2026年9月28日から、日本の株式市場で信用取引のルールが変わります。

信用取引をしていない人からすると、

「自分には関係ないのでは?」

と思うかもしれません。

しかし今回の変更は、信用取引をする投資家だけでなく、現物株を中心に取引している個人投資家にも影響する可能性があります。

特に注目したいのは、

「株価の動きがどう変わるのか」
「売買がしやすくなるのか」
「個人投資家に有利になる場面は増えるのか」

という点です。

制度変更というと難しく感じますが、内容を整理すると、それほど複雑ではありません。

本記事では、9月28日から何が変わるのかを初心者にも分かりやすく整理しながら、

「今回の変更で個人投資家にはどんなメリットがあるのか?」

までここをみればすべてを理解できるように私なりに調べ、考えられる今後の動き方まで解説しますので、よかったら最後までお付き合いいください

 

① 9月28日から何が変わる?信用残が「週1回」から「毎営業日」へ

まず今回の変更について、一番最初に理解しておきたいことがあります。

2026年9月28日から、

「信用取引で使える金額が変わる」
「信用取引の返済期限が変わる」
「追証のルールが変わる」

というわけではありません。

今回大きく変わるのは、

個別銘柄の信用取引残高について、投資家が確認できる情報量と公表頻度です。

東京証券取引所は、信用取引残高を集計するシステムのリプレースに伴い、2026年9月28日から公表方法を変更します。

これまでは全銘柄の信用残を毎日確認できなかった

これまで一般の投資家が確認できる「銘柄別信用取引週末残高」は、

毎週火曜日16時30分ごろ

に公表されていました。

しかも表示されるのは、基本的に前週最後の営業日時点の信用残です。

例えば金曜日時点の信用買い残がどうなっていたかを、翌週火曜日になって確認するイメージです。

つまり、

月曜日に信用買いが急増した
火曜日に大量の返済売りが出た
水曜日に再び信用買いが積み上がった

としても、その動きを全銘柄について毎日追うことはできませんでした。

もちろん「日々公表銘柄」や信用規制銘柄など、一部の銘柄については従来から毎営業日16時ごろに信用残が公表されています。

しかし、これは信用取引が過度に利用されている銘柄など、東証が注意喚起を必要と判断した一部銘柄が中心です。

つまり、一般的な銘柄については、

「信用残は週1回確認するもの」

という状態だったわけです。

9月28日からは全銘柄を毎営業日公表

これが9月28日から大きく変わります。

これまで週次で公表されていた全銘柄の信用取引残高が、毎営業日16時ごろに公表されるようになります。

公表されるのは前営業日時点の残高です。

簡単に比較すると、次のようになります。

変更前9月28日以降
対象全銘柄全銘柄
公表頻度週1回毎営業日
公表時間火曜16:30頃毎営業日16:00頃
残高売残・買残売残・買残
表示単位株数株数+金額
信用区分確認可能一般信用・制度信用も確認可能

東証の公表イメージを見ると、売残高・買残高だけでなく、

一般信用
制度信用
前日比
上場株式数に対する比率

なども確認できる形になっています。さらに、これまで株数中心だった情報に金額表示も追加されます。

これは個人投資家にとってかなり大きな変更です。

「信用買い残100万株」だけでなく金額も分かる

例えば、

A社 信用買い残100万株
B社 信用買い残100万株

だったとします。

これまでは両方とも「100万株」です。

しかし、

A社の株価が500円なら約5億円
B社の株価が5,000円なら約50億円

です。

同じ100万株でも、市場に積み上がっている信用買いの金額は10倍違います。

9月28日以降は株数だけでなく金額も公表されるため、

「どれだけ大きな信用ポジションが積み上がっているのか」

を金額ベースでも把握しやすくなります。

初心者の方には、ここもかなり使いやすくなるポイントだと思います。

一般信用と制度信用の違いも見やすくなる

新しい公表資料では、

一般信用取引
制度信用取引

の内訳も確認できます。

簡単に説明すると、

制度信用は、取引所のルールに基づき返済期限(最大六か月)などが決められた信用取引。

一般信用は、証券会社と投資家の間で返済期限(無期限)や金利などを決める信用取引です。

投資初心者が最初から細かい違いまで覚える必要はありません。

重要なのは、

「信用買い残○万株」という合計数字だけではなく、その中身まで見やすくなる

ということです。

今回の変更を一言で表すなら「信用取引の見える化」

今回の制度変更を初心者向けに一言で表すなら、

「信用取引の見える化が一気に進む」

ということだと思います。

これまでは週1回だった全銘柄の信用残が、毎営業日分かる。

さらに、

株数
金額
売り・買い
一般信用・制度信用
前日からどれだけ増減したか

まで確認できる。

JPX総研も、日次化によって個別銘柄の需給やレバレッジ状況の変化をタイムリーに把握しやすくなり、売買タイミングの判断やリスク管理への活用が期待できると説明しています。

ここが今回の変更の本質です。

そして、この変更は信用取引を実際に行う人だけに関係する話ではありません。

現物株しか買わない人でも、

「なぜ好決算なのに株価が上がらないのか」
「なぜ急に売りが増えたのか」
「この下落はそろそろ終わるのか」

を考える材料として、信用残は非常に重要です。

では、そもそも信用買い残や信用売り残とは何を意味し、なぜ株価に影響するのでしょうか。

次は、信用取引を利用しない初心者にも分かるように、

「信用買い残・信用売り残を見るとなぜ株価の先が少し見えるのか」

から説明していきます。

 

② 信用買い残・信用売り残とは?なぜ株価に影響するのか

今回のルール変更を理解するには、まず、

「信用買い残」
「信用売り残」

が何を意味するのかを知っておく必要があります。

難しく考える必要はありません。

最初は、

信用買い残=将来売られる可能性のある株

信用売り残=将来買い戻される可能性のある株

と覚えておけば十分です。

JPXも、制度信用取引では反対売買で決済されることが多いため、買い残高は将来の売り注文、売り残高は将来の買い注文になる可能性があると説明しています。

そもそも信用取引とは?

通常の現物取引なら、自分のお金で株を買います。

例えば100万円持っている人が100万円分の株を買えば、それで終了です。

一方、信用取引では、証券会社へ保証金を預け、証券会社から資金や株式を借りて取引します。

そのため、自分が持っている資金より大きな金額を取引できます。

また、株を持っていなくても、

「これから株価が下がる」

と考えれば、株を借りて先に売る「信用売り」もできます。

ただし、借りたお金や株は、いつか返さなければなりません。

制度信用取引なら返済期限は最長6か月。一般信用取引については、返済期限などを証券会社と投資家の間で決めます。

この「いつか返済しなければならない」という点が、信用残を見るうえで非常に重要です。

信用買い残とは「まだ売っていない信用買い」

例えばA社の株価が1,000円だったとします。

ある投資家が、

「これから1,200円まで上がりそうだ」

と考え、信用取引で1,000株買いました。

しかし、まだ売却していません。

この1,000株が信用買い残として残ります。

同じような投資家がたくさんいれば、

信用買い残100万株
信用買い残500万株

と積み上がっていきます。

そして、この株はいつか返済しなければなりません。

一般的には、

信用買い

株価上昇

売却して利益確定

という流れになります。

つまり信用買い残が多いということは、

将来、利益確定や損切りによる売り注文が出てくる可能性がある

ということです。

これが、

「信用買い残が多いと上値が重くなりやすい」

と言われる理由です。

株価が下がったときは、さらに売り圧力になることも

例えば1,000円で信用買いした株が、

900円
800円
700円

と下がっていったとします。

現物株なら、

「5年持っておこう」

という判断もできます。

しかし信用取引の場合は、借りた資金で買っています。

さらに株価が大きく下がると、保証金が不足して追加保証金、いわゆる「追証」が必要になる場合があります。

そうなると、

「これ以上損失を増やせない」

として売却する投資家も出てきます。

その売りでさらに株価が下がり、

別の信用買い投資家も損切りする。

すると、

売り

株価下落

さらに信用買いの損切り

さらに下落

という流れになることがあります。

これが、信用買い残が大量に積み上がっている銘柄を警戒する理由のひとつです。

信用売り残は反対に「将来の買い」になりやすい

今度は信用売りです。

株価1,000円のA社について、

「800円まで下がる」

と考えた投資家が、株を借りて1,000株売ったとします。

その後、株価が800円になれば、

800円で1,000株買い戻す

借りた1,000株を返す

ことで、差額が利益になります。

つまり信用売りをした投資家は、最終的には株を買い戻す必要があります。

そのため信用売り残が多いということは、

将来、買い注文が出る可能性がある

ということになります。

株価が上がると「踏み上げ」が起きることもある

信用売りの場合、予想に反して株価が上昇すると苦しくなります。

例えば1,000円で空売りした株が、

1,100円
1,200円
1,300円

と上がっていけば、損失が増えていきます。

すると、

「これ以上上がったら危ない」

と考えた空売り投資家が、損失を確定するために株を買い戻します。

その買い戻しによって株価がさらに上がる。

すると別の空売り投資家も耐えられなくなり買い戻す。

これが続くと、

買い戻し

株価上昇

さらに空売りの買い戻し

さらに上昇

ということが起こります。

これが一般に「踏み上げ」と呼ばれる動きです。

具体例で考えると分かりやすい

同じ株価1,000円の2社があるとします。

A社
信用買い残500万株
信用売り残50万株

B社
信用買い残50万株
信用売り残500万株

だったとします。

A社は、信用買い残が圧倒的に多い状態です。

今後株価が上昇した場合でも、

「ようやく利益が出たから売ろう」

という投資家が多く存在する可能性があります。

逆に下落すれば、損切り売りも出る可能性があります。

そのため、株価上昇を抑える売り圧力になることがあります。

一方B社は信用売り残が多い。

好材料が出て株価が上昇すると、空売り投資家が買い戻す可能性があります。

この買い戻しが株価上昇をさらに加速させることがあります。

このように信用残は、

「現在の株価」だけでは見えない、将来出てくる可能性のある売買注文

を考えるための材料になります。

ただし「買い残が多い=下落」ではない

ここは非常に重要です。

信用買い残が多いから、

「この株は下がる」

と決めつけることはできません。

同じように、

信用売り残が多いから、

「これから上がる」

とも限りません。

例えば非常に強い好決算が出れば、信用買い残が多くても、それ以上の新しい買いが入って株価は上昇します。

逆に信用売り残が多くても、業績悪化や不祥事などの悪材料が出れば株価は下落する可能性があります。

信用残は未来の株価を当てる魔法の数字ではありません。

あくまで、

株価を動かす「需給」を見るためのひとつの材料

です。

企業業績
PER・PBR
配当
株主優待
市場全体の動き
材料やニュース

などと合わせて使う必要があります。

「残高そのもの」より増減を見ることが重要

そして今回の9月28日の変更で、特に注目したいのがここです。

例えば、

月曜日 信用買い残100万株
火曜日 130万株
水曜日 180万株
木曜日 250万株
金曜日 320万株

となっていたとします。

これまでは全銘柄について、こうした日々の変化を把握することが難しかった。

しかし9月28日以降は、毎営業日確認できるようになります。

すると、

「株価が上がっているのに信用買いも急増している」

「株価が下がっているのに信用買い残が大きく減ってきた」

「信用売りが急増してきた」

といった変化が見えるようになります。

実は個人投資家にとって重要なのは、

信用買い残が100万株あるという絶対値だけではなく、昨日からどう変わったのか

です。

そしてこの「変化」を毎日追えるようになることこそ、今回の制度変更が個人投資家に与える大きなメリットだと考えています。

では、実際にどのように信用残を見ればよいのでしょうか。

次は、

「信用倍率とは何か?何倍なら多い・少ないと判断すればよいのか」

について、具体的な数字を使って説明します。

 

③ 信用倍率とは?何倍なら多い・少ないと判断すればいい?

信用買い残と信用売り残を確認するとき、よく出てくるのが「信用倍率」という数字です。

計算方法は非常に簡単です。

信用倍率 = 信用買い残 ÷ 信用売り残

例えば、

信用買い残 100万株
信用売り残 100万株

なら、

信用倍率は1倍です。

信用買い残200万株、信用売り残100万株なら2倍。

逆に、

信用買い残50万株
信用売り残100万株

なら0.5倍になります。

野村證券なども、信用倍率を「信用買い残÷信用売り残」と定義しています。(nomura.co.jp)

まずは「1倍」を基準に考える

初心者の方は、最初は1倍を基準にすると分かりやすいと思います。

信用倍率状態
1倍買い残と売り残が同じ
1倍未満売り残の方が多い
1倍超買い残の方が多い
10倍買い残が売り残の10倍
100倍買い残が売り残の100倍

一般的には、日本株では信用買い残の方が多い銘柄が多いため、1倍を超えていること自体は珍しくありません。(rakuten-sec.co.jp)

したがって、

「2倍だから危険」
「3倍だから買ってはいけない」

と単純に判断するものではありません。

ただし倍率が10倍、20倍、50倍と高くなれば、

「信用買いにかなり偏っている」

ことは分かります。

将来売られる可能性のある信用買いが、信用売りに比べて大量に積み上がっているということです。

1倍前後は需給面では比較的良好と見られやすい

例えば、

信用買い残100万株
信用売り残80万株

なら信用倍率は1.25倍です。

買い残と売り残が比較的拮抗しています。

このような状態で株価が上昇すると、

空売りしている投資家の買い戻し

も株価上昇を後押しする可能性があります。

証券会社の解説でも、信用買い残と売り残が拮抗して1倍台、あるいは1倍を下回る状態は、需給面では株価が上昇しやすいと見る考え方があります。(smbcnikko.co.jp)

ただし、これも絶対ではありません。

業績が悪化すれば、信用倍率0.5倍でも株価は下がります。

信用倍率はあくまで「需給を見る材料」です。

信用倍率10倍なら買ってはいけない?

ここが難しいところです。

例えば、

A社
信用買い残100万株
信用売り残10万株
信用倍率10倍

だったとします。

これだけを見ると、

「買い残が多いので危険」

と思うかもしれません。

しかし、その会社の1日の出来高が1,000万株あれば、100万株の買い残はそれほど大きな負担ではないかもしれません。

逆に、

信用買い残100万株
信用売り残10万株
信用倍率10倍

が同じでも、1日の出来高が5万株しかない銘柄なら話は変わります。

信用買い残100万株を市場で消化するには、かなり時間がかかります。

つまり信用倍率を見るときは、

「倍率が何倍か」

だけではなく、

信用買い残の株数
日々の出来高
発行済株式数
株価の方向

なども一緒に見る必要があります。

私なら「倍率」より先に増減を見る

今回の9月28日の変更で、個人的に最も使いやすくなると思うのがここです。

例えば信用倍率が20倍だったとします。

20倍だけを見ると高く感じます。

しかし、

先週 40倍
昨日 30倍
今日 20倍

と下がってきているのであれば、信用買い残が整理されている可能性があります。

逆に、

先週 3倍
昨日 7倍
今日 15倍

と急上昇しているなら、

株価上昇を見て信用買いが急速に増えている

可能性があります。

同じ20倍でも、

「40倍から20倍へ改善した」

のか、

「5倍から20倍へ悪化した」

のかでは意味がまったく違います。

そのため私は、

信用倍率そのものよりも、

「昨日より信用買いが増えたのか、減ったのか」

を重視した方が、今回の日次公表を活用しやすいと思います。

株価と信用残をセットで見る

さらに重要なのが、株価との組み合わせです。

例えば、

株価上昇 + 信用買い残急増

なら、

「上昇を見て信用買いが集まっている」

状態です。

このまま上がることもありますが、信用買いが積み上がりすぎると、将来の売り圧力になる可能性があります。

一方、

株価下落 + 信用買い残減少

なら、

「含み損を抱えた信用買いが整理されている」

可能性があります。

株価としては悪く見えても、需給面では少しずつ改善している場合があります。

これは現物株を買う人にも非常に役立つ見方です。

「貸借倍率」と混同しない

もうひとつ、初心者の方が迷いやすいのが「貸借倍率」です。

信用倍率は、

信用買い残 ÷ 信用売り残

です。

一方、貸借倍率は、証券金融会社の日証金残を使って、

融資残 ÷ 貸株残

で計算します。楽天証券も、この2つを別の指標として説明しています。(rakuten-sec.co.jp)

似た数字ですが、対象となる取引範囲が違います。

今回9月28日から毎日公表される全銘柄の信用取引残高を見る場合は、まず「信用買い残と信用売り残」を見れば十分だと思います。

初心者なら、この3つだけ確認すればいい

最初から難しい分析をする必要はありません。

私ならまず、

  1. 信用買い残と信用売り残のどちらが多いか
  2. 前日より買い残・売り残が増えたのか減ったのか
  3. そのとき株価は上がっているのか下がっているのか

この3つを確認します。

例えば、

「株価は上昇しているが信用買いも毎日急増している」

なら少し警戒する。

逆に、

「株価は下落しているが信用買い残がどんどん減っている」

なら、

「そろそろ信用買いの整理が進んできたのでは?」

と考える材料になります。

9月28日以降、全銘柄の信用残を毎営業日確認できるようになることで、この変化を以前よりタイムリーに追えるようになります。現在は全銘柄の週末残高が週1回公表され、一部の対象銘柄のみ日々の残高が公表されています。(jpx.co.jp)

今回の制度変更で重要なのは、

「信用倍率○倍だから買う・売る」

ではありません。

日々の変化を見ながら、

「今、この銘柄に信用買いが積み上がっているのか」
「逆に整理が進んでいるのか」

を判断できるようになることです。

次は、いよいよ今回の記事の中心となる、

「9月28日からの毎日公表によって、個人投資家に具体的にどんなメリットが生まれるのか」

を整理していきます。

 

④ 毎日公表で何が変わる?個人投資家に考えられるメリット

9月28日から全銘柄の信用取引残高が毎営業日公表されることで、個人投資家にとって何が変わるのでしょうか。

JPX総研は、日次化によって個別銘柄の需給動向やレバレッジ状況の変化をタイムリーに把握でき、売買タイミングの判断や急激な需給変化に対するリスク管理への活用が期待できると説明しています。

個人的には、単に「毎日数字が見られるようになる」という以上の意味があると考えています。

メリット① 信用買いの積み上がりを早く発見できる

これまでは、全銘柄の信用残高は基本的に週1回の確認でした。

例えば月曜日から株価が急上昇し、その過程で信用買いが大量に入っていたとしても、一般の投資家が全銘柄についてその変化を確認できるまでには時間差がありました。

9月28日以降は、前営業日時点の全銘柄の信用残高が毎営業日16時ごろ公表されます。さらに前日比も確認できます。

例えば、

月曜 100万株
火曜 130万株
水曜 190万株
木曜 280万株

と信用買いが増えていれば、

「株価上昇と同時に信用買いもかなり積み上がっている」

ことを数日単位で確認できます。

株価だけを見て、

「まだ上がりそうだから買おう」

と追いかける前に、需給面で少し立ち止まる材料になります。

メリット② 下落時に信用買いの整理が進んでいるか分かる

個人的には、こちらの方がさらに使いやすいのではないかと思っています。

株価が大きく下落した銘柄を見ると、

「そろそろ安いのでは?」

と思うことがあります。

しかし、

株価は下落
信用買い残はさらに増加

という状態なら、下がるたびに信用買いでナンピンしている投資家が増えている可能性があります。

反対に、

株価は下落
信用買い残も大きく減少

なら、信用買いの損切りや返済が進み、需給面の重しが少しずつ軽くなっている可能性があります。

もちろん、信用買い残が減ったから底値という意味ではありません。

ただ、

「株価は下がった。しかし信用整理はまだ終わっていない」

のか、

「株価は下がった。そして信用整理もかなり進んだ」

のかを毎日確認できるようになるのは、押し目買いや逆張りをする個人投資家にはかなり有益だと思います。

メリット③ 急騰銘柄へ飛び乗る前に一度確認できる

株価が数日で20%、30%と上昇すると、

「まだ上がるかもしれない」

と買いたくなるものです。

しかし、その裏で信用買い残も急増していれば、短期投資家のポジションが相当積み上がっている可能性があります。

9月28日以降の公表資料では、売残・買残について株数だけでなく金額、前日比、上場株式数に対する比率、一般信用・制度信用の内訳なども確認できる予定です。

そのため、

「株価が高い」

だけではなく、

「信用取引まで過熱していないか」

を確認してから入ることができます。

特に材料だけで急騰した小型株などでは、一つのブレーキ役になる情報だと思います。

メリット④ 「買い残100万株」の重さを判断しやすくなる

新しい公表資料では、上場株式数に対する信用残高の比率も確認できます。

これはかなり便利だと思います。

同じ信用買い残100万株でも、

発行株式数1億株の会社と、500万株しかない会社では意味が違います。

さらに日々の出来高も組み合わせれば、

「この買い残は市場で簡単に消化できそうか」

「通常の出来高に対してかなり大きな残高なのか」

を考えやすくなります。

信用倍率だけより、こちらの方が実際の需給を理解しやすい場面もあると思います。

メリット⑤ 個人投資家の「情報の遅れ」が小さくなる

これまでにも一部の日々公表銘柄などについては毎日の信用残を確認できましたが、対象は限定されていました。

9月28日以降は全銘柄へ広がります。

機関投資家やプロと完全に同じ情報環境になるわけではありません。

分析システム、取引情報、資金力などには当然差があります。

それでも、

「一般の個人投資家は週1回の信用残しか見られない」

という時間差が小さくなることは、明らかにプラスです。

少なくとも、翌日の取引を考える前に、

前日の株価
出来高
信用買い残
信用売り残
その増減

を同時に確認できるようになります。

この点は、今回の変更で個人投資家が受ける最も分かりやすい恩恵の一つだと思います。


私ならこう取り組む

ここからは重要です。

以下はJPXが推奨している投資方法ではありません。また、これで株価の上げ下げを正確に予測できるというものでもありません。

あくまで今回の日次公表を見て、私ならどのように投資へ取り入れるかを考えたものです。

実際に制度が始まれば、想定とは違う動きになる可能性もあります。

その前提で、私は次のように使ってみたいと思います。

まず「信用倍率○倍」で売買しない

最初に決めておきたいのは、

「信用倍率10倍だから買わない」

「1倍以下だから買う」

という使い方はしないことです。

見るのは、絶対値より変化です。

例えば20倍でも、

40倍 → 30倍 → 20倍

なら改善方向。

反対に5倍でも、

2倍 → 3倍 → 5倍

なら信用買いが増えている可能性があります。

私はまず、3~5営業日程度の流れを見たいと思います。

株価が下がった銘柄を買う前に信用買い残を見る

私なら特にここで利用します。

例えば買いたい銘柄が10%下落したとします。

以前なら、

業績に問題なし
市場全体の暴落ではない
PERも下がった
配当利回りも上がった

まで確認して、「そろそろ買おうか」と考えていました。

今後はもう一つ、

「信用買い残はどうなった?」

を加えます。

もし、

株価 -10%
信用買い残 +30%

なら、すぐには買わない。

下落しているのに信用買いが大量に増えているなら、まだ需給整理が終わっていない可能性があるからです。

反対に、

株価 -10%
信用買い残 -30%

なら、

「信用組の投げ売りがかなり出たのでは?」

と考えます。

業績に問題がなければ、こちらの方が私には買いやすい状態です。

これは今回の日次化によって、かなり使いやすくなるのではないかと予想しています。

セクター内で1社だけ下がったときにも使ってみたい

例えば鉄道株で、

JR東日本 +1%
JR東海 +1%
JR西日本 -2%

となったとします。

これだけなら、

「JR西日本だけ出遅れている。戻る可能性があるのでは?」

と考えます。

そこに信用残を加えます。

もしJR西日本だけ、

信用買い残が急増

しているなら、一度待つ。

反対に、

株価だけ下落
信用買い残は減少

なら、需給整理後の反発を考える材料になるかもしれません。

これはまだ私自身も検証していない考え方です。

ただ、毎日の信用残が確認できるようになれば、これまで行っていた株価比較に「需給」という新しい判断材料を追加できます。

かなり試してみたい使い方です。

急騰銘柄は「買い残急増」なら追いかけない

もう一つは、急騰時です。

例えば株価が3日で20%上昇。

同時に、

信用買い残も2倍

になっていたとします。

会社の材料が良くても、私はその場では追いかけないと思います。

信用買いが大量に入った状態では、少し株価が崩れただけで利益確定や損切りが一気に出る可能性があるからです。

逆に、

株価上昇
信用売り残増加

なら少し違った見方ができます。

さらに上昇すれば空売りの買い戻しが入る可能性があるためです。

ただし、これも「だから上がる」と決めつけるつもりはありません。

あくまで、

「今、株価の裏側でどちらのポジションが増えているのか」

を見る材料として使います。

毎日全部の銘柄を見る必要はない

全上場銘柄の信用残が毎日出るからといって、毎日数千銘柄を見る必要はないと思います。

私なら、

保有銘柄
購入候補銘柄
大きく下落した銘柄
急騰した銘柄

だけ確認します。

特に買おうと思った銘柄について、

決算
PER・PBR
配当
財務
株価チャート

を確認した最後に、

「信用残はどうなっている?」

を見る。

信用残を銘柄選びの主役にはせず、最後の売買タイミングを考える補助材料として使うつもりです。

これが現時点で、私が一番現実的だと思っている活用方法です。


今回の制度変更で、株価を予測できるようになるわけではありません。

ただ、

「下がったから安い」
「上がっているから強い」

だけではなく、

「その裏で信用取引がどう動いているのか」

を毎日確認できるようになります。

私はこの情報を、銘柄を選ぶためというより、

「今、本当に買っていいのか」を最後に確認する材料

として使ってみたいと思っています。

実際に9月28日以降のデータを何か月か見ながら、自分の売買に本当に使えるのか検証していきたいと思います。

 

⑤ 毎日見られるからこそ注意|信用残を過信してはいけない理由

9月28日から全銘柄の信用残を毎営業日確認できるようになると、個人投資家にとって情報量は確実に増えます。

ただし、ここで注意したいのが、

「毎日見られるようになったから、毎日売買判断に使えばいい」

というわけではないことです。

信用残は非常に参考になる情報ですが、使い方を間違えると、逆に判断を迷わせる材料にもなります。

注意① 公表されるのはリアルタイムではない

まず大前提として、9月28日以降も信用残がリアルタイムで見られるわけではありません。

JPXでは、個別銘柄の信用取引残高を翌営業日の16時ごろに公表します。つまり、見ている数字は前営業日時点の残高です。(jpx.co.jp)

例えば火曜日16時に確認できるのは、月曜日時点の信用残です。

火曜日の取引中に信用買いが急増していても、その数字はまだ反映されません。

したがって、

「今この瞬間に信用買いが増えている」

という情報ではありません。

これまでの週1回公表に比べれば大幅に早くなりますが、1営業日のタイムラグがある情報として使う必要があります。

注意② 信用売り残=すべての空売りではない

もうひとつ重要なのが、

信用売り残と空売り残高は同じではない

ということです。

空売りには、信用取引を使った売りだけでなく、信用取引制度を使わず、株券を借りて売却する取引も含まれます。JPXも、「空売り」は信用取引による売りを含む、より広い概念だと説明しています。(jpx.co.jp)

つまり、

信用売り残が少ない

空売りが少ない

とは限りません。

特に機関投資家などが大きく空売りしている場合、その動きは信用売り残だけでは把握できないことがあります。

なお、一定規模以上の空売り残高については、別途「空売り残高に関する情報」として公表されています。東証では、残高割合0.5%以上など一定条件に該当する空売りポジションを公表しています。(jpx.co.jp)

そのため、

「信用売り残が少ないから売り圧力はない」

と決めつけない方がいいんじゃなかな?と私は思います。

注意③ 信用倍率だけで売買すると危険

前の項目でも説明しましたが、

信用倍率1倍以下だから買い
信用倍率10倍以上だから売り

という単純な使い方は避けたいところです。

例えば、

信用買い残100万株
信用売り残1万株

なら信用倍率は100倍です。

数字だけ見ると非常に悪く見えます。

しかし、その銘柄の1日の出来高が2,000万株あるなら、100万株という買い残は市場全体から見るとそれほど重くない可能性があります。

一方、

信用買い残50万株
信用売り残10万株
信用倍率5倍

でも、1日の出来高が2万株しかなければ、50万株の信用買い残はかなり大きな重しになる可能性があります。

大切なのは、

倍率
残高株数
出来高
発行済株式数
株価の方向

を組み合わせて見ることです。

注意④ 1日だけの増減に振り回されない

日次公表になると、毎日数字が変わります。

これはメリットでもありますが、同時に注意点でもあります。

例えば信用買い残が、

100万株

120万株

になったからといって、

「20%増えた。危険だ」

とすぐ判断する必要はありません。

翌日には80万株へ減るかもしれません。

また、大口取引や一時的なポジション調整によって数字が大きく動くことも考えられます。

私なら、1日だけの変化より、

3営業日から5営業日程度の方向性

を見ます。

増え続けているのか。

減り続けているのか。

それとも増減を繰り返しているだけなのか。

日次化されたからこそ、1日の数字ではなく流れを見ることが重要になると思います。

注意⑤ 信用買いが多いこと自体が悪いわけではない

信用買いが増えている銘柄は、

「買い残が多いから危ない」

と言われることがあります。

しかし、信用買いが増えている理由が、

好決算
上方修正
新製品
業績回復

など、企業価値の上昇を期待したものなら、そのまま株価が上昇する可能性もあります。

信用買い残は、

「投資家がこの銘柄に注目している」

ことの表れでもあります。

問題なのは、

信用買い残が多いか少ないかではなく、株価や企業業績と比べて過度に積み上がっているか

だと思います。

例えば業績が悪化しているのに、

「そろそろ反発するだろう」

という信用買いだけが増えている。

こうした状態の方が、私は注意したいです。

注意⑥ 株価が下がって信用買いが減っても、底値とは限らない

逆に、

株価下落
信用買い残減少

を見ると、

「信用整理が進んだ。そろそろ底だ」

と思いたくなります。

しかし、会社自体の業績が悪化していれば、さらに株価が下がる可能性があります。

例えば、

業績下方修正
減配
不祥事
大型増資

などの材料が出ている場合です。

信用買いが整理されたからといって、企業価値まで回復したわけではありません。

私は、

業績確認が先、信用残は後

という順番を崩さない方がよいと思います。

注意⑦ 「情報が増えた=売買回数を増やす」ではない

今回の制度変更で、一番やってはいけないと思うのがこれです。

毎日信用残が見られるようになる。

すると、

月曜日は買い残増加
火曜日は売り残増加
水曜日は倍率改善

と、毎日何かしら変化が見えるようになります。

そのたびに、

「買おう」
「売ろう」
「やっぱり買い戻そう」

と売買していたら、情報に振り回されるだけです。

私はむしろ、

売買回数を増やすためではなく、余計な売買を減らすために使う

方がよいと思っています。

例えば、

「買いたい。でも信用買いが急増しているから3日待とう」

という使い方です。

結果的にそのまま株価が上がって買えないこともあるでしょう。

それでも、勢いだけで高値掴みする回数を減らせるなら、十分意味があります。

信用残は「答え」ではなく「確認材料」

今回の日次化によって、個人投資家が使える情報は増えます。

しかし、

信用残を見れば未来の株価が分かる

わけではありません。

信用残は、

業績
財務
PER・PBR
配当
株主優待
チャート
出来高

などと組み合わせて初めて意味を持ちます。

私なら、

「この会社を買いたい」

と思った後の最後の確認として、

信用取引の需給はどうなっているか

を見る使い方をします。

つまり、

銘柄選びの主役にはしない。

売買タイミングを考える補助材料として使う。

このくらいの距離感が、一番使いやすいと思います。

そして情報が増えると何でも確認したくなりますが、私は逆に「買わない理由を探すための情報」として信用残を使ってみたいと思っています。

 

次は、ここまでの内容を踏まえて、

今回の変更で個人投資家の売買そのものがどのように変わる可能性があるのか

を、少し先まで予想して考えてみます。

 

⑥ 9月28日以降、株式市場はどう変わる?考えられる5つの変化

ここからは少し視点を変えて、

「信用残が毎日公表されるようになると、市場そのものはどう変わるのか?」

を考えてみます。

まず大前提として、9月28日から始まるのは信用取引の売買ルールそのものの変更ではありません。

全銘柄について前営業日時点の信用取引残高を日次で確認できるようになり、需給やレバレッジの変化をこれまでより早く把握できるようになるという変更です。JPX総研も、売買タイミングの判断や急激な需給変化へのリスク管理に活用できる可能性を挙げています。

したがって、以下は制度として決まっていることではなく、日次公表が始まった結果として私が考えている変化です。

① 信用買いが積み上がった銘柄は以前より警戒されやすくなるかもしれない

これまでは全銘柄の信用残を週1回確認するのが基本でした。9月28日以降は、毎営業日の変化を追えるようになります。現行の週末残高は週1回、火曜日16時30分ごろの公表です。

例えば株価が3日連続で上昇し、

月曜日 信用買い100万株
火曜日 150万株
水曜日 230万株

と増えていたとします。

これまでなら、

「株価が強い」

という値動きが目立ちました。

しかし今後は、

「株価は強いが、信用買いもかなり膨らんでいる」

と早い段階で気付く投資家が増える可能性があります。

その結果、

「もう少し様子を見よう」

「信用整理が入ってから買おう」

と考える人が増えるかもしれません。

そうなれば、信用買いだけで急激に上昇する銘柄については、以前より早い段階で警戒感が出る可能性があります。

② 急落後の「投げ売り終了」を意識する投資家が増えるかもしれない

反対に、下落局面でも利用できます。

例えば悪材料ではなく、市場全体の下落などで株価が大きく下がった銘柄があるとします。

その間に、

信用買い300万株

220万株

150万株

100万株

と急速に減っていたら、

「信用買いの投げ売りがかなり進んだのでは?」

と考える投資家が出てきます。

もちろん100万株になったから底値とは限りません。

しかし、

株価下落

信用買い整理

業績には大きな問題なし

という条件が揃えば、押し目買いや逆張りを検討する人にとっては一つの材料になります。

個人的には今回の日次化で、こうした使い方が増えるのではないかと考えています。

③ 信用残の急変そのものが「ニュース」になる可能性がある

これは十分あり得ると思います。

今後は、

「○○株、信用買い残が前日比50%増」

「△△株、信用売り残が急増」

といった数字が、株価ニュースやSNSで取り上げられるケースが増えるかもしれません。

現在でも一部の「日々公表銘柄」は信用取引残高を毎日公表し、信用取引の利用について注意を促す仕組みがあります。

これが全銘柄へ広がることで、

決算
業績修正
配当
株主優待

などに加えて、

「今日、信用残がどう変わったか」

そのものが、投資家の注目材料になる可能性があります。

ただし、ここは注意も必要です。

数字が毎日出ることで、一日だけの増減を大げさに取り上げる情報も増えるかもしれません。

見出しだけで判断せず、数日間の変化を見ることがますます重要になると思います。

④ 信用取引をしない現物投資家も信用残を見るようになる可能性がある

今回の変更で最も大きな変化になるかもしれないのが、これです。

信用残はこれまで、

「信用取引をする人が見るもの」

というイメージが強かったと思います。

しかし毎日簡単に確認できるようになれば、

現物株だけを買う人
高配当株を買う人
株主優待銘柄を買う人
長期投資家

でも、

「買う前に信用買い残を見ておこう」

という行動が増える可能性があります。

これは私自身もそうです。

信用取引を実際にしなくても、

「将来の売り圧力になり得る信用買いがどれくらいあるか」

を知ることには意味があります。

つまり信用残が、

信用投資家だけの情報から、

現物投資家も利用する一般的な投資情報

へ近づいていく可能性があります。

⑤ 「信用残を見ること」が当たり前になれば、逆に効果が薄れる可能性もある

ここは少し違った見方です。

仮に多くの投資家が、

「信用買い残が急増したから買わない」

と判断するようになったらどうでしょう。

信用買いが急増している銘柄では、早い段階から買い手が慎重になる可能性があります。

反対に、

「信用整理が進んだから買おう」

という投資家が一斉に増えれば、信用残の改善が株価に早く織り込まれる可能性もあります。

つまり情報が広く公開されることで、

信用残を使った単純な投資判断ほど、将来的には効果が薄れていく

可能性もあります。

これは株式市場では珍しいことではありません。

多くの投資家が同じ指標を見るようになれば、その情報は株価に反映される速度も速くなります。

そのため今回の日次化も、

「信用残を見るだけで儲かる制度変更」

ではありません。

むしろ、

「これまでより一つ早く需給を確認できるようになった」

くらいに考えておく方が良いと思います。

私が一番期待しているのは「買わない判断」がしやすくなること

今回の変更について考えていくと、私はここが一番大きいと思っています。

新しい情報が増えると、

「これで儲ける方法はないか?」

と考えがちです。

しかし私はむしろ、

「今日は買うのをやめておこう」

という判断に使えることの方が重要だと思います。

例えば、

業績は良い
株価も下がった
配当利回りも上がった

ここまで見れば買いたくなります。

ところが信用残を見ると、

信用買いが毎日増えている。

そうであれば、

「あと数日待ってみよう」

という選択肢が生まれます。

逆に、

株価が下がりながら信用買いが整理されてきた。

そこで初めて、

「そろそろ買ってもいいかもしれない」

と考える。

私にとって今回の日次化は、

売買回数を増やす情報ではなく、

無理な買いを減らすための情報

になるのではないかと期待しています。

もちろんこれは、現時点での私なりの予想です。

実際に9月28日から運用が始まり、数週間、数か月とデータを見ていけば、

「思っていたほど使えない」

という可能性もあります。

逆に、

「これは思った以上に売買判断に使える」

となるかもしれません。

まずは実際のデータを見ながら、自分なりの使い方を探していきたいと思います。

 

⑦ 9月28日から実際にどう見る?私ならこの順番で確認する

ここまで、

信用買い残・信用売り残とは何か
信用倍率をどう見るのか
日次公表でどんなメリットがあるのか

を説明してきました。

では9月28日以降、実際にはどこを見て、どう使えばよいのでしょうか。

私自身、最初から難しい分析をする必要はないと思っています。

むしろ毎日続けられるように、

「買おうと思った銘柄だけ、数分確認する」

くらいから始めるのがよいと思います。

まず見るのはJPXの「銘柄別信用取引残高」

東京証券取引所は、9月28日からウェブサイトで公開する「銘柄別信用取引残高」を、これまでの週1回から毎営業日16時ごろの公表へ変更します。

対象は全銘柄で、前営業日時点の残高が掲載されます。

さらにこれまでの株数だけでなく、金額も公表対象になります。(jpx.co.jp)

つまり、基本的には、

JPX

マーケット情報

統計情報(株式関連)

信用取引残高等

銘柄別信用取引残高

と確認すればよいことになります。

なお、制度変更は2026年9月28日を予定していますが、JPXは9月27日にシステム移行を行い、その可否を同日20時ごろ公表するとしています。(jpx.co.jp)

実際に利用する際は、9月28日にJPXの最新ページを一度確認しておくのがよいでしょう。

私なら最初に見るのは「買残の前日比」

表示される数字が増えると、全部確認したくなります。

しかし私は、最初からすべて見る必要はないと思っています。

まず確認するのは、

信用買い残
信用売り残
前日比

の3つです。

例えば購入を考えているA社が、

昨日
信用買い残100万株

今日
信用買い残140万株

となっていれば、

「1日で40%増えている」

ことが分かります。

株価も同時に急騰しているなら、

「株価上昇を見て信用買いがかなり入ったのでは?」

と考えます。

反対に、

信用買い残140万株

100万株

70万株

と減っているなら、

「信用買いの整理が進んでいる」

可能性があります。

私はまずここを見ます。

次に株価と出来高を合わせる

信用残だけでは判断しません。

次に見るのは、

株価
出来高

です。

例えば次の2つでは意味が違います。

パターンA

株価 +5%
出来高 急増
信用買い 急増

この場合は、

「人気化している一方で、信用買いも急速に積み上がっている」

と考えます。

株価はさらに上がる可能性もありますが、私は少し慎重になります。

パターンB

株価 -5%
出来高 急増
信用買い 大幅減少

こちらなら、

「売りがかなり出て、信用買いも整理された」

可能性があります。

業績に問題がなければ、買い場を探す材料としてはパターンBの方が私は気になります。

つまり、

信用残だけを見るのではなく、

「株価がどう動いた日に、信用残がどう変わったのか」

をセットで確認します。

さらに「上場株式数に対する割合」も確認したい

新しい公表資料では、信用残高について上場株式数に対する比率も確認できる予定です。(jpx.co.jp)

これは非常に使いやすいと思います。

例えば信用買い残100万株でも、

上場株式数1億株なら1%。

上場株式数500万株なら20%です。

同じ100万株でも意味がまったく違います。

私なら信用倍率より、

「その会社の株式数に対して、信用買いがどれくらい積み上がっているのか」

も見るようにしたいです。

一般信用と制度信用は最初は深く考えなくてもいい

新しい公表情報では、一般信用と制度信用の内訳も確認できます。

これは慣れてくれば有益だと思います。

ただ、投資初心者が最初から、

一般信用○万株
制度信用○万株

まで細かく分析すると、かえって分かりにくくなる可能性があります。

最初は、

買い残合計
売り残合計
前日比
株価
出来高

だけで十分だと思います。

慣れてきたら、

「制度信用が増えているのか」

などを追加で見る。

この順番の方が続けやすいと思います。

私なら毎日見るのは4種類の銘柄だけ

全銘柄が毎日公表されるからといって、全銘柄を確認するつもりはありません。

私なら見るのは次のような銘柄だけです。

保有している銘柄
購入を検討している銘柄
大きく下落した銘柄
急騰して気になった銘柄

例えば保有銘柄が20銘柄あっても、毎日20銘柄全部を見る必要もないと思っています。

特に動きがあった銘柄だけ見る。

これなら数分で終わります。

「買おう」と思った最後に信用残を見る

私なら、実際の購入判断はこの順番にします。

会社の業績を見る

決算内容を確認する

PER・PBRを見る

配当・株主優待を見る

株価が自分の購入水準まで来たか確認する

最後に信用残を見る

信用残を見てから銘柄を探すのではありません。

まず、

「この会社をこの価格なら買いたい」

という判断をします。

その最後に、

「信用買いが異常に積み上がっていないか」

を確認する。

私はこの使い方が最も自分に合っていると思います。

私なら簡単な記録も残してみる

今回の日次化で個人的に試してみたいのが、簡単な記録です。

例えば購入候補銘柄について、

日付株価信用買い残信用売り残出来高
9/281,000円100万株20万株50万株
9/29980円90万株22万株70万株
9/30960円70万株25万株100万株

という程度です。

これだけでも、

株価が下がる

出来高が増える

信用買いが減る

という動きが見えてきます。

数週間、数か月続ければ、

「自分が買う銘柄では、どのような信用残の変化がその後の反発につながりやすいのか」

という自分なりの傾向が見つかるかもしれません。

もちろん、これはまだ私も検証していない方法です。

だからこそ、実際のデータを残して確認してみたいと思っています。

あくまで私が考えた取り組みです

ここまで紹介した方法は、JPXが推奨する売買方法ではありません。

また、

この方法なら勝てる
この動きなら必ず株価が上がる

というものでもありません。

あくまで9月28日から信用残が毎日確認できるようになることを受けて、私自身が試してみたいと考えている取り組みです。

実際に数か月使ってみて、

「この見方は役に立った」

というものもあれば、

「思っていたほど使えなかった」

というものも出てくると思います。

その結果も含めて、自分の投資方法へ少しずつ取り入れていけばよいと考えています。

今回の制度変更で重要なのは、

新しい必勝法が生まれることではありません。

これまで週1回しか確認できなかった情報を毎日確認できるようになり、

「今日は買わない方がいいのでは?」

「信用整理が進んできたのでは?」

という判断材料が一つ増えることです。

私としては、そのくらいの使い方から始めたいと思っています。

 

⑧ まとめ|9月28日から信用残は「毎日見る情報」へ

2026年9月28日から、個別銘柄の信用取引残高の公表方法が大きく変わります。

今回の変更で最も重要なのは、

これまで週1回だった全銘柄の信用残を、毎営業日確認できるようになること

です。

さらに、

信用買い残
信用売り残
前日からの増減
一般信用・制度信用
金額
上場株式数に対する比率

など、これまで以上に詳しい情報を確認できるようになります。

信用取引を利用していない人には、

「自分には関係ない」

と思えるかもしれません。

しかし、信用買い残は将来の売り圧力、信用売り残は将来の買い戻しにつながる可能性があります。

つまり信用残は、

現物株しか買わない投資家にとっても、株価の需給を考える材料

になります。

初心者なら、まずこの3つだけ覚えておけばいい

今回の記事ではかなり詳しく説明しましたが、最初からすべて覚える必要はありません。

私なら、まず次の3点だけ確認します。

  1. 信用買い残と信用売り残のどちらが多いか
  2. 昨日より増えたのか、減ったのか
  3. そのとき株価は上がっているのか、下がっているのか

例えば、

株価上昇

信用買い急増

なら、

「上昇しているけれど、信用買いもかなり積み上がっている」

と少し警戒する。

反対に、

株価下落

信用買い大幅減少

なら、

「信用買いの整理が進んできたのでは?」

と考える。

まずはこの程度で十分だと思います。

信用倍率だけで買う・売るはしない

信用倍率も重要な指標ですが、

「1倍以下だから買う」

「10倍だから買わない」

と機械的に判断するものではありません。

同じ信用倍率でも、

出来高
上場株式数
株価の方向
業績

によって意味は変わります。

私は信用倍率そのものより、

数日間で信用残がどちらへ動いているのか

を重視したいと思っています。

業績を見ることが最優先なのは変わらない

今回の制度変更で信用残が見やすくなっても、企業分析の基本が変わるわけではありません。

まず確認するのは、

業績
財務
PER・PBR
配当
株主優待
今後の成長性

です。

そのうえで、

「この会社なら買いたい」

と思ったときに、

最後に信用残を確認する。

この順番で使いたいと思っています。

信用残が良いから悪い会社を買うのではなく、

良い会社を買うタイミングを考えるために信用残を見る

という考え方です。

私が今回の変更で一番期待していること

今回の制度変更によって、

「儲かる銘柄が簡単に見つかる」

とは考えていません。

私が一番期待しているのは、

買うのを少し待つ判断がしやすくなること

です。

例えば欲しい銘柄が大きく下落したとします。

以前なら、

「10%下がったから安い」

とすぐ買いたくなったかもしれません。

しかし今後は、

「信用買いはどうなっている?」

を確認できます。

信用買いがまだ急増しているなら、

「もう少し待ってみよう」

と考える。

逆に信用買いがかなり整理され、業績にも問題がなければ、

「そろそろ買ってもいいかもしれない」

と判断する材料になります。

売買回数を増やすためではなく、

高値掴みや早すぎる逆張りを少しでも減らすために使う。

私はこの使い方をまず試してみたいと思っています。

今回の変更は、個人投資家にとってプラスだと思う

これまで週1回しか確認できなかった全銘柄の信用残が、毎営業日確認できるようになります。

情報が増えること自体は、個人投資家にとってプラスだと思います。

ただし、その情報をどう使うかは別問題です。

信用残だけを見て売買すれば、逆に数字に振り回される可能性もあります。

だからこそ、

信用残は「答え」ではなく「判断材料のひとつ」

として扱うことが重要です。

今回紹介した「私ならこう取り組む」という方法も、あくまで現時点で私が考えている使い方です。

実際に9月28日から制度が始まり、数週間、数か月とデータを見ていけば、

「これは使える」

という部分も、

「思っていたほど使えない」

という部分も出てくるでしょう。

その結果を確認しながら、自分なりの活用方法を作っていけばよいと思います。

信用取引をする人だけではなく、現物株を中心に投資している人にとっても、今回の変更は知っておいて損のない内容です。

9月28日以降は、買いたい銘柄を見つけたとき、

「信用残はどうなっている?」

この確認をひとつ加えてみたいと思います。

※本記事は2026年9月時点の東京証券取引所等の公表資料をもとに作成しています。制度内容や公表方法は今後変更される可能性がありますので、実際に確認する際は最新のJPX情報をご確認ください。

※本記事で紹介した信用残の活用方法や「私ならこう取り組む」という内容は、筆者個人が考えた投資方法・予想です。将来の株価上昇や投資成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

ABOUT ME
マッスルトレーダーベイマックス
プライム企業で34年勤務(設備系管理職) 筋トレをこよなく愛するサラリーマン 2010年から株式投資を開始し、配当と株主優待を中心に多数保有 年間1000万円の配当収入を目標に、仕事と投資の両立を実践中 元現場管理のリアルな視点で、投資にも「地に足の着いた考え方」を持ち込みたいと考えています 。 保有資格 FP3級