社の方が、長期の高配当株としては安心して見やすくなります。
財務キャッシュフローがマイナスでも悪いとは限らない
財務キャッシュフローには、
借入金の増減
借金の返済
自社株買い
配当金の支払い
などが含まれます。
そのため、
財務キャッシュフローがマイナス=悪い会社
ではありません。
むしろ、
借入金を返済した
株主へ配当した
ことでマイナスになっている場合もあります。
重要なのは数字のプラス・マイナスだけを見るのではなく、
「なぜその数字になったのか」
を確認することです。
高配当株ではこの4点を確認する
初心者の方なら、まず次の4点を確認すれば十分です。
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 数年間安定してプラスか |
| 配当総額との比較 | 本業で稼いだ現金で配当をまかなえているか |
| 設備投資 | 配当を出しても必要な投資ができているか |
| 借入金 | 配当維持のために借金が増えていないか |
高配当株を見るとき、
「利益が出ているから大丈夫」
で終わらせないことが大切です。
私が確認したいのは、
本業で現金を稼ぐ
↓
必要な設備投資をする
↓
それでも残った現金から配当を出せる
という流れになっているかです。
この状態が続いている会社なら、
現在の高い配当を将来も維持できる可能性
を考えやすくなります。
反対に、
利益は出ているのに現金が増えない
借入金は増えている
それでも高配当を維持している
という会社なら、利回りが高くても慎重に見ます。
次は6つ目のチェックポイントとして、
過去に減配していないか、そして会社が今後どのような配当を行う方針なのか
を確認していきます。
⑥ 配当実績と配当方針は信頼できる?
高配当株を見るときは、
現在いくら配当を出しているか
だけではなく、
これまでどのような配当をしてきたか
これからどのような配当をする方針なのか
まで確認します。
現在の配当利回りが5%あっても、過去に何度も減配している会社と、10年間ほとんど減配していない会社では、安心感は大きく違います。
私は高配当株を見るとき、
過去の配当実績+今後の配当方針
をセットで確認しています。
過去5~10年の配当推移を見る
まず確認したいのが、
過去にどのような配当をしてきたか
です。
初心者の方は、次のように整理すると分かりやすいです。
| 配当の動き | 確認するポイント |
|---|---|
| 毎年増配している | 利益も一緒に増えているか |
| 同額配当を長く維持 | 安定して配当を続けられているか |
| 増配と減配を繰り返す | 業績変動が大きくないか |
| 大幅減配したことがある | なぜ減配したのか |
| 無配になったことがある | 業績・財務悪化の程度を確認 |
| 特別配当が多い | 通常配当と分けて考える |
ここで大切なのは、
減配したことがあるからダメ
と判断しないことです。
例えばコロナ禍のような特殊な環境で一時的に業績が悪化し、減配した会社もあります。
その後、
業績回復
配当復元
増配継続
となっているのであれば、意味は変わってきます。
反対に、
業績が悪くなるたびに減配する会社
であれば、長期の高配当株としては慎重に見ます。
減配した理由まで確認する
減配履歴を見つけたら、
「減配した」という結果だけでなく、その理由
まで確認します。
例えば、
業績悪化
大型投資
借入金返済
財務改善
一時的な特殊要因
など、理由は会社によって異なります。
特に注意したいのが、
利益減少
↓
配当性向上昇
↓
キャッシュフロー悪化
↓
減配
という流れです。
これまで説明してきた、
配当性向
業績
財務
キャッシュフロー
を確認しておくと、
なぜ減配したのか
も理解しやすくなります。
次に会社の配当方針を見る
過去の実績を確認したら、次に、
会社が今後どのように配当する方針なのか
を見ます。
企業の決算説明資料や中期経営計画には、
次のような表現が出てきます。
| 配当方針 | 簡単にいうと | 注意点 |
|---|---|---|
| 配当性向○% | 利益の一定割合を配当 | 利益が減れば配当も減る可能性 |
| DOE○% | 株主資本を基準に配当 | 業績・財務悪化には注意 |
| 累進配当 | 原則、維持または増配 | 永久に減配しない保証ではない |
| 安定配当 | 配当の安定を重視 | 「何を安定させるか」を確認 |
| 連続増配 | 配当を毎年増やしている | 過去の実績であり将来保証ではない |
こうした言葉を見ると、
「この会社なら配当は安心だ」
と思いたくなります。
しかし、ここにも注意が必要です。
「配当性向40%」でも減配することはある
例えば会社が、
配当性向40%を目安
としているとします。
EPS100円なら、
年間配当40円
が一つの目安です。
しかし翌年、
EPS100円
↓
EPS60円
まで利益が減れば、
60円×40%=24円
となります。
つまり、
会社が配当方針を守った結果、40円から24円へ減配
することもあります。
配当性向○%という会社では、
利益が安定しているか
が特に重要です。
累進配当でも絶対に減配しないわけではない
累進配当は、
原則として配当を維持または増配する
という考え方です。
長期で高配当株を保有したい人には魅力的な方針です。
ただし、
累進配当=永久に減配しない
ではありません。
大幅赤字
財務悪化
事業環境の急変
などが起きれば、
会社が配当方針そのものを変更する
可能性があります。
そのため、
「累進配当だから安心」
で終わらせず、
その配当を支えられる業績や財務があるか
も確認します。
「安定配当」は中身まで確認する
企業IRでは、
「安定的な配当を継続する」
という表現もよく見かけます。
一見安心できそうですが、
年間50円を維持するのか
最低配当額を設定しているのか
配当性向を一定にするのか
まで書かれていないこともあります。
そのため私は、
「安定配当」という言葉だけでは判断せず、具体的な基準が書かれているか
まで確認します。
古い配当方針ではなく最新IRを見る
配当方針は途中で変更されることがあります。
例えば、
配当性向30%
↓
DOE3%以上へ変更
累進配当を導入
↓
新しい中期経営計画で方針変更
ということもあります。
そのため、
数年前のブログ記事
古い株情報
過去の会社資料
だけで判断せず、
最新の決算説明資料や中期経営計画、株主還元方針
を確認することが大切です。
私は「方針」より「実績との一致」を見る
配当方針は重要ですが、
立派な方針を書いているだけでは意味がありません。
例えば、
累進配当を掲げている
過去も減配していない
利益も安定している
営業キャッシュフローも安定している
のであれば、
言っていることと実際の行動が一致している
と判断しやすくなります。
反対に、
高い株主還元目標を掲げている
しかし業績は悪化
借入金は増加
キャッシュフローも弱い
という会社なら、
配当方針だけを信用しすぎないようにします。
初心者の方は、
① 過去にどう配当してきたか
② 今後どんな配当方針なのか
③ その方針を続けられる業績・財務があるか
この3点を確認すると分かりやすいでしょう。
DOE・配当性向・累進配当の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ DOE・配当性向・累進配当の違い|減配しにくい高配当株はどれ?
次は最後の7つ目、
高配当でも、今の株価で買っていいのか
を確認していきます。
⑦ 高配当でも今の株価で買っていい?最後は買値を確認
ここまで、
配当利回り
配当性向
業績
財務
キャッシュフロー
配当実績・方針
を確認してきました。
最後に見るのが、
「今の株価で買っていいのか」
です。
どれだけ良い高配当株でも、
買値が高すぎれば、良い投資になるとは限りません。
配当利回りが高い理由をもう一度確認する
特に注意したいのが、
株価が急落したことで配当利回りが高くなっている銘柄
です。
例えば年間配当50円の会社なら、
| 株価 | 配当利回り |
|---|---|
| 2,000円 | 2.5% |
| 1,500円 | 3.3% |
| 1,000円 | 5.0% |
株価が半分になれば、配当を増やしていなくても利回りは5%になります。
ここで、
「5%だから買おう」
ではなく、
「なぜ株価が半分になったのか」
を確認します。
業績悪化
減配懸念
不祥事
成長鈍化
などが原因なら、単純な割安とは言えません。
PER・PBRも一つの目安にする
買値を考えるときは、
PERとPBR
も確認します。
私はPERなら、
10倍前後
を一つの目安にしています。
ただし、
PER10倍以下だから安い
PBR1倍以下だから買い
と単純には判断しません。
例えば業績が長期間低迷している会社なら、低PERのまま放置されることもあります。
PBR1倍割れも同じで、
なぜ評価が低いのか
を確認することが大切です。
「良い会社」と「今買いたい株価」は分けて考える
例えば、
業績は安定
財務も健全
累進配当
営業キャッシュフローも良好
という会社があったとしても、
株価が急上昇して配当利回りが2%台まで低下しているなら、私は無理に買いません。
逆に、
以前から欲しかった会社が市場全体の下落で安くなり、業績や配当方針に問題がない
のであれば、購入を検討しやすくなります。
つまり、
会社が良いことと、今の株価が魅力的であることは別
です。
最後は自分の買値を決める
私は気になる銘柄を見つけたら、
「いくらになったら買いたいか」
を考えます。
例えば、
年間配当50円
希望配当利回り4%
なら、
50円 ÷ 4% = 1,250円
となります。
「1,250円以下なら検討する」
というように、先に買値を決めておけば、
株価が動いたときにも感情で買いにくくなります。
最後の確認を一覧にすると
| 確認すること | 私が見るポイント |
|---|---|
| 株価下落の理由 | 業績悪化による下落ではないか |
| PER | 10倍前後を一つの目安 |
| PBR | 1倍割れの理由を確認 |
| 配当利回り | 株価下落で高く見えていないか |
| 希望買値 | 自分の基準まで待てるか |
高配当株では、
「良い会社を見つける」だけでなく、「納得できる価格で買う」
ところまでが銘柄選びです。
配当利回りが高いから急いで買うのではなく、
業績・財務・配当の持続性を確認し、最後に買値を決める。
私はこの順番を大切にしています。
株を買う前に確認しているPER・PBR・財務・業績・買値については、こちらの記事でまとめています。
▶ 私が株を買う前に必ず確認する7項目|PER・PBR・配当・財務・業績・優待・買値
まとめ|高配当株は7項目を順番に確認する
高配当株を探していると、
「配当利回り5%」
「年間配当100円」
といった数字に目がいきます。
しかし、
配当利回りが高い=安心して買える株
ではありません。
大切なのは、
「なぜ高配当なのか」
「その配当を今後も続けられそうか」
まで確認することです。
私は高配当株を見るとき、次の7項目をこの順番で確認しています。
| 順番 | チェック項目 | 私の確認基準 | この順番で見る理由 |
|---|---|---|---|
| ① | 配当利回り | 3%以上を一つの目安 | まず高配当株として調べる候補を絞るため |
| ② | 配当性向 | 40~50%程度を一つの目安。70~80%超は注意、100%超が続く場合は慎重に確認 | 配当を利益の範囲内で無理なく出しているかを見るため |
| ③ | 業績 | 売上高・営業利益が長期的に安定しているか。できれば5~10年程度確認 | 配当の元になる利益を今後も稼げそうかを見るため |
| ④ | 財務 | 一般企業なら自己資本比率50%以上を一つの目安。借入金と現金の推移も確認 | 業績悪化時にも耐えられる財務余力があるかを見るため |
| ⑤ | キャッシュフロー | 営業キャッシュフローが継続してプラスか。配当総額をまかなえているかも確認 | 実際に配当を支払える現金を本業で稼いでいるかを見るため |
| ⑥ | 配当実績・方針 | 過去5~10年の減配歴を確認。累進配当・DOE・配当性向など最新の方針も確認 | 過去の実績と、今後配当を続ける考え方を確認するため |
| ⑦ | 買値 | PER10倍前後を一つの目安。PBR1倍割れは理由を確認。希望配当利回りから買値も逆算 | 良い会社でも高値づかみをしないため |
※これらは絶対的な基準ではなく、私が銘柄を調べるときに使っている目安です。業種や企業の成長段階によって適正な水準は異なります。
7項目はこの順番で確認する
この順番にしているのは、
「利回りが高い」
↓
「無理な配当ではない」
↓
「利益を稼げている」
↓
「会社に財務余力がある」
↓
「実際に現金も稼げている」
↓
「配当を続ける実績と方針がある」
↓
「では、今の株価なら買ってよいか」
と、一つずつ確認できるからです。
例えば配当利回り5%でも、
配当性向100%超
営業利益が減少
自己資本比率も低下
営業キャッシュフローも悪化
しているのであれば、
「5%もあるからお得」
とは考えません。
株価が下がった結果、利回りだけが高く見えている可能性があるからです。
最後に買値を確認する
私は、会社の中身を確認してから最後に買値を考えます。
例えば、
年間配当50円
希望配当利回り4%
なら、
50円 ÷ 4%=1,250円
です。
この場合、
「1,250円程度まで下がれば購入を検討する」
というように、あらかじめ自分の買値を考えることができます。
PERやPBRについても同じです。
私はPERなら10倍前後を一つの目安にしていますが、
PER8倍だから必ず割安
PBR0.8倍だから必ず買い
とは判断しません。
「なぜ市場から低く評価されているのか」
まで確認します。
私の考え
私は高配当株を選ぶとき、
「今いくら配当をもらえるか」より、「その配当を長く受け取れそうか」
を重視しています。
配当利回り3%以上を一つの入口にしますが、その数字だけで購入することはありません。
利回り
↓
配当性向
↓
業績
↓
財務
↓
キャッシュフロー
↓
配当実績・方針
↓
買値
この順番で確認します。
高配当株投資では、
一番利回りの高い株を探すことより、無理なく配当を続けられる会社を、納得できる価格で買うこと
の方が大切だと考えています。
初心者の方は、まずこの7項目と確認基準を使って気になる銘柄を一つずつ調べてみると、高配当株を見るポイントがかなり整理しやすくなると思います。
※本記事は株式投資における銘柄選びの一般的な考え方と、私自身の判断基準をまとめたものです。企業の業績、配当、株主優待などは変更される可能性がありますので、実際に投資する際は最新の企業IRをご確認ください。
※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。














