株を買おうと思ったとき、

「配当利回りが高いから買おう」

「PERが低いから割安だろう」

「株主優待が魅力的だから100株だけ買ってみよう」

と考えたことはないでしょうか。

どれも株を買う理由の一つにはなります。

しかし、私は一つの数字や株主優待だけを見て購入を決めることはしません。

なぜなら、PERが低くても業績が悪化している会社があります。

配当利回りが高くても、減配の可能性が高い会社もあります。

魅力的な株主優待があっても、財務が悪ければ優待そのものが廃止される可能性もあります。

反対に、現在の配当利回りがそれほど高くなくても、

業績が安定している
財務が強い
増配を続けている
株価が割安な位置まで下がっている

といった条件がそろえば、中長期で保有したい銘柄になることもあります。

そこで私は、株を購入する前に必ず、

PER
PBR
配当
財務
業績
株主優待
買値

の7項目を確認するようにしています。

難しい分析をしているわけではありません。

それぞれについて、

「この数字なら大丈夫そう」
「ここは少し危ない」
「この株価なら買ってもいい」

と順番に確認しているだけです。

特に株式投資を始めたばかりの方は、たくさんの指標を見ると、

「結局どれを見ればいいの?」

と分からなくなると思います。

この記事では、私が実際に個別銘柄を調べるときに確認している7項目について、

  • PERは何倍なら割安なのか
  • PBR1倍割れなら本当に買いなのか
  • 配当利回りは何%を基準にするのか
  • 自己資本比率はどこまで見るのか
  • 業績は何年分確認するのか
  • 株主優待をどう評価するのか
  • 最後に「いくらなら買うか」をどう決めるのか

を、投資初心者の方にも分かるように順番に解説していきます。

株を買うときに大切なのは、

「良い会社を見つけること」だけではありません。

良い会社でも、株価が高すぎれば買わない方がよいことがあります。

逆に、少し問題のある会社でも、そのリスクを理解したうえで十分に安い価格なら投資対象になる場合があります。

最終的に重要なのは、

「この会社を、この株価で買っても大丈夫なのか」

を判断することです。

この記事を読み終わったときに、気になる銘柄を見つけたら、この7項目を順番に確認できるようになることを目指します。

まずは、7項目の中でも最初に確認しやすいPERから見ていきましょう。

 

① PERは何倍なら割安?低いだけで買ってはいけない

株価が割安かどうかを見るとき、最初によく使われるのがPERです。

PERとは「株価収益率」のことで、

現在の株価が、1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているか

を表します。

計算式は、

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)

です。

例えば、

株価1,500円
EPS100円

なら、

PER15倍

となります。

数字が低いほど、利益に対して株価が安く評価されていると考えることができます。

私はまずPER10倍前後を一つの目安にする

PERには、

「何倍以下なら絶対に割安」

という決まりはありません。

業種や成長性によって大きく違うからです。

それでも銘柄を最初に確認するときは、

PER10倍前後

を一つの目安にすると分かりやすいと思います。

例えば、

PER8倍
PER10倍
PER12倍

なら、

「利益に対して株価はそれほど高くない」

と考えて、次の項目へ進みます。

一方で、

PER30倍
PER40倍

となれば、

「なぜこれだけ高く評価されているのか」

を確認します。

成長企業であればPER30倍でも割高とは限りません。

反対に成長していない企業なら、PER10倍でも高い場合があります。

PERが低すぎる会社にも理由がある

初心者の方が特に注意したいのが、

PER5倍、6倍だからすごく割安

と考えてしまうことです。

PERが非常に低い会社には、市場がその会社の将来を慎重に見ている理由がある場合があります。

例えば、

  • 業績が今後悪化すると予想されている
  • 一時的な利益によってPERだけ低くなっている
  • 成長が止まっている
  • 借入金が多い
  • 主力事業の市場が縮小している

といったケースです。

つまり、

PERが低いのは「お買い得だから」ではなく、「市場が低く評価しているから」

という場合もあります。

ベルーナの記事でも確認したように、PERが低くても、その背景には通販事業の成長性やホテル投資、借入金など市場が慎重に見る理由がありました。

低PERを見つけたら、

「安い、買おう」

ではなく、

「なぜこの会社はこんなに安く評価されているのだろう?」

と考えることが大切です。

PERが高くても悪い株とは限らない

反対に、PERが高いからといって買ってはいけないわけでもありません。

例えば現在の利益は小さくても、

売上高が急成長している
利益が毎年大きく増えている
新しい市場が拡大している

という会社には、高いPERがつくことがあります。

市場が、

「現在の利益より、将来の利益はもっと大きくなる」

と期待しているからです。

そのためPERを見るときは、現在の数字だけでなく、

今後利益が伸びる会社なのか

も一緒に確認します。

赤字企業ではPERを使えない

PERにも弱点があります。

会社が赤字の場合、EPSがマイナスになるため、通常のPERでは割安かどうかを判断できません。

また、一時的に大きな特別利益が出た場合も、利益が膨らんでPERだけが非常に低く見えることがあります。

そのためPERは便利ですが、

PERだけで企業価値を判断する指標ではない

ということを覚えておきたいところです。

同じ業種の会社と比べる

PERを見るときに分かりやすい方法が、同業他社との比較です。

例えば同じ業界で、

A社 PER8倍
B社 PER12倍
C社 PER20倍

なら、

「なぜA社だけ低いのか」

を調べます。

そこに、

業績
財務
成長性
配当

などの違いが見つかれば、PERの差にも理由が見えてきます。

単純に市場平均と比べるだけでなく、同じ業種の会社と比較することで、その会社が本当に安いのか判断しやすくなります。

PERは株価を見る最初の入口として非常に便利です。

しかし、

低PER=買い

ではありません。

PERが低ければ、

「安い理由を探す」

高ければ、

「高く評価される理由を探す」

という使い方をすると、数字だけに惑わされにくくなります。

次は、PERと一緒によく使われるPBRについて確認していきます。

 

② PBR1倍割れなら買い?資産価値だけでは判断できない

PERと並んで、割安株を探すときによく使われるのがPBRです。

PBRとは「株価純資産倍率」のことで、

現在の株価が、1株あたり純資産の何倍まで買われているか

を表します。

計算式は、

PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)

です。

例えば、

株価800円
1株あたり純資産1,000円

なら、

PBR0.8倍

となります。

一般的にはPBR1倍を下回ると、

「会社が持っている純資産より株価が安い」

と説明されることがあります。

そのため初心者の方は、

PBR1倍割れ=割安

と考えやすいのですが、ここにも注意が必要です。

PBR1倍割れでも株価が上がらない会社はある

PBRが0.7倍、0.8倍という会社を見ると、

「1倍まで戻るだけでも株価が上がるのでは?」

と思うかもしれません。

しかし実際には、PBR1倍を下回ったまま長期間推移している企業も多くあります。

理由は、

  • 利益率が低い
  • 成長期待が小さい
  • 資産を有効活用できていない
  • ROEが低い
  • 市場から将来性を評価されていない

などです。

つまり、

純資産が多いだけでは株価は上がりません。

その資産を使って、どれだけ利益を生み出しているかが重要です。

PBRはROEと一緒に見る

PBRを見るときに確認したいのがROEです。

ROEとは、

株主から預かった資本を使って、どれだけ利益を稼いだか

を見る指標です。

例えば、

PBR0.7倍
ROE3%

という会社なら、

資産は多いものの、それを十分に利益へつなげられていない可能性があります。

一方で、

PBR0.9倍
ROE10%

という会社なら、

株価は純資産に対して低く評価されているのに、資本を使って比較的しっかり利益を出していると見ることができます。

そのためPBRを見るときは、

PBRの低さ+ROE

をセットで確認すると判断しやすくなります。

不動産やホテルを多く持つ会社は特に注意

PBRが低い会社の中には、不動産や土地、ホテルなど多くの資産を持つ企業があります。

資産が多いため、

「PBR0.7倍ならかなり割安」

と感じるかもしれません。

しかし、その資産を取得するために多額の借入金を使っている場合もあります。

資産だけを見るのではなく、

借入金や自己資本比率も一緒に確認する

ことが大切です。

ベルーナの記事でも、PBRは1倍を大きく下回っていましたが、ホテルへの大型投資によって借入金も増えていました。

このような銘柄では、

PBRが低い=安全

とは判断できません。

赤字企業では低PBRでも安心できない

会社が赤字を続けている場合、純資産そのものが減少していく可能性があります。

現在はPBR0.6倍でも、

赤字
↓
純資産減少
↓
BPS低下

となれば、PBRの割安感も薄れていきます。

そのため、

低PBR+赤字継続

という会社は特に注意が必要です。

PBRを見る前に、業績が安定しているかも確認しておきたいところです。

私はPBR1倍割れを「調べるきっかけ」にする

PBR1倍割れは、割安株を探すうえでは非常に便利な条件です。

ただし、

PBR1倍割れだから買う

のではなく、

「なぜ1倍を下回っているのか」を調べるきっかけ

として使います。

例えば、

  • 業績は安定しているか
  • ROEは低すぎないか
  • 借入金は多くないか
  • 資産を利益につなげられているか
  • 今後の成長余地はあるか

まで確認します。

PBRは、会社が持つ資産に対して株価が安いかを見る指標です。

しかし株価を最終的に動かすのは、資産そのものではなく、

その資産から将来どれだけ利益を生み出せるか

です。

次は、私が長期保有銘柄で特に重視している配当について確認していきます。

 

③ 配当は3%以上を目安|高配当だけで買わない

株を中長期で保有するなら、配当は重要な確認項目の一つです。

株価がすぐに上昇しなくても、保有している間に配当を受け取ることができれば、長期保有もしやすくなります。

このブログでは、

配当利回り3%以上

を高配当株の一つの目安にしています。

ただし、配当利回りが高いという理由だけで購入することはおすすめできません。

配当利回り3%以上を一つの基準にする

配当利回りは、

年間配当金÷株価×100

で計算できます。

例えば、

株価1,000円
年間配当30円

なら、

配当利回り3%

です。

株価1,000円で年間50円配当なら、配当利回りは5%になります。

数字だけを見ると5%の方が魅力的ですが、重要なのは、

その配当を今後も続けられるか

という点です。

配当利回りが急に高くなった銘柄は注意

例えば、年間配当50円の会社があったとします。

株価1,500円なら配当利回りは約3.3%です。

ところが株価が800円まで下落すると、配当額が同じでも配当利回りは6%を超えます。

一見すると、

「高配当になってお買い得」

に見えます。

しかし株価が大きく下落した理由が、

  • 業績悪化
  • 大幅減益
  • 財務悪化
  • 不祥事
  • 今後の減配懸念

であれば、現在表示されている配当額が維持されない可能性があります。

そのため高配当株を見つけたら、

「なぜこんなに利回りが高いのか」

を必ず確認します。

配当性向も一緒に確認する

配当利回りとセットで見たいのが配当性向です。

配当性向とは、

会社が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当として支払っているか

を見る指標です。

例えば、

EPS100円
年間配当40円

なら、配当性向は40%です。

このブログでは、配当性向は40~50%程度であれば比較的無理の少ない水準として確認しています。

一方で、

配当性向80%
100%超

となっている場合は、利益の大部分、または利益以上を配当に回している可能性があります。

高い配当利回りだけを見るのではなく、

その配当を利益の範囲で無理なく出しているか

まで確認することが大切です。

DOEや累進配当も確認する

最近は、配当性向だけではなく、

DOE

や

累進配当

を株主還元方針に採用する企業もあります。

DOEは株主資本を基準に配当額を考えるため、単年度の利益変動に配当が左右されにくい特徴があります。

累進配当は、

原則として配当を減らさず、維持または増配していく

という方針です。

長期保有を考える場合は、

配当利回り
↓
配当性向
↓
DOE・累進配当

まで確認すると、その会社が株主還元をどの程度重視しているか分かりやすくなります。

過去の配当推移も確認する

現在の配当だけを見るのではなく、過去5~10年程度の配当推移も確認します。

例えば、

30円
↓
35円
↓
40円
↓
45円
↓
50円

と増配を続けている会社なら、株主還元を強化してきたことが分かります。

一方、

60円
↓
30円
↓
50円
↓
20円

のように配当が大きく変動している会社では、今後も安定配当が続くとは限りません。

長期保有では、

今の配当利回りより、配当を継続してきた実績

も重要です。

配当利回りは「入口」として使う

配当利回り3%以上は、銘柄を探すときには分かりやすい条件です。

ただし、

3%以上だから買う

のではなく、

3%以上だから詳しく調べる

という使い方が適しています。

確認したいのは、

  • 配当性向に無理がないか
  • DOEや累進配当を採用しているか
  • 過去に頻繁な減配がないか
  • 利益が安定しているか
  • 財務が悪化していないか

という点です。

配当は長期投資の大きな魅力ですが、高配当だけを追いかけると、減配と株価下落を同時に受けることがあります。

そのため、配当利回り3%以上を入口にして、その配当が続く理由まで確認することが大切です。

 

DOE・配当性向・累進配当については、それぞれ意味や確認ポイントが異なります。

「結局どれを重視すればいいの?」「減配しにくい高配当株はどう見分けるの?」という方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶ DOE・配当性向・累進配当の違い|減配しにくい高配当株はどれ?

「DOE・配当性向・累進配当の違い|減配しにくい高配当株はどれ?」DOE・配当性向・累進配当の違いを初心者向けにわかりやすく解説。減配しにくい高配当株の見分け方、配当性向の目安、DOEの考え方、累進配当銘柄の探し方まで詳しく紹介します。...

次は、配当を長期間維持できるかを見るうえでも重要な財務について確認していきます。

 

④ 財務は自己資本比率50%以上を目安にする

株を中長期で保有するなら、業績や配当だけでなく財務の強さも確認しておきたいところです。

会社が一時的に減益になっても、財務に余裕があればすぐに経営が不安定になるとは限りません。

反対に、借入金が多く自己資本が少ない会社では、景気悪化や業績悪化の影響を受けやすくなります。

このブログでは、財務を見るときの一つの目安として、

自己資本比率50%以上

を基準にしています。

自己資本比率とは何か

自己資本比率とは、会社が持っている総資産のうち、返済する必要のない自己資本がどのくらいあるかを見る指標です。

例えば、

総資産1,000億円
自己資本600億円

なら、

自己資本比率60%

です。

自己資本比率が高いほど、借入金など外部からの資金に依存していないと考えやすくなります。

50%以上なら比較的安心して見やすい

もちろん、

50%以上なら絶対安全

という意味ではありません。

ただし一般的な事業会社を見る場合、50%を超えていれば財務にある程度余裕があると判断しやすくなります。

例えば、

自己資本比率70%
借入金少ない
営業利益も安定

という会社なら、多少業績が悪化しても財務面では耐えやすいと考えられます。

一方で、

自己資本比率20%
借入金増加
利益減少

という状態であれば、かなり慎重に見る必要があります。

自己資本比率だけでなく借入金も確認する

自己資本比率が50%前後でも、借入金が急増している場合は注意が必要です。

例えば大型投資によって借入金が増えている場合、

その投資が将来の利益につながるのか

を確認します。

借入金そのものが悪いわけではありません。

問題は、

借りたお金以上の利益を生み出せているか

です。

ホテル、不動産、工場などへの大型投資を行う企業では、借入金が増えることがあります。

その場合は、

  • 営業利益が増えているか
  • 営業キャッシュフローが増えているか
  • 自己資本比率が大きく低下していないか

をセットで確認します。

業種によって適正水準は違う

自己資本比率50%を基準にしていますが、すべての業種にそのまま当てはめるわけではありません。

例えば、

  • 銀行
  • 保険
  • 不動産
  • リース

などは、事業の仕組み上、一般企業より負債が多くなりやすいです。

そのため、こうした業種では同業他社と比較して判断した方が分かりやすいでしょう。

重要なのは、

数字だけを機械的に見るのではなく、その業種では普通なのか

を確認することです。

財務が強い会社は長期保有しやすい

財務の強さは、株価が上がるかどうかを直接決めるものではありません。

しかし、中長期で保有する場合はかなり重要です。

財務が強ければ、

  • 一時的な減益に耐えやすい
  • 配当を維持しやすい
  • 景気悪化でも資金繰りに余裕がある
  • 成長投資を続けやすい

というメリットがあります。

特に高配当株や株主優待株では、

「今もらえる配当・優待」だけでなく、それを続けられる財務か

まで確認した方が安心です。

私は個別銘柄を見るとき、

自己資本比率50%以上を一つの目安にし、借入金と利益の推移も一緒に確認する

ようにしています。

次は、その会社が実際に成長しているのかを見るために、業績は何年分確認すればよいのかを見ていきます。

 

⑤ 業績はコロナ前まで遡り、長期の推移を見る

株を買う前に、私は直近1年の決算だけで判断しません。

最低でも5年、できればそれ以上さかのぼり、特に現在では、

コロナ前
↓
コロナ中
↓
コロナ後
↓
現在

と、業績がどのように変化してきたのかを確認するようにしています。

なぜなら、2020年前後のコロナ禍によって、多くの企業の業績は通常とは違う動きをしたからです。

コロナで一時的に業績が急拡大した企業もあれば、大幅に落ち込んだ企業もあります。

そのため直近5年だけを見ると、会社本来の実力を見誤ることがあります。

コロナ前の業績を見ると会社本来の姿が分かる

まず確認したいのが、コロナ前の業績です。

2018年、2019年頃までさかのぼることで、

特別な環境になる前、その会社がどの程度稼いでいたのか

を確認できます。

例えば現在の営業利益が150億円だったとしても、コロナ前から150億円程度稼いでいた会社なら、

「ようやく以前の水準まで戻った」

だけかもしれません。

反対にコロナ前100億円だった営業利益が現在200億円になっているのであれば、

コロナ後に会社そのものが成長した可能性

があります。

現在の数字だけでは、この違いは分かりません。

コロナ中に何が起きたのかを見る

次に確認するのが、2020年から2022年頃の業績です。

コロナ禍では業種によって大きな差が出ました。

例えば、

  • 通販
  • ゲーム
  • 食品宅配
  • ホームセンター

などは需要が増えた企業があります。

一方、

  • ホテル
  • 鉄道
  • 航空
  • 外食
  • 百貨店

などは大きな影響を受けました。

ここで重要なのは、

利益が増えた・減ったという結果だけではなく、なぜそうなったのか

を見ることです。

コロナ特需で利益が一時的に急増した会社なら、その数字を通常時の実力として考えるべきではありません。

逆にコロナによって一時的に赤字になっただけで、その後すぐに回復した会社なら、赤字年度だけを見て「業績の悪い会社」と判断するのも違います。

コロナ後に元へ戻ったのか、それ以上に成長したのか

私が特に確認するのがここです。

コロナが落ち着いた後、

コロナ前の業績へ戻っただけなのか、それとも以前より成長したのか

を比較します。

例えば営業利益が、

2019年 100億円
2021年 160億円
2023年 90億円
2026年 110億円

なら、コロナ中に一時的な特需があったものの、現在はおおむね以前の水準に戻った会社と見ることができます。

一方、

2019年 100億円
2021年 120億円
2023年 150億円
2026年 200億円

なら、コロナを挟んで事業規模そのものが拡大した可能性があります。

こうして時系列で見ることで、

現在の好業績が一時的なのか、本当の成長なのか

を判断しやすくなります。

売上高だけでなく営業利益を見る

業績を見るときは、売上高だけでは判断しません。

例えば、

売上高は毎年増加
営業利益は毎年減少

という会社なら、

原材料費
人件費
広告費
物流費

などの負担が増え、収益性が悪化している可能性があります。

反対に売上高と営業利益が両方増えていれば、事業の成長が利益にもつながっています。

そのため私は、

売上高
営業利益
最終利益

の推移を基本として確認します。

特に営業利益は、本業でどれだけ稼げているかを見るうえで重要です。

営業利益率の変化も確認する

会社の規模が大きくなっても、利益率が悪化している場合があります。

例えば、

売上高1,000億円
営業利益100億円

なら営業利益率は10%です。

数年後、

売上高1,500億円
営業利益90億円

なら、売上高は大きく増えていますが、稼ぐ力は弱くなっています。

一方、

売上高1,200億円
営業利益180億円

なら、売上高だけでなく収益性も改善しています。

そのため、

売上が伸びているか
利益が伸びているか
利益率が改善しているか

まで見ることで、業績の中身が分かりやすくなります。

赤字から黒字転換した場合も中身を見る

「黒字転換」という言葉を見ると、業績が急回復したように感じます。

しかし、本業では赤字のままでも、

  • 不動産売却
  • 子会社売却
  • 補助金
  • 特別利益

などによって最終利益だけ黒字になる場合があります。

そのため黒字転換を見る場合も、

営業利益まで黒字になっているか

を確認します。

本業そのものが改善したのか、それとも一時的な利益による黒字なのかを分けて考える必要があります。

ベルーナも長期間見ることで変化が分かった

最近分析したベルーナも分かりやすい例です。

コロナ中は通販需要の増加によって利益が伸びましたが、その後は反動で利益が低下しました。

しかし、さらに現在まで追ってみると、今度はホテル・プロパティ事業が新たな利益の柱へ成長しています。

直近1~2年だけなら、

「ベルーナは最近利益が増えている」

というところまでしか分かりません。

しかし2018年頃までさかのぼることで、

通販中心だった会社
↓
コロナで通販が急成長
↓
コロナ特需終了で利益低下
↓
ホテル事業が成長し再び利益回復

という会社の変化まで見えてきます。

 

ベルーナについては、2018年までIRをさかのぼり、通販・ホテル事業の変化や現在の株価が安く評価されている理由まで詳しく分析しています。

「直近の決算だけでは分からない、長期で見た企業の変化」を確認したい方はこちらも参考にしてください。

▶ ベルーナ(9997)の株価はなぜ安い?通販不振でも割安に見える4つの理由を分析

ベルーナ(9997)の株価はなぜ安い?通販不振でも割安に見える4つの理由を分析ベルーナ(9997)の株価はなぜ安いのか。通販事業の不振、ホテル事業への投資、市場評価など株価が低く評価される理由を整理。最新決算やPER・PBR、配当・株主優待も確認し、本当に割安なのかを初心者にも分かりやすく解説します。...

このように、長期間の業績を見る目的は単に数字をたくさん並べることではありません。

「この会社はこれまで何で稼ぎ、環境の変化にどう対応してきたのか」

を理解することが重要です。

私は銘柄を調べるとき、できるだけコロナ前までさかのぼり、

コロナ前・コロナ中・コロナ後・現在

を比較します。

これによって、一時的な好業績なのか、長期的に成長している会社なのかを判断しやすくなります。

次は、株主優待をどのように評価すればよいのか、優待利回りだけで判断しない考え方を見ていきます。

 

⑥ 株主優待は「使えるか」で判断する

株主優待は、私が銘柄を選ぶときの重要な確認項目の一つです。

食品、QUOカード、自社商品、割引券、ホテル優待など、企業によってさまざまな制度があります。

しかし、

「優待があるから買う」

という判断はしません。

確認するのは、

自分が本当に使える優待なのか
必要な投資金額に見合っているのか

という点です。

優待金額だけを見ない

例えば10万円で100株購入すると、年間3,000円相当の優待がもらえる会社があったとします。

優待利回りは3%です。

さらに年間配当が3,000円なら、

配当3,000円
+
優待3,000円

で年間6,000円相当。

総合利回りは6%になります。

数字だけを見ると、かなり魅力的です。

しかし、その3,000円分が、

自分がまったく利用しない店舗の割引券

だったらどうでしょうか。

額面3,000円でも、実際の価値はほとんどありません。

そのため私は、優待を利回りに入れるとき、

自分が実際に使えるものだけ

を基本に考えます。

割引券は額面どおりに評価しない

特に注意したいのが、

ホテル割引券
飲食店割引券
買物割引券

などです。

例えば1,000円のホテル割引券が4枚もらえる場合、

「年間4,000円の優待」

と計算したくなります。

しかし、そのホテルを利用しなければ価値はありません。

また、

「1回の宿泊で2枚まで」

「一定金額以上の利用が必要」

などの条件が付いている場合もあります。

そのため割引券については、

4,000円=現金4,000円

とは考えない方が安全です。

QUOカードや食品は比較的評価しやすい

一方、

  • QUOカード
  • ギフトカード
  • 自社食品
  • 日用品

などは比較的使いやすく、優待価値を判断しやすいです。

特に普段から利用する商品であれば、家計の支出を減らすことにもつながります。

株主優待を比較するときは、

金額の大きさだけではなく、使いやすさ

も重要です。

必要株数を増やしたときの効率を見る

株主優待には、

100株 1,000円
500株 3,000円
1,000株 5,000円

といった保有株数による区分があります。

ここで注意したいのが、

株数を増やせば優待利回りも良くなるとは限らない

ことです。

例えば株価1,000円なら、

100株=10万円
1,000株=100万円

必要です。

優待が1,000円から5,000円に増えても、投資金額は10倍になっています。

株主優待目的であれば、

100株が最も資金効率のよいケース

も少なくありません。

そのため私は、500株、1,000株まで増やす前に、

「優待目的だけで本当にそこまで投資する必要があるのか」

を考えます。

総合利回り4%以上を一つの目安にする

このブログでは、

配当+株主優待の総合利回り4%以上

を一つの目安にしています。

例えば、

配当利回り3%
優待利回り1.5%

なら、

総合利回り4.5%

です。

このような銘柄なら、配当と優待の両方を受け取りながら中長期で保有する候補になります。

ただし、ここでも大切なのは、

使えない優待を利回りへ入れないこと

です。

自分にとって価値のない5,000円分の優待を加えて「総合利回り8%」としても意味がありません。

優待廃止の可能性も考えておく

株主優待は、企業が必ず続けなければならない制度ではありません。

業績悪化や株主還元方針の変更によって、

  • 優待内容の縮小
  • 必要株数の変更
  • 長期保有条件の追加
  • 優待廃止

が行われる可能性があります。

そのため、

株主優待だけが購入理由の銘柄

には注意します。

配当もあり、業績も安定し、財務にも余裕がある。

そこに株主優待が加わっている。

この順番で考えた方が、中長期では保有しやすくなります。

株主優待は投資の楽しみの一つですが、

「いくらもらえるか」より「本当に使えるか」「その優待がなくなっても保有できる会社か」

まで確認することが大切です。

次はいよいよ最後の重要項目です。

どれだけ良い会社でも、高い株価で買えば投資成果は変わります。

次は、私が最終的に必ず決めている**「いくらなら買うのか」という買値**について見ていきます。

 

⑦ 最後は買値を決める|良い会社でも高値では買わない

ここまで、

PER
PBR
配当
財務
業績
株主優待

を確認してきました。

そして最後に必ず考えるのが、

「この株を、いくらなら買うのか」

です。

どれだけ良い会社でも、株価が高すぎるところで購入すれば、その後長期間含み損を抱える可能性があります。

反対に、少し地味な会社でも十分に安い価格で購入できれば、配当を受け取りながら株価の上昇を待つことができます。

そのため私は、会社を気に入ったからといってすぐに買うのではなく、先に自分の買値を決めるようにしています。

良い会社と良い買値は別に考える

投資初心者の方が陥りやすいのが、

「この会社は業績が良い」
↓
「だから今買っても大丈夫」

と考えてしまうことです。

しかし、

良い会社=今の株価が安い

とは限りません。

例えば業績が好調で、財務も強く、増配を続けている会社でも、市場から人気を集めてPER30倍まで買われていれば、すでに将来の成長をかなり織り込んでいる可能性があります。

そのため私は、

会社の評価と株価の評価を分けて考えます。

「会社は欲しい」

でも、

「今の株価では買わない」

という判断も普通にあります。

PERから買値を逆算する

一つの方法が、PERから購入価格を考えることです。

このブログでは、割安株を見るときに、

PER10倍程度

を一つの基準にしています。

例えば来期EPSが100円と予想されている会社なら、

100円×PER10倍=1,000円

となります。

現在の株価が1,400円なら、

「会社は魅力的だけれど、1,000円前後まで下がれば考えたい」

という買値を作ることができます。

もちろん成長企業ではPER10倍まで下がらないこともあります。

その場合は同業他社のPERや過去のPER水準も確認して、現実的な価格を考えます。

重要なのは、

現在の株価から買う理由を探すのではなく、自分が納得できる価格を先に決めること

です。

配当利回りから買値を逆算する

高配当株では、配当から購入価格を計算する方法もよく使います。

例えば年間配当40円の銘柄で、

配当利回り4%になったら買いたい

と考えるなら、

40円÷4%=1,000円

です。

つまり1,000円が一つの購入目安になります。

現在1,150円なら無理に追いかけず、

「1,000円近辺まで下がればもう一度確認する」

という判断ができます。

この方法は、配当目的の銘柄では非常に分かりやすいです。

ただし株価が目標価格まで下がったときには、

なぜ下落したのか

を必ず確認します。

業績に問題がないのに市場全体の下落につられたのであれば、買い場になる可能性があります。

反対に、大幅減益や減配が原因なら、以前決めた買値そのものを見直す必要があります。

株主優待株では総合利回りからも考える

株主優待株の場合は、

配当+自分が実際に使える優待

から総合利回りを計算します。

このブログでは、

総合利回り4%以上

を一つの目安にしています。

例えば、

年間配当3,000円
自分が確実に使える優待2,000円

なら、年間5,000円相当です。

総合利回り4%で買いたいなら、

5,000円÷4%=125,000円

となります。

100株なら、

1株1,250円

が一つの目安になります。

このように、

PER
配当利回り
総合利回り

の複数の角度から買値を考えると、現在の株価が本当に魅力的なのか判断しやすくなります。

高値を追いかけない

気になる銘柄の株価が毎日上がっていると、

「今買わないと、もう買えなくなるのでは?」

と思うことがあります。

しかし株式市場では、ずっと一直線に上がり続ける銘柄ばかりではありません。

決算後の下落、市場全体の調整、セクター全体の売りなどによって、買いたかった価格まで下がってくることもあります。

そのため私は、

自分で決めた価格を超えてまで無理に追いかけない

ことを意識しています。

買えなかった銘柄がそのまま上昇したとしても、投資機会はその一銘柄だけではありません。

別の割安な銘柄を探せばいいからです。

指値を入れて待つ方法もある

購入したい価格が決まったら、指値注文を利用する方法もあります。

例えば、

現在株価1,080円
自分の買値1,000円

なら、1,000円で指値を入れて待ちます。

約定しなければ買えません。

しかし、

「買えなかったから損をした」

わけではありません。

自分が納得できる価格にならなかっただけです。

割安株投資では、

買うことより、無理な価格で買わないこと

も大切だと考えています。

買値は一度決めたら永久固定ではない

ただし、最初に決めた買値を何年もそのまま使うわけではありません。

決算によって、

EPSが増える
配当が増える
業績予想が上方修正される
財務が改善する

といった変化があれば、適正と考える株価も変わります。

反対に、

減益
減配
借入金増加
優待改悪

などが起きれば、以前より安い価格でなければ買いたくないという判断になることもあります。

つまり買値は、

最新の業績や配当を確認しながら更新していくもの

です。

ここまで7項目を確認して初めて、

「良い会社だから買う」のではなく、「この会社を、この価格なら買いたい」

という判断ができるようになります。

株式投資では、何を買うかと同じくらい、いくらで買うかが重要です。

次は最後に、今回紹介した7項目を一覧で整理し、私が実際にどのような順番で購入判断をしているのかをまとめます。

 

まとめ|株を買う前に7項目を確認すれば判断しやすくなる

今回は、私が株を買う前に確認している7項目について紹介しました。

もう一度整理すると、次のようになります。

確認項目私が見るポイント
PER10倍前後を一つの目安に、なぜ安いのかまで確認
PBR1倍割れだけで判断せず、ROEや資産の使い方も確認
配当3%以上を一つの目安に、配当性向・DOE・累進配当まで確認
財務自己資本比率50%以上を一つの目安に、借入金も確認
業績コロナ前までさかのぼり、コロナ前・中・後・現在を比較
株主優待自分が実際に使えるか、総合利回り4%以上になるか確認
買値PER・配当利回り・総合利回りなどから購入価格を決める

この7項目を見る目的は、

「すべて条件をクリアする完璧な会社を探すこと」

ではありません。

実際に銘柄を調べていると、

業績は良いが株価が高い。

配当は魅力的だが財務が少し弱い。

財務は非常に強いが配当利回りが低い。

株主優待は魅力的だがPERが高い。

というように、どこかに気になる点がある会社がほとんどです。

大切なのは、その弱点を知らずに買うのではなく、

「この会社の良いところはここ、注意するところはここ」

と理解したうえで判断することです。

私の考え

私は株を買うとき、

「この銘柄は買いですか?」

という答えを最初から決めることはしません。

まず業績を確認します。

その際、直近の決算だけではなく、できるだけコロナ前までさかのぼり、

コロナ前
↓
コロナ中
↓
コロナ後
↓
現在

と、会社がこれまでどのように変化してきたのかを見ます。

そこで業績が安定していると判断したら、

PERは10倍前後か。

PBRは低いだけではなく、その資産を使って利益を出せているか。

配当利回りは3%以上あるか。

配当性向に無理はないか。

DOEや累進配当を採用しているか。

自己資本比率は50%以上あるか。

株主優待は自分が本当に使えるものか。

と順番に確認していきます。

そして最後に、

「この会社なら、いくらで買いたいか」

を決めます。

ここが一番重要だと思っています。

例えば、

業績が良い
財務も良い
増配も続いている
優待も魅力的

という会社でも、株価が高すぎれば私は買いません。

逆に、少し気になる部分があっても、

そのリスクを理解していて、十分に安い価格まで下がっているのであれば購入を検討することがあります。

つまり私は、

良い会社かどうか

と

今の株価で買っていいか

を分けて考えています。

「買わない」という判断も投資

株を調べると、

「ここまで調べたのだから買いたい」

という気持ちになることがあります。

しかし、

PERが高すぎる。

配当利回りが自分の基準に届かない。

財務が悪い。

業績が不安定。

希望する買値まで下がっていない。

こうした場合は、無理に買う必要はありません。

買わずに待つことも立派な投資判断です。

私は基本的に現物株を中心に投資しています。

だからこそ、

「買うチャンスを逃さないこと」より「無理な価格で買わないこと」

を大切にしています。

欲しい銘柄がそのまま上昇して買えなくなったとしても、株式市場にはほかにも多くの銘柄があります。

また別の割安な会社を探せばいいと考えています。

7項目を自分なりの基準にしていく

今回紹介した、

PER・PBR・配当・財務・業績・株主優待・買値

は、どれも特別難しいものではありません。

最初は企業の決算資料を見ても分からない数字が多いと思います。

しかし、毎回同じ項目を確認していると、

「この会社は財務が強い」

「PERは安いけれど、業績に問題がある」

「配当は高いけれど、配当性向が高すぎる」

「優待込みならこの株価まで待ちたい」

という判断が少しずつできるようになります。

私自身も、銘柄を調べるときは今回紹介したような項目を一つずつ確認しています。

株式投資では、絶対に上がる銘柄を見つけることはできません。

だからこそ、

買う前にできるだけリスクを確認し、自分が納得できる価格で購入する。

これを繰り返すことが、長く株式投資を続けるうえで大切だと考えています。

気になる銘柄を見つけたときは、いきなり購入するのではなく、まず今回の7項目を一つずつ確認してみてください。

そして最後に、

「この会社を、この株価で本当に買いたいか?」

と自分に問いかけてから購入を決める。

これが、私が株を買う前に行っている基本的な確認方法です。

※本記事は株式投資における銘柄選びの一般的な考え方と、私自身の判断基準をまとめたものです。企業の業績、配当、株主優待などは変更される可能性がありますので、実際に投資する際は最新の企業IRをご確認ください。

※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

ABOUT ME
マッスルトレーダーベイマックス
プライム企業で34年勤務(設備系管理職) 筋トレをこよなく愛するサラリーマン 2010年から株式投資を開始し、配当と株主優待を中心に多数保有 年間1000万円の配当収入を目標に、仕事と投資の両立を実践中 元現場管理のリアルな視点で、投資にも「地に足の着いた考え方」を持ち込みたいと考えています 。 保有資格 FP3級