「ジャングリアが173億円の赤字」

このニュースを見て、「もう経営はかなり厳しいのでは?」「倒産する可能性もあるのでは?」と思った人も多いのではないでしょうか。

ただし、この約173億円は親会社ジャパンエンターテイメントホールディングスの最終赤字で、実際にジャングリア沖縄を運営するジャパンエンターテイメントの最終赤字は約89億円です。

だからといって、安心できる数字ではありません。

来場者数は当初想定の年間150万人に対して約100万人にとどまり、今後は新たなスポンサーを探す方向性も示されています。

では、なぜこれほどの赤字になったのか。約700億円の事業資金はどこから集めたのか。なぜ3メガバンクは融資の中心に入らなかったのか。そして、ジャングリアは今後5年間を乗り切れるのでしょうか。

今回は公開されている数字や資金調達の内容を確認しながら、ジャングリアの現在地と今後をできるだけ冷静に検証します。

 

① 「173億円赤字」の正体|ジャングリア本体は89億円

今回のニュースで最も大きく報じられたのが、

「ジャングリア、173億円の赤字」

という数字です。

173億円と聞くと、「開業1年でそれだけのお金を失ったのか」と思ってしまいます。

しかし、実際には少し違います。

173億円と89億円は別の会社の数字

まず、会社の関係を整理しておきます。

会社役割2026年6月期の最終損益
ジャパンエンターテイメントHD親会社約173億円の赤字
ジャパンエンターテイメントジャングリアの運営会社約89億円の赤字

実際に「ジャングリア沖縄」を運営しているのは、子会社のジャパンエンターテイメントです。

その運営会社の2026年6月期の最終赤字は約89億円でした。

一方、約173億円の最終赤字となったのは、その親会社であるジャパンエンターテイメントホールディングスです。

なぜ親会社は173億円まで赤字が膨らんだ?

親会社では、運営会社の業績悪化に伴って子会社株式の評価損などを計上しています。

簡単にいうと、親会社が持っている子会社の株式について、

「現在の事業状況を考えると、帳簿上の価値をそのまま維持するのは難しい」

と判断し、その価値を引き下げたことによる損失です。

そのため、

173億円すべてが、ジャングリアの運営によって1年間で現金として流出したわけではありません。

ここは今回のニュースを見るうえで重要なポイントです。

「173億円赤字」は間違いではないが、そのまま受け取ると誤解する

では、

「173億円赤字という報道は大げさなのか?」

という疑問が出てきます。

数字そのものは間違いではありません。

親会社のジャパンエンターテイメントホールディングスが、2026年6月期に約173億円の最終赤字だったことは事実です。

ただし、

「ジャングリアというテーマパークが1年間の営業で173億円の赤字を出した」

と受け取ってしまうと、実態とは違います。

ジャングリアの実際の運営状況を見るのであれば、まず確認したいのは運営会社の約89億円の最終赤字です。

では89億円なら問題ないのか?

もちろん、そうではありません。

89億円でも非常に大きな赤字です。

しかも、ジャングリアは2025年7月に開業したばかりです。

開業後1年間の来場者数は、当初見込んでいた年間150万人に対して約100万人にとどまりました。

項目当初想定開業1年間
来場者数約150万人約100万人
差-約50万人不足

約3分の1の来場者が計画に届かなかったことになります。

運営会社が約89億円の最終赤字となった主な要因として、この来場者数の未達が挙げられています。

さらに株主総会では、今後の運営継続に向けて新たなスポンサーを探す方向性も示されました。

つまり、

「173億円ではなく89億円だから心配ない」

と考えるのも違います。

重要なのは173億円という大きな数字だけを見ることではなく、

なぜ運営会社が89億円もの赤字になったのか

を確認することです。

次は、ジャングリアがなぜこれほどの赤字になったのかを、来場者数やテーマパーク特有のコストから詳しく見ていきます。

 

② なぜ89億円もの赤字になったのか?

では、なぜジャングリアを運営するジャパンエンターテイメントは、約89億円もの最終赤字になったのでしょうか。

最も大きな要因として会社側が挙げているのが、来場者数の未達です。

ただし、調べていくと「50万人来場者が少なかったから89億円赤字になった」と単純には説明できません。

最大の誤算は「150万人→100万人」

開業から1年間のジャングリアの来場者数は約100万人でした。

一方、当初は年間約150万人で採算が見込めるとされていました。

項目当初の想定実績
年間来場者数約150万人約100万人
想定との差-約50万人不足
達成率-約67%
年間売上高-100億円超

つまり、必要と考えていた来場者の約3分の1が不足したことになります。

会社側も、来場者数が想定を下回ったことを赤字の主な要因として説明しています。

売上高は100億円を超えましたが、テーマパークは来場者が少なくなったからといって、運営費も同じ割合で減るビジネスではありません。

50万人不足だけで89億円赤字を説明できる?

ここで一つ気になることがあります。

年間約100万人の来場で、売上高は100億円を超えています。

単純計算すると、

100億円 ÷ 100万人=来場者1人あたり約1万円

となります。

仮に150万人が来場し、1人あたり売上が同程度だったとすると、

50万人 × 約1万円=約50億円

の売上増加が期待できた計算です。

もちろん、これはかなり単純化した計算です。

スパ利用者を含む集計や、飲食・グッズ・チケット単価なども違うため、実際にはこう単純にはいきません。

しかし、この数字を見ると一つ分かることがあります。

来場者50万人の不足だけで、89億円すべての赤字を説明するのは難しい

ということです。

つまり、来場者不足に加えて、ジャングリア特有の大きなコスト負担も確認する必要があります。

テーマパークは「お客さんが少なくてもかかるお金」が大きい

ジャングリアのような大型テーマパークには、多くの固定費があります。

固定費とは、簡単にいうと来場者が多くても少なくても発生する費用です。

代表的なものを整理すると次のようになります。

主な費用どんな費用?
人件費スタッフ、運営、管理部門など
維持管理費アトラクションや施設の点検・修繕
減価償却費建設した施設や設備の費用を数年間に分けて計上
金利負担借入金に対する利息
広告宣伝費テレビCM、Web広告など
水道光熱費パークやスパなどの運営費
システム費アプリ、予約、チケット管理など

特に重要なのが減価償却費です。

約700億円規模の大型プロジェクトでは、建設した施設や設備の費用を開業した年にすべて経費として処理するわけではありません。

数年間に分けて費用として計上していきます。

そのため、パークを営業している限り、毎年一定額の減価償却費が発生します。

さらに、このプロジェクトでは366億円のシンジケートローンも組まれているため、借入金に対する金利負担もあります。

ただし、2026年6月期の詳しい損益計算書は一般には十分開示されておらず、89億円の赤字のうち減価償却費・金利・広告費などがそれぞれ何億円だったのかまでは確認できません。

ここは推測で数字を作らない方がよいでしょう。

開業直後の運営課題も集客のブレーキになった可能性

ジャングリアは2025年7月25日に開業しましたが、スタートは順調とは言えませんでした。

運営会社自身も、開業当初について「思うように体験を届けることができず、課題が残るスタートだった」と振り返っています。

その後、改善を重ね、

  • アトラクションの待ち時間を最大5分の1まで短縮
  • 1日に体験できるアトラクション数を約2倍へ
  • パーク満足度は開業月69.2%から89.2%へ改善

したと発表しています。

これは逆に考えると、開業当初は現在よりも顧客満足度や運営効率が低かったことになります。

テーマパークは口コミやSNSの影響が大きいため、開業直後の評価がその後の集客に影響した可能性は考えられます。

ただし、これが来場者50万人不足のうちどの程度を占めたのかは公表されていません。

猛暑や台風も追い打ちになった

沖縄ならではの事情もあります。

2026年の夏は猛暑や台風の影響もあり、夏休み期間でも来場者数が思うように伸びなかったと報じられています。

実際、ジャングリア側も2026年には、

  • 5,500本以上の日傘
  • エアコン付き休憩スペース
  • 大型ミストファン
  • 屋根付き休憩場所
  • 給水スポット

など暑さ対策を大幅に強化しています。

また、台風接近によって終日休業した日もありました。

屋外型テーマパークである以上、天候の影響を受けやすいことも今後の課題です。

実は開業前から赤字は発生していた

そして、もう一つ見逃せない数字があります。

ジャパンエンターテイメントは、ジャングリアが開業する前の2025年6月期にも50億9,800万円の最終赤字を計上していました。

決算期状況最終損益
2025年6月期開業前▲約51億円
2026年6月期開業後▲約89億円

2025年6月期はまだパークが開業していなかったため、売上高は計上されていません。

つまり、この事業は2025年7月の開業日から突然赤字になったわけではありません。

大型テーマパークを作るために、開業前から多額の先行費用を抱えていた事業だったことが分かります。

89億円赤字で本当に見るべきポイント

ここまで整理すると、今回の約89億円の赤字は、

来場者数の未達だけが原因ではない

と考えた方が自然です。

来場者数150万人
↓
実際は約100万人
↓
売上不足

に加えて、

大型施設の固定費・減価償却・資金調達コスト・開業初期の運営負担

などが重なった結果と考えられます。

そして今後もっと重要になるのは、

「赤字だったこと」ではなく、「来場者が増えれば本当に黒字化できる事業構造なのか」

という点です。

年間150万人まで来場者を増やせば黒字化できるのか。

それとも、追加投資や金利負担などによって、さらに多くの来場者が必要なのか。

この点を考えるためにも、次は約700億円とされるジャングリアの資金が、どこから集められたのかを確認していきます。

 

③ ジャングリアの約700億円はどこから集めた?

ジャングリア沖縄の総事業費は約700億円です。

これだけの大型テーマパークを、

「刀が700億円を借りて作った」

と思っている人もいるかもしれません。

しかし実際は違います。

計画段階では、資金の約半分を出資(エクイティ)、残りの約半分を**借入(デット)**で賄う方針でした。

約700億円は「出資+借入」で調達

まず全体像を整理すると、次のようになります。

資金金額・規模内容
総事業費約700億円ジャングリアの建設・開業資金
借入366億円金融機関によるシンジケートローン
出資約半分刀・地元企業・大手企業など
その他総額との差約700億円は概算のため単純一致しない

借入については、琉球銀行と商工中金が共同アレンジャーとなり、366億円のシンジケートローンを組成しています。

シンジケートローンとは、1つの銀行が全額を貸すのではなく、複数の金融機関が共同で融資する仕組みです。

今回のような大型事業では、1行だけで数百億円を負担するよりも、複数の金融機関でリスクを分担できます。

366億円は琉球銀行と商工中金が中心

公表されている融資内容は次の通りです。

項目内容
融資額366億円
共同アレンジャー琉球銀行・商工中金
参加金融機関複数の地方銀行・政府系金融機関など
融資方式シンジケートローン
特徴ノンリコース型のプロジェクトファイナンス

琉球銀行の発表では、沖縄振興開発金融公庫、沖縄銀行、千葉銀行、福井銀行などを含む金融機関が参加しています。

ここで重要なのが、ノンリコースローンという仕組みです。

簡単にいうと、企業そのものの信用力だけで融資するのではなく、

「ジャングリアという事業が将来生み出す収益」

を主な返済原資として融資する方法です。

そのため金融機関側も、

  • 来場者数
  • 売上
  • 事業計画
  • 将来のキャッシュフロー

などをかなり細かく確認したうえで融資していると考えられます。

出資したのは刀だけではない

出資側も、刀1社だけではありません。

運営会社ジャパンエンターテイメントには、刀を筆頭に、

  • オリオンビール
  • リウボウ
  • ゆがふホールディングス
  • JTB
  • 近鉄グループホールディングス

など複数の企業が出資しています。沖縄県の資料でも、これらの企業が出資者として確認できます。

つまりジャングリアは、

森岡毅氏や刀だけの事業というより、沖縄企業と全国企業が共同で出資したプロジェクト

と考えた方が実態に近いでしょう。

刀はいくら出資した?

日経の報道によると、大和証券グループ本社は2020年に刀へ140億円を出資しました。

刀はその資金などをもとに、ジャパンエンターテイメントへ30億円を出資しています。

つまり、

大和証券G → 刀 → ジャパンエンターテイメント

という形でも資金が入っています。

「刀が700億円を自己資金で用意した」という事業ではありません。

地元企業の出資が大きい

今回の資金調達でもう一つ特徴的なのが、沖縄企業の存在です。

オリオンビールは公式にジャングリアへの出資を公表しています。

また、報道では資本部分のかなりの割合を沖縄県内企業・団体が負担したとされています。

つまり、

地元金融機関が融資し、地元企業も出資する

という形で、沖縄経済全体としてジャングリアを支えている面があります。

なぜこれだけ多くの企業がお金を出した?

ジャングリアは単なるテーマパークではなく、

沖縄北部全体への観光客誘致

という目的を持った事業でもあります。

沖縄県の資料でも、

  • 沖縄北部の雇用創出
  • 観光客の増加
  • 周辺観光施設への波及
  • 地域経済の活性化

などが期待されています。

出資企業側も、テーマパーク単体の利益だけではなく、

ホテル
↓
交通
↓
飲食
↓
物販
↓
周辺観光

まで含めた経済効果を期待して出資したと考えられます。

700億円を集めるまで約4年かかった

ただし、資金調達が簡単だったわけではありません。

日経によると、資金調達は2018年頃から始まり、約4年をかけて進められました。

その間には、

  • 新型コロナ
  • 観光業の急減
  • ウクライナ危機
  • 金融機関の融資姿勢変化

などがありました。

そして最終的に、

出資+366億円の借入

によって約700億円規模の事業資金を確保したという流れです。

ここまでを見ると、ジャングリアは資金調達に失敗した事業ではありません。

むしろ、多くの企業と金融機関を巻き込んで約700億円を集めた大型プロジェクトです。

しかし、一つ大きな疑問が残ります。

これほど大きなプロジェクトなのに、

なぜ三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行という3メガバンクが融資の中心に入っていないのでしょうか。

これは、

「メガバンクは最初からジャングリアの経営が厳しいと判断していた」

ということなのでしょうか。

次は今回の記事でも特に気になる、**「メガバンク不在=失敗を予見していた」は本当か?**を詳しく確認します。

 

④ 「メガバンク不在=失敗を予見していた」は本当か?

ジャングリアの資金調達を見ると、一つ気になることがあります。

約700億円もの大型プロジェクトでありながら、最終的な融資の中心に、

  • 三菱UFJ銀行
  • 三井住友銀行
  • みずほ銀行

という3メガバンクが入っていません。

これを見ると、

「メガバンクは最初からジャングリアの経営が厳しいと判断していたのでは?」

と考えたくなります。

しかし、資金調達の経緯を確認すると、そこまで単純ではありません。

3メガバンクも最初は融資を検討していた

日経ビジネスの取材によると、みずほ銀行をはじめとする3メガバンクは、当初ジャングリアへの融資を検討していました。

つまり、

最初から門前払いされていたわけではありません。

状況が変わったのは2020年です。

新型コロナウイルスの感染拡大によって観光客が激減し、ホテル・航空・旅行・テーマパークなど観光関連産業の先行きが一気に不透明になりました。

その中で、メガバンクは次第に融資から離れていったとされています。

時系列で見ると分かりやすい

時期資金調達の状況
2018年頃約700億円の資金調達を開始
当初3メガバンクも融資を検討
2020年コロナ禍で観光業の先行きが急激に悪化
その後メガバンクが徐々に離脱
2021年第三者機関による事業格付けなどを取得
2022年ウクライナ危機で再び資金調達が難航
2022年8月366億円の協調融資にめど
2023年琉球銀行・商工中金中心のシンジケートローンを公表

特に重要なのは、メガバンクが離れた時期がコロナ禍と重なっていることです。

当時はジャングリアだけではなく、観光産業そのものの将来予測が非常に難しい状況でした。

そのため、

「ジャングリアだけを危険と判断したから融資しなかった」

と断定するのは難しいと考えます。

ただし、資金調達が簡単だったわけではない

一方で、

「メガバンクがいなくても何の問題もなかった」

と考えるのも違います。

日経の取材では、2022年春にウクライナ危機が起きると、それまで融資に前向きだった金融機関の姿勢が変わり、一時は借入予定額に約100億円届かない可能性まで出ていました。

開業時期を守るには、2022年夏までに資金を集める必要がありました。

そのため関係者は全国の金融機関を回り、最終的に366億円の協調融資をまとめています。

これは逆にいえば、ジャングリアの事業性について金融機関側がかなり慎重に判断していたことも分かります。

なぜ琉球銀行は融資の中心になった?

最終的に中心となったのが、地元の琉球銀行と商工中金です。

琉球銀行はジャングリアへの融資について、単にテーマパーク単体の収益だけではなく、

沖縄北部への観光客誘致や地域経済への波及効果

を重視しています。

琉球銀行自身も、沖縄経済では観光客が来ても利益が県外企業へ流れてしまう「ザル経済」が長年の課題だったと説明しています。

ジャングリアによって、

観光客が沖縄北部へ行く
↓
ホテルに泊まる
↓
飲食店を利用する
↓
地元企業にお金が落ちる

という流れを作りたい。

地元銀行だからこそ、テーマパーク単体だけではなく地域経済全体への効果も含めて融資を判断した面があります。

実際、最終的には琉球銀行と商工中金を共同アレンジャーとして、366億円のシンジケートローンが組成されました。

「メガバンク不在」は危険信号だったのか?

ここまで調べると、私は次のように整理するのが適切だと思います。

見方判断
メガバンクが最初から融資を拒否した×
メガバンクも当初は融資を検討していた○
コロナ禍で観光事業の不確実性が高まり離れた○
資金調達は順調だった×
金融機関が事業リスクを慎重に見ていた○
メガバンクが失敗を予見していたと断定できる×

つまり、

「3メガバンクがいない=失敗すると分かっていた」

と判断するのは行きすぎです。

しかし、資金調達に約4年を要し、一時は約100億円不足する可能性まであったことを考えると、金融機関から見ても簡単に融資できる事業ではなかったことは間違いありません。

本当に重要なのは「誰が貸したか」より返済できるか

そして現在は、メガバンクが参加したかどうかより重要な問題があります。

それは、

366億円の借入を、ジャングリア自身が生み出すキャッシュフローで返済できるのか

ということです。

今回の融資は、ジャングリアの将来収益を重要な返済原資とするプロジェクトファイナンスです。

開業1年目の来場者は想定150万人に対して約100万人。

運営会社は約89億円の最終赤字となりました。

金融機関が開業前にどう判断したかよりも、これから重要になるのは、

来場者を増やし、パーク自身で借入を返済できるだけの利益と現金を生み出せるか

です。

次は現在の赤字や借入を踏まえて、**「ジャングリアは本当に経営危機なのか?」**を確認していきます。

 

⑤ ジャングリアは本当に経営危機なのか?

ここまで確認すると、

  • 運営会社は約89億円の最終赤字
  • 来場者は想定150万人に対して約100万人
  • 366億円の借入がある
  • 新たなスポンサーを探している

という状況です。

これだけを見ると、

「かなり危ないのでは?」

と感じるのも自然です。

そして2026年9月には、さらに気になる情報も出てきました。

「資金ショートのリスク」に対応するため追加融資を要請

読売新聞の報道によると、運営会社ジャパンエンターテイメントは金融機関に対して追加融資を求め、新たな出資企業も募っています。

その理由として示されているのが、

「資金ショートのリスクへの対応」

です。

さらに、政府系金融機関の沖縄振興開発金融公庫が、単独で30億円を追加融資する方向と報じられています。

これは今回の記事でかなり重要な情報です。

資金ショートとは、簡単にいうと、

支払いに必要な現金が足りなくなること

です。

会社が赤字であっても、手元に十分な現金があればすぐに倒産するわけではありません。

逆に、利益が出ていても支払いに必要な現金がなくなれば会社は経営を続けられません。

そのため、企業の倒産リスクを見る場合は、

赤字額よりも「現金が続くか」を確認することが重要

です。

「追加融資を受ける=倒産寸前」ではない

ただし、追加融資を求めているからといって、

「すぐに倒産する」

と判断するのも早すぎます。

大型施設では、開業後の売上が当初計画を下回った場合、

  • 運転資金の追加
  • 借入条件の見直し
  • 新規出資
  • コスト削減

などによって事業計画を組み直すことがあります。

今回も運営会社は、追加融資を受けるための経営改善策として、当初想定より少ない集客でも利益を出せる体質を目指す方針を金融機関側へ示したと報じられています。

つまり、

来場者を増やす
だけではなく、

来場者が計画に届かなくても利益を出せるコスト構造へ変える

ことも求められているわけです。

新スポンサー探しも始まっている

9月25日の株主総会では、運営を継続するために新たなスポンサーを探す方向性も示されました。

報道では、

  • 既存株主
  • 大手企業
  • 投資ファンド

などから新たな出資を募り、2026年中にも契約をまとめたい考えとされています。

借入だけで資金を増やすと、その分返済や金利負担も増えます。

一方、出資であれば通常の借入のような元本返済はありません。

そのため現在のジャングリアにとっては、

追加融資+新規出資

の両方を確保できるかが、今後の財務改善で非常に重要になります。

現時点の手元資金は分からない

ここで注意したいのが、公開されている情報だけでは、

現在ジャングリアに現金がいくら残っているのか

までは分からないことです。

非上場会社なので、上場企業のように四半期ごとの、

  • 現金・預金
  • 営業キャッシュフロー
  • 借入残高
  • 毎月の資金流出額

などが細かく公開されているわけではありません。

したがって、

「あと何か月で資金がなくなる」

という計算を外部から正確に行うことはできません。

ここを根拠なく推測して「○か月で倒産する」とするのは避けるべきでしょう。

一方で改善している数字もある

悪い数字だけではありません。

運営会社によると、開業当初は運営面で課題があったものの、その後改善を続け、

項目開業当初からの変化
アトラクション待ち時間最大約5分の1へ短縮
1日に体験できるアトラクション数約2倍
パーク満足度69.2% → 89.2%

まで改善しています。

満足度89.2%まで改善しているのであれば、開業当初と現在では来場者の評価もかなり違ってきています。

これは今後、

口コミ改善 → 来場者増加 → 売上増加

につながる可能性がある材料です。

売上100億円を作れていることも無視できない

初年度の来場者は計画未達でしたが、それでも約100万人が訪れ、売上高は100億円を超える見通しとなっています。

つまり、

「誰も来ないテーマパーク」ではありません。

約100万人の集客力はすでに確認できています。

問題は、この100万人規模の集客で利益を出せる事業構造になっていないことです。

今後、

来場者を150万人へ増やすのか。

それとも100万人程度でも利益を出せるようコストを下げるのか。

おそらく両方が必要になります。

現時点で確認できる「危険材料」と「支える材料」

現在の状況を一度整理してみます。

危険材料支える材料
運営会社が約89億円の赤字初年度でも約100万人が来場
来場者が想定150万人に未達売上100億円超
366億円の借入11金融機関による融資体制
追加資金が必要沖縄公庫が30億円追加融資の方向と報道
新スポンサーを募集大手企業・地元企業など既存株主がいる
資金ショートリスクが報道満足度は89.2%まで改善

この表を見ると、

「何の問題もない」

とは言えません。

特に、「資金ショートのリスクに対応するため追加融資を求めている」と報じられたことは、資金繰りを見るうえで軽視できない材料です。

一方で、

「すでに倒産が避けられない状態」

と判断できる情報も現時点ではありません。

追加融資、新スポンサー、コスト削減、集客改善によって立て直せる余地も残っています。

これから本当に見るべき3つの数字

今後のジャングリアを見るうえで、特に重要になるのは次の3つです。

確認する数字なぜ重要?
来場者数売上を増やせるか
営業キャッシュフロー本業で現金を生み出せるか
追加資金調達額黒字化まで資金を確保できるか

特に重要なのは営業キャッシュフローです。

会計上は減価償却費などによって赤字でも、営業によって現金を生み出せるようになれば資金繰りは改善します。

逆に、来場者が増えず、本業でも現金が流出し続ければ、追加融資を受けてもいずれ再び資金が必要になります。

したがって今後の焦点は、

「89億円の赤字を出した」ことそのものより、黒字化するまでの時間と、その間の資金を確保できるか

に移っていきます。

そして、ここまで確認すると次に気になるのが、

「この状況が続いた場合、本当に倒産する可能性はどのくらいあるのか?」

という点です。

次は今回の記事で最も気になる、**「ジャングリアが5年以内に倒産する可能性」**を、感覚ではなく条件を分けて考えてみます。

 

⑥ ジャングリアが5年以内に倒産する可能性は?

ここまで確認してくると、やはり一番気になるのは、

「ジャングリアは5年後も営業しているのか?」

ということではないでしょうか。

運営会社は約89億円の最終赤字。

来場者数は想定150万人に対して約100万人。

さらに、「資金ショートのリスク」に対応するため追加融資や新たな出資を求めていると報じられています。政府系の沖縄振興開発金融公庫も30億円を追加融資する方向です。

この状況を見ると、倒産を心配するのは決して大げさではありません。

ただし私は、「赤字だから5年以内に倒産する」と単純には考えていません。

まず「倒産」と「経営再建」は分けて考える

企業の経営が悪化した場合、いきなり倒産するとは限りません。

その前に、

  • 新しいスポンサーから出資を受ける
  • 既存株主が追加出資する
  • 金融機関から追加融資を受ける
  • 借入金の返済条件を変更する
  • コストを大幅に削減する
  • 経営主体が変わる

など、さまざまな方法で事業再建が行われます。

特にジャングリアの場合、11の金融機関による366億円のシンジケートローンが組まれ、多数の企業も事業に関わっています。

そのため、経営が苦しくなったからといって、すぐにパークを閉鎖して会社を清算するという流れにはなりにくいと考えます。

むしろ先に起こる可能性が高いのは、

追加出資やスポンサー交代を含めた経営再建

ではないでしょうか。

倒産リスクを高める5つの材料

現在の公開情報から、私が特に注意しているのは次の5点です。

リスク内容
来場者不足想定150万人に対して約100万人
大幅赤字運営会社で約89億円の最終赤字
大きな借入366億円のシンジケートローン
追加資金が必要資金ショートへの対応として追加融資を要請
新スポンサー募集現在の資本だけではなく新たな出資も模索

この中で最も気になるのは、89億円の赤字そのものよりも、追加資金を必要としていることです。

赤字であっても資金が十分あれば時間をかけて立て直せます。

しかし、本業で現金を生み出せない状態が続き、そのたびに外部から資金を入れる必要がある状態になると、経営リスクは一気に高まります。

一方で「倒産しにくい材料」もある

悪い材料だけを見るのも適切ではありません。

ジャングリアには、経営を支える材料もあります。

支える材料内容
集客実績初年度でも約100万人が来場
売上100億円超の規模まで到達
金融支援11金融機関による融資体制
追加融資沖縄公庫が30億円を融資する方向
出資企業地元企業・大手企業など複数株主
地域的重要性沖縄北部の観光・雇用への波及効果
運営改善待ち時間や満足度が改善

特に大きいのは、ジャングリアが沖縄北部の大型観光プロジェクトであることです。

琉球銀行も、この事業について沖縄北部の雇用や観光客増加、周辺地域への経済波及を期待して366億円のシンジケートローンを組成しています。

つまり、単独企業の一事業よりも、金融機関や地元企業が「簡単には終わらせたくない」プロジェクトになっていると考えられます。

私なら5年間を3つのシナリオで考える

現時点では手元資金や詳細なキャッシュフローが公開されていないため、精密な倒産確率を計算することはできません。

そこで私は、今後5年間を3つのシナリオで考えます。

シナリオ今後の状況可能性のイメージ
改善来場者増加+コスト削減+黒字化30%程度
再建しながら存続追加出資・スポンサー交代・借入見直し45~50%程度
法的整理・事業継続困難資金調達失敗+赤字継続20~25%程度

これは企業が公表している数字ではなく、現在確認できる公開情報をもとにした私自身の推定です。

特に重要なのは、真ん中の「再建しながら存続」です。

私は、5年以内に起きる可能性としては、

倒産よりも、追加出資・スポンサー交代・金融支援などを伴う大規模な経営再建の方が可能性は高い

と見ています。

私が考える5年以内の倒産確率は20~25%程度

あえて数字を出すなら、現時点で私は、

5年以内に法的整理などで現在の事業継続が困難になる可能性を20~25%程度

と考えます。

かなり高い数字に見えるかもしれません。

しかし、通常の安定した企業と比べれば、

  • 初年度89億円の赤字
  • 来場者の大幅未達
  • 366億円の借入
  • 追加融資の必要性
  • 新スポンサー募集

まで進んでいる以上、「倒産リスクはほとんどない」と考える方が不自然です。

一方で50%以上と見ないのは、

  • 約100万人の集客実績がある
  • 売上100億円超を作れている
  • 政府系金融機関を含む金融支援がある
  • 多数の企業が出資している
  • 地域経済への影響が大きい

という支える要因もかなり強いからです。

ただし、今後1~2年が非常に重要

5年間の中でも、私は特にこれから1~2年が重要だと考えます。

追加資金を入れたとしても、その間に、

来場者増加
↓
売上増加
↓
コスト改善
↓
営業キャッシュフロー改善

という流れを作れなければ、再び追加資金が必要になります。

逆に、来場者が120万人、130万人、150万人と増え、100万人程度でも利益を出せる体質へ改善できれば、倒産リスクは大きく下がります。

つまり、30億円の追加融資が実行されたとしても、

「30億円入ったから安心」ではありません。

重要なのは、その30億円で稼げる会社へ変われるかです。

倒産より先に「誰が支えるのか」が焦点になる

私は今後、ニュースを見るときに「倒産するか」だけを見るのではなく、

誰が追加出資するのか

に注目したいと思います。

既存株主が追加出資するのか。

新しい大手企業がスポンサーになるのか。

投資ファンドが入るのか。

金融機関がさらに支援するのか。

ここが見えてくれば、ジャングリアの今後の方向性もかなり分かってきます。

逆に、スポンサー探しが難航し、来場者も増えず、追加融資だけで資金をつなぐ状態が続くようなら、倒産リスクは今より確実に高くなります。

したがって現時点では、

「5年以内に倒産する可能性はある。ただし、倒産より先に大規模な経営再建が行われる可能性の方が高い」

というのが、私の見方です。

次は、ではジャングリアがこの状況から立て直すためには具体的に何が必要なのか、**「ジャングリアが復活するために必要なこと」**を考えていきます。

 

⑦ ジャングリアが復活するために必要なこと

ジャングリアが今後5年間を乗り切るためには、単純に「もっと宣伝して来場者を増やす」だけでは足りません。

初年度に約100万人を集客できたことを考えれば、全く人気がない施設ではありません。

問題は、100万人規模の来場者では利益を出せなかったことです。

そのため今後は、

来場者数を増やす+1人あたりの売上を増やす+運営コストを改善する

この3つを同時に進める必要があります。

① まずは年間150万人に近づける

一番分かりやすい目標は、当初の想定だった年間150万人です。

初年度は約100万人だったため、単純計算ではあと約50万人、月平均では約4万人強の上積みが必要になります。

ただし、年間150万人を達成すれば必ず黒字になるとは限りません。

人件費や減価償却費、金利負担などを考えると、現在のコスト構造ではさらに多くの来場者が必要になる可能性もあります。

だからこそ、

「150万人来れば安心」ではなく、100~120万人でも赤字幅を縮小できる経営体質にすること

も重要です。

② 「一度行けば十分」から「また行きたい」へ変えられるか

テーマパーク経営では、新規客だけを集め続けるのには限界があります。

重要になるのがリピーターです。

ジャングリアは2026年4月に新大型ライド「やんばるトルネード」を追加し、期間限定イベントや新しい体験も投入しています。公式サイトでも、2年目に向けて新アトラクション、沖縄らしい体験、期間限定イベントなどを強化しています。

これは非常に重要です。

開業時と1年後で内容がほとんど同じなら、

「一度行ったからもういい」

となりやすいからです。

新しいアトラクション
↓
季節イベント
↓
限定フード・グッズ
↓
また行きたい

という流れを作れるかが、今後の集客を左右します。

③ 沖縄県民をリピーターにできるか

もう一つ重要なのが、地元の沖縄県民です。

観光客は飛行機やホテル代が必要なので、ジャングリアに行くためだけに何度も沖縄へ来るのは簡単ではありません。

一方、沖縄県民なら繰り返し来場してもらえる可能性があります。

ジャングリア側も現在、

  • 沖縄県民向けチケット
  • 地域イベント
  • 県民向け体験ツアー
  • 地元団体とのイベント

などを進めています。公式サイトでも「沖縄県民にもっと身近に感じてもらえるテーマパーク」を目指す方針を示しています。

観光客だけに依存せず、

「沖縄県民が年に何度か行く施設」

になれるかは、来場者数を安定させるうえでかなり重要です。

④ 沖縄旅行の「ついで」でも行ける施設にする

ジャングリアには立地上の課題があります。

沖縄旅行では、

  • 美ら海水族館
  • 那覇
  • ビーチ
  • ホテル
  • 北部観光

など、他にも多くの目的地があります。

そのため、

「ジャングリアだけで丸1日使うのは難しい」

という観光客もいるでしょう。

そこで現在は、短時間でも利用できる「ふらっとチケット」を導入しています。

公式サイトでは、美ら海水族館など他の沖縄北部観光と組み合わせやすいチケットとして案内しています。

これは集客を考えるうえで重要な変更です。

「丸1日行くか、行かないか」

ではなく、

「旅行中に数時間だけ寄る」

という選択肢を作れば、これまで取り込めなかった観光客も対象になります。

⑤ ホテル・航空券・周辺観光と一体で売る

ジャングリア単体で年間150万人を集めるより、

沖縄旅行そのものの中にジャングリアを組み込む

方が集客しやすくなります。

現在も公式サイトでは、

  • オフィシャルホテル
  • 航空券
  • ジャングリアのチケット

をセットで予約できる旅行商品を案内しています。

今後さらに、

空港
↓
ホテル
↓
ジャングリア
↓
美ら海水族館
↓
沖縄北部観光

まで一体化できれば、旅行会社側も商品として販売しやすくなります。

ジャングリア単体の集客だけでなく、沖縄北部への観光導線そのものを作れるかが重要です。

⑥ 客単価を上げる

来場者を増やすだけではなく、1人あたりの売上を増やすことも必要です。

現在は、

  • 入場チケット
  • プレミアムパス
  • 飲食
  • グッズ
  • SPA JUNGLIA
  • ホテル・旅行商品

など複数の収益源があります。

例えば100万人が来場した場合、

1人あたり平均売上が1,000円上がるだけでも、

100万人 × 1,000円=10億円

の売上増になります。

来場者を50万人増やすことは簡単ではありません。

そのため、

来場者数だけではなく、既に来ている100万人からどれだけ満足度を落とさず売上を増やせるか

も大切です。

⑦ 開業当初の「不満」を徹底的に減らす

ジャングリアは開業後、運営面の改善をかなり進めています。

新アトラクション導入だけでなく、整理券や混雑分散などによって、一部の大型アトラクションでは開業当初より1.2~1.7倍、エクストリーム系では2倍以上のゲストが体験できる体制になったと会社側は説明しています。

また、沖縄特有の暑さ対策として、

  • 5,000本以上の日傘
  • 大型屋根付き休憩スペース
  • 大型ミストファン
  • パラソル付きベンチの増設

なども実施しています。

これは単なるサービス改善ではありません。

テーマパークは口コミの影響が非常に大きいため、

「待ち時間が長い」
「暑すぎる」
「思ったほど楽しめない」

という評価が広がると、その後の集客にも影響します。

反対に運営改善が進み、

「開業直後よりかなり良くなった」

という口コミが増えれば、今まで敬遠していた人が来場するきっかけになります。

⑧ 最終的には「100万人でも利益が出る会社」に近づける必要がある

ここが最も重要です。

来場者150万人を目指すことは当然ですが、テーマパークは天候や景気、災害、観光需要など自社ではコントロールできない要因に左右されます。

実際、初年度も計画通りにはいきませんでした。

そのため、

150万人来なければ赤字になる事業

のままでは経営リスクが高い状態が続きます。

今後は、

改善する項目目指す方向
来場者数100万人 → 150万人に近づける
リピーター観光客・県民の再来場を増やす
客単価飲食・グッズ・スパなどを伸ばす
運営効率人件費・施設運営コストを改善
周辺連携ホテル・航空・北部観光と一体化
顧客満足度待ち時間・暑さ・使いやすさを改善

この6つを同時に改善し、

「150万人来なければ成立しないテーマパーク」から、「100~120万人でも大赤字にならないテーマパーク」へ変われるか。

ここが、ジャングリアの5年後を大きく左右するポイントになりそうです。

 

⑧ まとめ|173億円だけを見て「倒産」と判断するのは早い

「ジャングリアの親会社が173億円の赤字」

この数字だけを見ると、かなり危険な状態に見えます。

しかし、今回調べて分かったのは、173億円すべてがジャングリアの営業によって発生した赤字ではないということです。

実際にパークを運営するジャパンエンターテイメントの最終赤字は約89億円で、親会社の約173億円には子会社株式の評価損なども含まれています。

今回確認した内容を整理すると、次のようになります。

確認したこと現在分かっていること
親会社の最終赤字約173億円
運営会社の最終赤字約89億円
初年度来場者約100万人
採算の目安とされた来場者約150万人
売上高100億円超
借入366億円のシンジケートローン
今後追加融資・新スポンサーなどによる立て直しが焦点

初年度の来場者は約100万人、売上高は100億円を超えました。

一方で、採算が見込めるとされていた約150万人には届いていません。

つまり、

「誰も来なかったから失敗した」

というテーマパークではありません。

約100万人を集める力はある。

しかし、100万人では現在の大きな固定費や借入を支えられるだけの収益を作れなかったことが、現在のジャングリアの問題です。

私の意見

今回調べる前は、私も「173億円の赤字」という数字がかなり気になっていました。

しかし内容を確認すると、

「ジャングリアが1年間の営業で173億円を失った」

と受け取るのは違うと思います。

運営会社そのものの最終赤字は約89億円です。

この意味では、173億円という数字だけを大きく取り上げて「ジャングリアはもう危ない」とするのは少し大げさだと感じます。

ただし、89億円なら問題ないという話でもありません。

むしろ私が今回一番気になったのは赤字額そのものより、

来場者100万人では足りなかったことと、追加資金が必要になっていること

です。

約173億円という会計上の赤字は一度きりの評価損が含まれる可能性があります。

しかし、本業で十分な現金を生み出せず、追加融資や新しいスポンサーが継続的に必要になる状態は、経営を見るうえではもっと重要です。

また、

「3メガバンクが融資していない=最初から失敗すると分かっていた」

という見方についても、今回調べた内容からはそこまで言えないと私は思います。

当初はメガバンクも融資を検討しており、その後コロナによって観光業全体の不確実性が高まったという経緯があります。

一方で、資金調達に約4年を要し、一時は必要額に届かない可能性もあったことを考えると、金融機関がこの事業を簡単な案件とは見ていなかったことも分かるんじゃないかな。

そして5年以内の倒産について、私は現時点では20~25%程度のリスクはあるのではないかと見ています。

これは統計モデルなどから算出した数字ではなく、今回確認した公開情報をもとにした私自身の推定です。

ただ、私がそれ以上に可能性が高いと考えているのは、

いきなり倒産・閉園することではなく、その前に新スポンサーの参加、追加出資、借入条件の見直しなど大規模な経営再建が行われること

です。

ジャングリアは約100万人を集客し、売上100億円を作れる施設です。

さらに沖縄北部の観光振興や雇用にも関わるため、金融機関や出資企業にとっても簡単に終了させられる事業ではありません。

だからこそ今後見るべきなのは、

「倒産するか、しないか」だけではありません。

今後は、

  • 新しいスポンサーが決まるのか
  • 追加融資はいくらになるのか
  • 年間来場者が100万人から増えるのか
  • 売上100億円超からどこまで伸ばせるのか
  • 100~120万人でも利益を出せるコスト構造に変えられるのか

ここを確認していく必要があります。

特にこれから1~2年で、

来場者増加 → 売上増加 → 赤字縮小 → 営業キャッシュフロー改善

という流れが見えてくるか。

ここが、ジャングリアが5年後も沖縄を代表するテーマパークとして残っているかを左右する最大のポイントだと私は考えています。

「173億円赤字だから倒産する」

でもなく、

「100万人来たから大丈夫」

でもない。

現在のジャングリアは、立て直せる可能性は十分残っているものの、そのための時間と資金には余裕があるとは言い切れない。

今回調べた中では、これが最も実態に近い見方ではないでしょうか。

※本記事は2026年9月29日時点で公表・報道されている情報をもとに作成しています。ジャパンエンターテイメントおよび親会社は非上場企業であり、上場企業のように詳細な財務情報が継続的に公開されているわけではありません。

※将来の倒産可能性について記載した数値は、公開情報をもとにした筆者独自の推定であり、実際の倒産確率を示す統計的な数値ではありません。

ABOUT ME
マッスルトレーダーベイマックス
プライム企業で34年勤務(設備系管理職) 筋トレをこよなく愛するサラリーマン 2010年から株式投資を開始し、配当と株主優待を中心に多数保有 年間1000万円の配当収入を目標に、仕事と投資の両立を実践中 元現場管理のリアルな視点で、投資にも「地に足の着いた考え方」を持ち込みたいと考えています 。 保有資格 FP3級