「DOE・配当性向・累進配当の違い|減配しにくい高配当株はどれ?」

高配当株を探していると、
「配当利回り4%」
「配当性向40%」
「DOE3%以上」
「累進配当を採用」
といった言葉をよく見かけます。
投資を始めたばかりの方からすると、
「結局どの数字を見れば、減配しにくい会社なの?」
と迷ってしまうのではないでしょうか。
私自身も高配当株を選ぶとき、以前はまず配当利回りを確認していました。
もちろん配当利回りは重要です。
しかし、配当利回りが高いという理由だけで購入すると、その後業績が悪化して減配され、株価まで下がることがあります。
そこで確認したいのが、
配当性向・DOE・累進配当
です。
この3つはどれも株主還元に関係する言葉ですが、意味はまったく同じではありません。
配当性向は、
「会社が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当に回しているか」
を見る指標です。
DOEは、
「株主から預かった資本に対して、どれくらい配当を出しているか」
を見る指標です。
そして累進配当は、
「原則として前年度の配当を減らさず、維持または増配していく」
という配当方針です。
最近では、一時的な利益変動の影響を受けやすい配当性向からDOEへ変更し、同時に累進配当を明記する企業も出てきています。
では、
DOEを採用している会社なら安心なのか。
累進配当なら減配は絶対にないのか。
配当性向は何%くらいなら無理がないのか。
この記事では、DOE・配当性向・累進配当の違いを投資初心者の方にも分かるように整理しながら、
- それぞれ何を意味しているのか
- 高配当株ではどこを確認すればいいのか
- どの配当方針が減配されにくいのか
- 数字だけでは判断できない注意点
- 私が高配当株を選ぶときに確認しているポイント
を順番に解説していきます。
「配当利回りが高いから買う」から一歩進んで、その配当を今後も続けられる会社なのかを判断できるようになれば、高配当株選びで失敗する可能性を減らすことができます。
まずは、それぞれの違いを一番分かりやすい形で整理してみましょう。
① まず結論|DOE・配当性向・累進配当は何が違う?
DOE・配当性向・累進配当は、どれも株主還元に関係する言葉ですが、見ているものが違います。
まずは、3つの違いを簡単に整理してみましょう。
| 項目 | 何を見るもの? | 特徴 |
|---|---|---|
| 配当性向 | 利益のうち何%を配当に回すか | 業績によって配当額が変わりやすい |
| DOE | 株主資本に対して何%配当するか | 利益が一時的に減っても配当が安定しやすい |
| 累進配当 | 配当を減らさず維持・増配する方針 | 株主にとって将来の配当を予想しやすい |
3つの中で一番なじみがあるのは、配当性向ではないでしょうか。
配当性向は「利益からどれだけ配当するか」
配当性向は、
当期純利益のうち、どの程度を株主への配当に使ったか
を見る指標です。
例えば、会社が1株あたり100円の利益を出して、そのうち40円を配当した場合、
配当性向は40%
となります。
非常に分かりやすい指標ですが、業績が悪化して利益が減れば、配当も減りやすくなります。
例えば同じ40%の配当性向でも、
利益100円 → 配当40円
だった会社が、
利益50円 → 配当20円
となる可能性があります。
そのため、配当性向だけを見ていると、業績変動による減配リスクを受けやすいという特徴があります。
DOEは「株主資本を基準に配当する」
DOEとは「Dividend on Equity」の略で、日本語では株主資本配当率と呼ばれます。
計算の基準になるのは、その年の利益ではなく、
株主資本
です。
例えば株主資本が1株あたり2,000円あり、DOEを3%とする方針なら、
2,000円×3%=60円
が一つの配当目安になります。
利益が一時的に減ったとしても、株主資本が大きく変わらなければ配当額も急激には変わりにくくなります。
そのため、安定配当を重視する企業では、配当性向だけではなくDOEを採用するケースも増えています。
ただし、
DOEを採用している=必ず配当が維持される
という意味ではありません。
株主資本そのものが減少すれば、配当余力も低下します。
累進配当は「減配しないことを基本とする方針」
累進配当は、配当性向やDOEのような計算指標ではありません。
企業の配当方針です。
一般的には、
前年度の配当を下回らないようにし、維持または増配を目指す
という考え方です。
例えば、
1年目 50円
2年目 55円
3年目 55円
4年目 60円
というように、減配せず配当を積み上げていくことを目指します。
高配当株を長期保有する人にとっては、非常に分かりやすい方針です。
ただし、
累進配当だから減配は絶対にない
という意味ではありません。
業績や財務状況が大きく悪化すれば、企業が配当方針そのものを変更する可能性はあります。
3つは競合するものではない
ここが重要です。
配当性向・DOE・累進配当は、
「どれか一つだけを採用するもの」
ではありません。
例えば、
「DOE3%以上を目安とし、配当性向40%程度を意識しながら累進配当を実施する」
という企業もあります。
つまり、
配当性向
↓
利益に対する配当水準を見る
DOE
↓
株主資本に対する配当水準を見る
累進配当
↓
配当を減らさないという会社の姿勢を見る
というように、それぞれ別の角度から株主還元を確認することができます。
高配当株を選ぶときは、どれか一つだけを見るのではなく、3つを組み合わせて確認することが大切です。
次は、それぞれの中でも最も昔から使われている「配当性向」について、何%なら無理がないのかを詳しく見ていきます。
② 配当性向は何%なら安心?高すぎる配当は危険
配当性向は、高配当株を見るときに最もよく使われる指標の一つです。
計算式は、
配当性向=1株あたり配当金÷1株あたり利益(EPS)×100
です。
例えば、1株あたり100円の利益を出している会社が40円を配当していれば、配当性向は40%になります。
一見すると、配当性向が高いほど株主へ多く還元しているように見えます。
しかし、高すぎる配当性向には注意が必要です。
配当性向30~50%は比較的無理が少ない
一般的には、配当性向が30~50%程度であれば、利益の一部を株主へ還元しながら、残りを事業投資や内部留保に回しやすい水準です。
例えば利益100円に対して、
配当40円
内部に残す利益60円
であれば、株主還元と成長投資のバランスを取りやすくなります。
高配当株を長期保有する場合は、単に配当利回りだけを見るのではなく、
その配当を利益の範囲内で無理なく出しているか
を確認することが大切です。
配当性向70~80%を超えると注意
配当性向が70%、80%を超えてくると、利益の大部分を配当に回している状態です。
もちろん、成熟企業や設備投資の少ない企業であれば、高い配当性向を維持できる場合もあります。
ただし、業績が少し悪化しただけで、配当維持が難しくなる可能性があります。
例えば、
利益100円 → 配当80円
だった会社の利益が、
利益60円
まで減った場合、同じ80円を配当すれば配当性向は100%を超えてしまいます。
この状態が続けば、いずれ減配を検討する可能性が高くなります。
配当性向100%超は特に注意
配当性向が100%を超えている場合、
その年に稼いだ利益以上の配当を出している
ということになります。
一時的であれば問題にならない場合もあります。
例えば、
- 特別利益が出た前年との比較
- 一時的な減益
- 記念配当
- 過去の内部留保を活用した還元
などです。
しかし、何年も配当性向100%超が続いている場合は注意が必要です。
会社に残る利益が少なくなり、
- 設備投資
- 成長投資
- 借入金返済
- 財務改善
に使える資金が減ってしまうからです。
配当性向が低すぎても確認は必要
反対に、配当性向が10%や20%だから悪いというわけでもありません。
成長企業であれば、利益を配当に回すより、
新規事業や設備投資へ再投資した方が企業価値を高められる
場合があります。
そのため、
「配当性向が低い=株主還元が悪い」
と単純に判断するのも間違いです。
高配当株を探す場合は、
今の利益水準で配当を無理なく維持できるか
という視点で見ることが大切です。
配当性向は「1年だけ」で判断しない
もう一つ重要なのが、配当性向を1年分だけで判断しないことです。
企業の利益は毎年変わります。
そのため、
30%
↓
45%
↓
60%
↓
80%
と上昇している場合は、配当額が同じでも利益が減っている可能性があります。
反対に、
60%
↓
50%
↓
40%
と低下している場合は、利益成長によって配当余力が増えている可能性があります。
高配当株を見るときは、少なくとも数年分の推移を確認した方が安心です。
配当性向は非常に分かりやすい指標ですが、業績によって大きく変化します。
そのため最近では、利益だけを基準にする配当性向ではなく、株主資本を基準にするDOEを採用する企業も増えています。
次は、配当を安定させやすいといわれるDOEについて詳しく見ていきます。
③ DOEとは?なぜ配当が安定しやすいのか
DOEとは「Dividend on Equity」の略で、日本語では株主資本配当率と呼ばれます。
配当性向が「その年の利益」を基準にするのに対して、DOEは株主資本を基準に配当額を考える点が大きな違いです。
計算式は、
DOE=年間配当総額÷株主資本×100
です。
少し難しく見えますが、考え方はシンプルです。
会社がこれまで積み上げてきた株主資本に対して、毎年どのくらいの割合を配当として株主へ還元するのかを見る指標です。
DOEは利益が一時的に減っても配当が安定しやすい
例えば、1株あたりの株主資本が2,000円あり、DOE3%を目安にしている会社なら、
2,000円×3%=60円
が一つの配当目安になります。
この会社の利益が一時的に減ったとしても、株主資本が大きく減っていなければ、配当額も急激には変わりにくくなります。
ここが配当性向との大きな違いです。
配当性向40%の場合は、
利益100円 → 配当40円
利益50円 → 配当20円
というように、利益が半分になれば配当も大きく減る可能性があります。
一方、DOEは利益ではなく株主資本を基準にするため、単年度の業績変動に配当が左右されにくいという特徴があります。
長期保有の高配当株とは相性がよい
高配当株を長期保有する人にとって、最も避けたいのは突然の大幅減配です。
配当利回り4%だと思って購入したのに、翌年に配当が半分になれば、期待していた利回りも大きく下がってしまいます。
その点、DOEを採用している企業は、
「毎年の利益だけでなく、これまで積み上げてきた資本も使って安定的に還元する」
という考え方を持ちやすくなります。
そのため、配当を受け取りながら数年、数十年と保有する投資とは相性のよい指標です。
DOEが高ければ高いほど良いわけではない
ただし、DOEにも注意点があります。
例えばDOE8%、10%という数字を見ると、
「DOE3%の会社より株主還元が良い」
と思うかもしれません。
しかし、DOEが高すぎると、会社が持つ株主資本を大きく配当に回すことになります。
利益成長が伴っていなければ、
- 自己資本が減る
- 財務体質が弱くなる
- 将来の成長投資に使える資金が減る
可能性があります。
つまり、
DOEが高い=必ず安心
ではありません。
DOEを見るときも、利益や財務と一緒に確認する必要があります。
DOEとROEは一緒に見ると分かりやすい
DOEを理解するときに役立つのがROEです。
ROEは、
株主資本を使ってどれだけ利益を稼いだか
を見る指標です。
例えば、
ROE10%
DOE3%
なら、株主資本に対して10%の利益を稼ぎ、そのうち3%程度を配当として還元していると考えることができます。
一方、
ROE3%
DOE5%
のような状態が続けば、稼ぐ力以上に配当している可能性があります。
そのためDOEは単独で見るより、
ROE・利益成長・自己資本比率
と一緒に確認した方が安全です。
DOEを採用していても減配はありえる
ここも重要です。
DOEを採用している企業でも、
- 大幅な赤字
- 自己資本の減少
- 財務悪化
- 経営方針の変更
などが起これば、配当方針そのものが見直される可能性があります。
つまり、DOEは減配を完全に防ぐ制度ではありません。
ただし、毎年の利益だけで配当額を決めるよりも、配当を安定させやすい考え方であることは確かです。
高配当株を長期で保有する場合は、
「DOEを採用しているか」
「DOEは何%か」
「ROEや財務に無理がないか」
まで確認すると、その会社が安定配当を続けられそうか判断しやすくなります。
次は、DOEとは少し違い、企業が「配当を減らさない」と表明する累進配当について見ていきます。
④ 累進配当とは?本当に減配しないのか
累進配当とは、企業が配当について、
「原則として前年度の配当を下回らない」
という方針を示すものです。
つまり、
減配せずに配当を維持する
または
増配する
ことを基本とする考え方です。
例えば、
1年目 50円
2年目 55円
3年目 55円
4年目 60円
というように、配当額を下げずに積み上げていきます。
高配当株を長期保有したい人にとっては、非常に分かりやすい株主還元方針です。
累進配当は「計算式」ではなく「会社の方針」
ここはDOEや配当性向との大きな違いです。
配当性向は利益に対する割合、DOEは株主資本に対する割合を計算する指標です。
一方、累進配当は、
企業がどのように配当していくかという考え方
です。
そのため、
「累進配当40%」
「累進配当3%」
といった使い方はしません。
企業のIR資料などに、
「累進配当を基本方針とする」
と記載されているかどうかを確認します。
長期保有では分かりやすい安心材料になる
高配当株を長期で持つ場合、
「来年も同じ配当をもらえるのか」
は非常に重要です。
累進配当を掲げている企業なら、少なくとも会社自身が、
簡単には減配しない
という意思を示しています。
そのため、毎年配当額が大きく上下する会社より、将来の配当を予想しやすくなります。
特に、
- 配当金を生活費の一部にしたい
- 配当を再投資したい
- 10年以上の長期保有を考えている
といった人にとっては、確認しておきたい方針です。
ただし「絶対に減配しない」わけではない
累進配当で最も注意したいのがここです。
累進配当を宣言していても、
減配が法律上禁止されるわけではありません。
企業の業績や財務状況が大きく悪化すれば、配当方針そのものを変更する可能性があります。
例えば、
- 大幅な赤字が続く
- 借入金が急増する
- 自己資本が大きく減る
- 大規模投資が必要になる
- 経営環境が大きく変化する
といった場合です。
そのため、
「累進配当だから何も確認せず永久保有できる」
と考えるのは危険です。
累進配当も、会社の業績と財務が健全であることが前提になります。
累進配当でも配当が増えないことはある
もう一つ覚えておきたいのが、
累進配当=毎年増配
ではないということです。
例えば、
50円
↓
50円
↓
50円
↓
55円
でも累進配当の考え方には合っています。
配当を減らさず維持しているからです。
毎年必ず配当が増える「連続増配」とは少し違います。
そのため企業を見るときは、
累進配当なのか
連続増配を続けているのか
を分けて考える必要があります。
累進配当とDOEを組み合わせる企業もある
最近は、
累進配当+DOE
という株主還元方針を採用する企業もあります。
例えば、
「DOE3%以上を目安とし、累進配当を基本とする」
という形です。
この場合、
DOEによって配当の基準を作りながら、累進配当によって減配を避ける方針も示していることになります。
長期投資家にとっては、比較的分かりやすい株主還元方針です。
ただし、この場合も重要なのは、
その配当を支えられるだけの利益と財務があるか
という点です。
どれだけ魅力的な配当方針を掲げていても、会社が稼げなくなれば維持することは難しくなります。
累進配当は、高配当株を長期保有するうえで確認しておきたい方針ですが、万能ではありません。
次は、ここまで説明してきた配当性向・DOE・累進配当のうち、結局どれを一番重視すればよいのかを整理していきます。
⑤ 結局どれを重視する?3つの優先順位
ここまで、
- 配当性向
- DOE
- 累進配当
について説明してきました。
では、高配当株を選ぶときは、結局どれを一番重視すればよいのでしょうか。
答えは、どれか一つだけを見るのではなく、役割の違う3つを組み合わせて確認することです。
ただし、初心者の方が最初からすべての数字を細かく調べるのは大変です。
そこで、確認する順番を整理してみます。
① まず「累進配当」を確認する
最初に確認したいのが、企業が累進配当を掲げているかどうかです。
理由はシンプルです。
累進配当を採用している企業は、
「原則として配当を減らさない」
という方針を株主に示しているからです。
高配当株を長期保有する場合、
配当利回りが現在4%あることよりも、
その配当が5年後、10年後も続く可能性があるか
の方が重要です。
累進配当を掲げていれば、少なくとも会社が安定した株主還元を意識していることが分かります。
ただし、累進配当という言葉だけで購入を決めるのではなく、次のDOEや配当性向も確認します。
② 次に「DOE」を確認する
累進配当を確認したら、次に見たいのがDOEです。
DOEを採用している企業は、単年度の利益だけではなく、これまで積み上げた株主資本を基準に配当を考えています。
そのため、
一時的な減益でも配当が大きく変わりにくい
という特徴があります。
例えば、
累進配当+DOE3%以上
といった方針であれば、
「減配を避ける方針」
と
「配当額を決める基準」
の両方が示されていることになります。
長期保有を前提とする高配当株では、確認しやすい組み合わせです。
③ 最後に「配当性向」を確認する
累進配当やDOEが魅力的でも、その配当を会社が無理して出していないか確認する必要があります。
そこで見るのが配当性向です。
例えば、
累進配当
DOE3%以上
という魅力的な方針でも、配当性向が毎年80%、90%を超えているようなら注意が必要です。
利益のほとんどを配当に回している状態だからです。
反対に配当性向が30~50%程度で、利益も安定しているのであれば、配当を続ける余力が比較的大きいと考えられます。
つまり配当性向は、
「会社が掲げている配当方針を、本当に無理なく実行できているか」
を確認するために使うと分かりやすいでしょう。
理想的なのは3つのバランスが取れている会社
例えば、次のような企業があったとします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配当利回り | 3.5% |
| 累進配当 | 採用 |
| DOE | 3%以上 |
| 配当性向 | 40% |
| 自己資本比率 | 60% |
| 利益 | 安定して増加 |
この会社なら、
配当利回りだけが高いのではなく、
配当方針・配当余力・財務の3つが比較的バランスよく整っている
と見ることができます。
一方、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配当利回り | 6% |
| 累進配当 | なし |
| DOE | なし |
| 配当性向 | 110% |
| 自己資本比率 | 25% |
| 利益 | 減少中 |
という企業ならどうでしょうか。
配当利回り6%は魅力的ですが、その配当が今後も続くのかについては慎重に確認する必要があります。
高配当株では、
「今何%もらえるか」より「その配当を続けられるか」
の方が重要です。
配当利回りだけで順位を決めない
初心者の方が高配当株を探すと、
4%
5%
6%
と配当利回りの高い順に魅力的に感じることがあります。
しかし、配当利回りが急に高くなっている場合は、
株価が大きく下落した結果として利回りが上昇している
可能性もあります。
つまり高い利回りそのものが、会社に何らかの問題があるサインになっていることもあります。
そのため高配当株を見るときは、
① 累進配当などの配当方針
② DOEなど配当を決める基準
③ 配当性向に無理がないか
④ 業績・財務が安定しているか
という順番で確認すると、配当利回りだけに惑わされにくくなります。
ここまで見ると、配当性向・DOE・累進配当だけではなく、最終的には会社そのものが安定して利益を出せるかが重要だと分かります。
次は、配当方針が良くても注意したい「減配のサイン」について確認していきます。
⑥ こんな高配当株は注意|減配前に見たい5つのサイン
累進配当やDOEを採用している企業でも、業績や財務が大きく悪化すれば減配する可能性があります。
そのため高配当株を長期保有するなら、
「今の配当利回りが何%か」だけではなく、減配につながりそうな変化が起きていないか
を確認することが大切です。
ここでは、決算を見るときに注意したい5つのサインを紹介します。
① 利益が何年も減っている
最初に確認したいのが、本業の利益です。
例えば営業利益が、
100億円
↓
90億円
↓
70億円
↓
50億円
と何年も減っているのに、配当だけが維持されている場合は注意が必要です。
会社が稼ぐ利益が減れば、いずれ配当を支える余力も小さくなります。
1年だけ減益になったから危険というわけではありません。
重要なのは、
利益減少が一時的なのか、それとも数年間続いているのか
を見ることです。
② 配当性向が年々上昇している
配当額が変わっていなくても、利益が減れば配当性向は上昇します。
例えば配当40円を維持していても、
EPS100円 → 配当性向40%
EPS80円 → 配当性向50%
EPS50円 → 配当性向80%
となります。
株主から見ると「40円の配当を維持してくれている」と感じますが、会社側では少しずつ負担が大きくなっています。
特に配当性向が70~80%を超え、さらに上昇している場合は、
現在の配当を維持できるか
を慎重に確認した方がよいでしょう。
③ 営業キャッシュフローが悪化している
利益と一緒に確認したいのが、営業キャッシュフローです。
営業キャッシュフローとは、簡単にいえば、
本業によって実際にどれだけ現金を生み出したか
を見る数字です。
会社は利益が出ていても、実際の現金が十分に入っていない場合があります。
例えば、
売上は増えている
営業利益も黒字
しかし営業キャッシュフローはマイナス
という状態が続いている場合は注意が必要です。
配当は最終的に現金で支払います。
そのため、高配当を長期間維持するには、本業から安定して現金を生み出せていることが重要です。
④ 借入金が増え、自己資本比率が低下している
もう一つ確認したいのが財務です。
例えば、
借入金が毎年増加
↓
自己資本比率が低下
↓
利益はあまり増えていない
という状態になっている場合、会社の財務負担は大きくなっています。
このブログでは、財務を見る一つの目安として、
自己資本比率50%以上
を基準にしています。
もちろん業種によって適正水準は異なりますが、長期保有する高配当株では、できるだけ財務に余裕がある会社を選びたいところです。
業績が悪化したとき、
財務が強い会社
↓
内部資金を使って配当を維持しやすい
財務が弱い会社
↓
借入返済を優先し、配当を減らす可能性が高くなる
という違いが出ることがあります。
⑤ 配当方針そのものが変わった
これは特に注意したいサインです。
企業のIR資料には、
「配当性向40%を目安」
「DOE3%以上」
「累進配当を基本とする」
など、株主還元方針が記載されています。
ところが決算発表や中期経営計画の更新時に、
この文章が削除されたり、条件が変更されたりすることがあります。
例えば、
「累進配当を基本とする」
という表現がなくなれば、それだけで即減配というわけではありませんが、今後の株主還元方針が変化した可能性があります。
配当額だけを見るのではなく、
企業が何を約束しているのか
にも注目したいところです。
1つだけではなく複数のサインを見る
ここまで紹介した5つを整理すると、
- 利益が数年間減少している
- 配当性向が上昇している
- 営業キャッシュフローが悪化している
- 借入金が増え、自己資本比率が低下している
- 配当方針が変更されている
となります。
このうち1つだけ当てはまったからといって、すぐに減配するとは限りません。
しかし、
利益減少+配当性向上昇+財務悪化
のように複数の問題が同時に起きている場合は注意が必要です。
高配当株では、減配が発表されてから慌てるのではなく、こうした変化を決算ごとに確認しておくことで、リスクを早めに察知しやすくなります。
次は、実際に高配当株を買う前にどの数字を確認すればよいのか、初心者向けのチェック項目として整理していきます。
⑦ 高配当株を買う前に確認したい7項目
ここまで、配当性向・DOE・累進配当について見てきました。
ただし、実際に高配当株を購入するときは、この3つだけで判断するのでは不十分です。
高配当株を長期保有するなら、最低でも次の7項目は確認しておきたいところです。
① 配当利回り
まず確認するのが配当利回りです。
このブログでは、
配当利回り3%以上
を高配当株の一つの目安にしています。
ただし、利回りが5%、6%と高いからといって、それだけで魅力的とは限りません。
株価が大きく下落した結果、見かけ上の配当利回りが高くなっている場合もあるからです。
そのため配当利回りは、
「高いかどうか」ではなく「なぜ高いのか」
まで確認することが大切です。
② 配当性向
次に、現在の配当を無理なく出せているかを確認します。
目安としては30~50%程度なら比較的余裕があります。
一方で70~80%を超えている場合は、利益が少し減っただけでも配当維持が難しくなる可能性があります。
配当性向は1年だけではなく、数年分を確認すると分かりやすいでしょう。
③ DOE・累進配当などの株主還元方針
企業のIR資料には、今後どのような考え方で配当するのかが記載されています。
例えば、
- DOE3%以上
- 配当性向40%程度
- 累進配当
- 安定配当
などです。
現在の配当金額だけを見るのではなく、
会社が将来どのように配当を続けようとしているのか
まで確認します。
特に長期保有では、累進配当やDOEを採用しているかは重要な判断材料になります。
④ 売上高・営業利益
配当を長期間続けるためには、本業が安定していることが必要です。
売上高と営業利益が、
毎年増えているのか
横ばいなのか
数年間減っているのか
を確認します。
特に重要なのが営業利益です。
売上高が増えていても、営業利益が減っている場合は、
「たくさん売っているのに利益が残らない」
状態になっている可能性があります。
高配当株では、利益が安定している会社を選びたいところです。
⑤ 営業キャッシュフロー
利益と一緒に確認したいのが営業キャッシュフローです。
営業キャッシュフローが継続してプラスであれば、
本業から現金を生み出せている
と判断しやすくなります。
反対に、営業利益は黒字なのに営業キャッシュフローが何年もマイナスの場合は注意が必要です。
配当は現金で支払うため、長期的な配当維持にはキャッシュフローも重要です。
⑥ 自己資本比率・借入金
次に財務を確認します。
このブログでは、
自己資本比率50%以上
を一つの健全性の目安にしています。
もちろん銀行、不動産、リースなど業種によって適正水準は異なります。
それでも、一般的な事業会社で自己資本比率が高ければ、景気悪化や業績悪化にも比較的耐えやすくなります。
さらに、
借入金が毎年大きく増えていないか
も確認します。
配当利回りが高くても、財務が急速に悪化している会社は注意が必要です。
⑦ 配当の過去推移
最後に確認したいのが、実際にどのような配当をしてきたかです。
企業が、
「安定配当を目指します」
と言っていても、過去に何度も大幅減配しているなら慎重に見る必要があります。
例えば、
30円
↓
35円
↓
40円
↓
45円
と増配している会社と、
60円
↓
30円
↓
50円
↓
20円
と大きく変動している会社では、配当の安心感が違います。
少なくとも5年程度、できれば10年程度の配当推移を確認すると、その企業の株主還元への姿勢が見えやすくなります。
7項目を一覧で確認する
高配当株を調べるときは、次のように整理すると分かりやすいでしょう。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 配当利回り | 3%以上を一つの目安 |
| 配当性向 | 30~50%程度なら比較的余裕 |
| DOE・累進配当 | 安定配当を意識した方針か |
| 売上高・営業利益 | 数年間安定しているか |
| 営業キャッシュフロー | 継続してプラスか |
| 自己資本比率 | 50%以上を一つの目安 |
| 配当推移 | 減配が多くないか |
もちろん、すべて完璧な企業は多くありません。
重要なのは、
どこが強く、どこにリスクがあるのかを理解したうえで購入すること
です。
高配当株は、配当利回りだけを見れば簡単に選べそうに見えます。
しかし実際には、
利益・財務・キャッシュフロー・配当方針
まで確認することで、その配当が長く続く可能性を判断しやすくなります。
次は最後に、DOE・配当性向・累進配当をどのように使って高配当株を選べばよいのか、この記事全体をまとめていきます。
⑧ 累進配当・DOEを採用している銘柄はどうやって探す?
ここまで読んで、
「累進配当やDOEを採用している会社を実際に探してみたい」
と思った方もいるでしょう。
探し方は難しくありません。
私が銘柄を調べるときも、まずGoogleで次のように検索します。
「企業名 累進配当」
または、
「企業名 DOE」
です。
例えば、気になっている会社が○○株式会社なら、
「○○株式会社 累進配当」
「○○株式会社 DOE」
と検索します。
企業が累進配当やDOEを株主還元方針として採用していれば、決算説明資料、中期経営計画、株主還元方針などが検索結果に表示されることがあります。
そこで重要なのが、
検索結果だけを見て判断しないこと
です。
Google検索で関連情報が見つかったら、必ず企業公式サイトの最新IR資料を開いて、
- 現在も累進配当を継続しているか
- DOEは何%を目安としているか
- 配当性向も併用しているか
- 株主還元方針が変更されていないか
まで確認します。
過去には累進配当を掲げていても、その後の中期経営計画で方針が変更されている場合があります。
そのため、
Google検索で候補を探す
↓
企業IRで最新方針を確認する
という流れを覚えておくと便利です。
また、保有している銘柄についても、
「企業名 累進配当」
「企業名 DOE」
と一度検索してみると、これまで知らなかった株主還元方針が見つかることがあります。
高配当株を探すときに、証券会社の配当利回りランキングだけを見るのではなく、こうした方法で配当を続ける仕組みまで調べることが大切です。
まとめ|高配当株は「何%もらえるか」より「続けられるか」を見る
高配当株を選ぶとき、最初に目につくのは配当利回りです。
3%、4%、5%と数字が高くなるほど魅力的に見えます。
しかし、この記事で見てきたように、本当に重要なのは、
その配当を今後も続けられるのか
という点です。
DOE・配当性向・累進配当には、それぞれ役割があります。
- 配当性向:利益の中から無理なく配当しているか
- DOE:株主資本に対してどの程度還元しているか
- 累進配当:配当を維持・増配していく方針か
どれか一つだけを見れば安心というものではありません。
さらに、
- 売上高・営業利益
- 営業キャッシュフロー
- 自己資本比率
- 借入金
- 過去の配当実績
まで確認することで、配当の継続性を判断しやすくなります。
私の考え
私は高配当株を選ぶとき、現在の配当利回りだけで銘柄を決めることはしません。
もちろん配当利回り3%以上は一つの基準にしています。
しかし、それ以上に重視しているのが、
「この会社は5年後、10年後も配当を出し続けられるのか」
という点です。
そのため私は、
累進配当を宣言しているか
DOEを採用しているか
配当性向に無理がないか
自己資本比率50%以上か
本業でしっかり利益と現金を稼いでいるか
を確認します。
例えば配当利回り6%でも、利益が減少し、配当性向100%超、借入金も増えている会社なら、私は高配当という理由だけでは買いません。
逆に現在の配当利回りが3%台でも、
累進配当+DOE+無理のない配当性向+強い財務
がそろっている会社なら、中長期で保有する候補になります。
高配当株投資は、
「今たくさん配当をもらう投資」ではなく、「長く配当を受け取り続ける投資」
だと私は考えています。
銘柄を調べるときは、ぜひGoogleで、
「企業名 累進配当」
「企業名 DOE」
と検索してみてください。
そして検索結果から企業の最新IRを確認し、その会社がどのような考え方で株主へ還元しようとしているのかまで確認する。
この習慣をつけるだけでも、配当利回りだけを見て高値づかみや減配銘柄を買ってしまう失敗は減らせると思います。
※本記事は高配当株を選ぶ際の一般的な考え方をまとめたものです。配当方針や業績は今後変更される可能性がありますので、実際に投資する際は各企業の最新IRをご確認ください。
※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。












