「株価が大きく下がったから、今は安いのでは?」

「PERが10倍以下なら割安株?」

「配当利回りが高ければ買ってもいい?」

割安株を探していると、こんな疑問が出てくると思います。

しかし、

株価が安いことと、企業価値に対して割安であることは別です。

1,000円の株が500円まで下がっていても、業績が大きく悪化していれば、まだ高い可能性があります。

逆に3,000円の株でも、利益や財務、配当を見れば割安と判断できる場合があります。

私は割安株を探すとき、

PER10倍前後
配当利回り3%以上
総合利回り4%以上
自己資本比率50%以上

などを一つの目安にしています。

ただし、数字を一つだけ見て「買い」と判断することはありません。

大切なのは、

なぜPERが低いのか
なぜ配当利回りが高いのか
業績や財務に問題はないのか
そして、いくらなら買いたいのか

まで確認することです。

今回は、PER・PBR・配当利回り・財務を使って、初心者でも割安株を探しやすくする方法と、最終的に自分なりの買値を決める考え方まで分かりやすく整理します。

 

① 割安株とは?「株価が安い株」とは違う

「割安株」と聞くと、

株価が安い会社

をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、割安株とは単純に株価が低い会社のことではありません。

簡単にいうと、

企業の利益や資産、配当などに対して、株価が低く評価されている銘柄

のことです。

500円の株だから割安とは限らない

例えば、

A社の株価が500円
B社の株価が3,000円

だったとします。

株価だけを見ると、A社の方が安く見えます。

しかし、

  • A社は赤字が続いている
  • 借入金が多い
  • 配当もない
  • 今後も利益回復が見えない

という会社かもしれません。

一方B社が、

  • 毎年安定して利益を出している
  • 財務が健全
  • 配当も増えている
  • 今後も成長が期待できる

会社なら、3,000円でも企業価値に対して割安な場合があります。

つまり、

株価の数字そのものではなく、その価格で会社の利益や資産をどれだけ買えるか

を見る必要があります。

「安い株」と「割安株」の違い

分かりやすく整理すると次のようになります。

見方安い株割安株
判断基準株価そのものが低い企業価値に対して株価が低い
例500円だから安い利益・資産・配当に対して安い
業績確認しない場合もある必ず確認する
財務確認しない場合もある必ず確認する
PER・PBR見ない場合もある判断材料として使う
注意点安い理由がある場合もなぜ割安なのか確認が必要

初心者のうちは、

「昔より株価が下がったから安い」

と考えてしまいやすいです。

しかし、株価が下がったのには理由があります。

なぜ株価が安くなっているのかを考える

割安株を探すときに一番大切なのは、

なぜこの株は安く評価されているのか

を確認することです。

例えば、

  • 業績が悪化している
  • 今後減益が予想されている
  • 業界そのものが縮小している
  • 借入金が多い
  • 減配の可能性がある
  • 不祥事が発生した

といった理由で、株価が下がっている場合があります。

こうした株は、

「割安」ではなく「安くなる理由がある株」

かもしれません。

一方で、

  • 業績は安定
  • 財務も健全
  • 配当も維持・増配
  • 一時的な市場下落で株価だけ下がっている

という場合は、

企業価値に対して株価が割安になっている可能性

があります。

私が割安株を見るときの基準

私は割安株を探すとき、最初に次の数字を確認します。

確認項目私の目安
PER10倍前後
配当利回り3%以上
総合利回り4%以上
自己資本比率50%以上
PBR1倍前後・1倍割れは調査対象

ただし、この数字をすべて満たしたからといって、

「買い」

になるわけではありません。

むしろ重要なのは、

なぜPERが低いのか
なぜPBRが低いのか
なぜ配当利回りが高いのか

を調べることです。

数字はあくまで、

「詳しく調べる銘柄を見つけるための入口」

だと考えています。

割安株探しは「安い理由」を確認する作業

割安株投資で大切なのは、

安い株を探すことではありません。

企業価値に対して安くなっている株を探すこと

です。

そのためには、

株価
↓
PER・PBR
↓
業績
↓
財務
↓
配当
↓
買値

という順番で確認すると分かりやすくなります。

では、実際に割安株を探すとき、最初に見ることが多いPERとはどのような数字なのでしょうか。

次は、PER10倍をどう使えばいいのかを具体例で確認していきます。

 

② PER10倍はどう使う?割安株探しの基本

割安株を探すときに、最初によく使われる指標が**PER(株価収益率)**です。

PERとは簡単にいうと、

「会社が1年間で稼ぐ1株あたりの利益に対して、株価が何倍まで買われているか」

を見る数字です。

計算式は、

PER = 株価 ÷ EPS(1株利益)

です。

EPSとは?会社の利益との違い

PERを理解するために、まずEPSを簡単に確認しておきます。

会社が発表する「純利益」は、

会社全体で最終的にどれだけ利益を出したか

を表す数字です。

一方、EPSはその利益を、

1株あたりに換算した数字

です。

例えば、

純利益100億円 ÷ 発行済株式1億株 = EPS100円

というイメージです。

用語意味
純利益会社全体で最終的に稼いだ利益
EPS純利益を1株あたりに換算した数字

PERでは会社全体の利益ではなく、1株あたりの利益であるEPSを使います。

PER10倍ならどういう意味?

例えば、

  • 株価:1,200円
  • EPS:120円

なら、

1,200円 ÷ 120円 = PER10倍

です。

単純化すると、

「現在の利益水準が続けば、約10年分の1株利益に相当する株価」

というイメージです。

PERが低いほど、利益に対して株価が低く評価されていることになります。

PER別に見ると違いが分かりやすい

EPS120円の会社で比較してみます。

株価EPSPER
900円120円7.5倍
1,200円120円10倍
1,500円120円12.5倍
1,800円120円15倍
2,400円120円20倍

このブログでは、割安株を探すときにPER10倍前後を一つの調査基準にしています。

そのため、EPS120円の会社なら、

1,200円前後

が一つの確認ポイントになります。

PERから「買値」を逆算できる

PERは、

現在の株価が割安かを見る

だけではありません。

逆に、

「PER10倍なら株価はいくらになる?」

と買値を逆算することもできます。

計算式は、

EPS × 目標PER = 株価の目安

です。

例えばEPS150円なら、

150円 × PER10倍 = 1,500円

となります。

現在株価が1,900円なら、

「私のPER基準ではまだ少し高い」

と判断できます。

そして1,500円前後まで下がってきたら、

「詳しく調べてみよう」

という候補に入れます。

EPSからPER10倍の株価を出してみる

EPSPER10倍の株価
50円500円
80円800円
100円1,000円
120円1,200円
150円1,500円
200円2,000円
300円3,000円

EPSが分かれば、PER10倍の株価は簡単に計算できます。

そのため、

「今日は株価が5%下がったから買おう」

ではなく、

「自分のPER基準ではまだ買値まで下がっていない」

と、感情に左右されにくい判断ができます。

PERが低ければ低いほど良いわけではない

ここで一番注意したいのが、

PER10倍以下=必ず割安株

ではないことです。

例えばPER5倍の会社があれば、数字だけを見るとかなり安く見えます。

しかし実際には、

  • 来期に大幅減益が予想されている
  • 一時的な利益でEPSが大きくなっている
  • 成長性が低い
  • 業界そのものが縮小している
  • 財務に問題がある

といった理由で低PERになっている場合があります。

つまり、

PERが低いのには、低いなりの理由がある可能性

があります。

今期だけでなく来期のEPSも確認する

例えば、

  • 今期EPS:200円
  • 来期予想EPS:100円
  • 株価:1,500円

だったとします。

今期EPSで計算すると、

1,500円 ÷ 200円 = PER7.5倍

です。

一見すると、かなり割安に見えます。

しかし来期予想EPS100円で計算すると、

1,500円 ÷ 100円 = PER15倍

になります。

基準EPSPER
今期200円7.5倍
来期予想100円15倍

つまり、

「PER7.5倍だから安い」

と思って買ったら、実際には来期の大幅減益を株価が織り込んでいただけ、ということもあります。

そのため私は、PERを見るときには、

今期だけでなく来期の利益予想も確認する

ようにしています。

一時的な利益にも注意

EPSが一時的に大きくなっている場合もあります。

例えば、

不動産売却
保有株式の売却
子会社売却
特別利益

などによって、その年だけ最終利益が大きく増えるケースです。

その場合、EPSも大きくなり、PERは低く見えます。

しかし翌年その利益がなくなれば、EPSは元に戻ります。

そのため、

「なぜ今年の利益が増えたのか」

まで確認することが重要です。

PER10倍は「買い」ではなく「調べる」基準

このブログで使っているPER10倍前後は、

10倍以下なら買う

というルールではありません。

あくまで、

「この銘柄は詳しく調べる価値がありそう」

という入口です。

PER10倍前後の銘柄を見つけたら、

業績は安定しているか
来期も利益を維持できそうか
財務に問題はないか
配当は無理をしていないか

まで確認します。

そして問題がなければ、

自分の買値候補

として考えていきます。

PERは割安株探しで非常に便利な指標ですが、1つの数字だけでは判断できません。

次はもう一つの代表的な割安指標であるPBRについて、

「PBR1倍割れなら本当に割安なのか?」

を確認していきます。

 

③ PBR1倍割れは割安?資産価値から株価を見る

PERと並んで、割安株を探すときによく使われるのが**PBR(株価純資産倍率)**です。

PBRとは簡単にいうと、

「会社が持っている純資産に対して、株価が何倍まで買われているか」

を見る数字です。

計算式は、

PBR = 株価 ÷ 1株純資産(BPS)

です。

BPSとは?まずは意味を簡単に確認

BPSとは、会社の純資産を1株あたりに換算した数字です。

例えば、

純資産1,000億円 ÷ 発行済株式1億株 = BPS1,000円

となります。

用語意味
純資産会社が持つ返済不要の資産部分
BPS純資産を1株あたりに換算した数字

つまりPBRは、

「1株あたり純資産に対して、株価がどのくらい評価されているか」

を見る指標です。

PBR1倍とはどういう意味?

例えば、

  • 株価:1,000円
  • BPS:1,000円

なら、

1,000円 ÷ 1,000円 = PBR1倍

です。

単純化すると、

株価と1株あたり純資産が同じ水準

ということです。

PBRが1倍を下回ると、

株価が1株純資産より低い

状態になります。

例えば、

株価BPSPBR
700円1,000円0.7倍
1,000円1,000円1.0倍
1,500円1,000円1.5倍
2,000円1,000円2.0倍

このため、

「PBR1倍割れ=会社の資産価値より安く買える」

と考えたくなります。

PBR1倍割れなら買い?

ここで注意したいのが、

PBR1倍割れ=必ず割安

ではないことです。

PBRが低い会社には、低く評価される理由がある場合があります。

例えば、

  • 利益をほとんど生み出せていない
  • 赤字が続いている
  • ROEが低い
  • 現金や資産をうまく活用できていない
  • 借入金が多い
  • 業界自体が縮小している

といったケースです。

会社がたくさん資産を持っていても、その資産から利益を生み出せていなければ、市場から高く評価されないことがあります。

ROEも一緒に確認する

PBRを見るときに、一緒に確認したいのが**ROE(自己資本利益率)**です。

ROEとは簡単にいうと、

「株主のお金を使って、どれだけ効率よく利益を出しているか」

を見る数字です。

例えば、

同じPBR0.8倍でも、

A社:ROE10%
B社:ROE2%

なら、会社の資本を使って利益を生み出す力には大きな差があります。

会社PBRROE見方
A社0.8倍10%資本効率は比較的高い
B社0.8倍2%資本を十分活用できていない可能性

PBRだけを見ると両社とも同じように割安に見えます。

しかし中身はまったく違います。

「資産がある」だけでは足りない

PBR1倍割れの会社を見るときは、

その資産に本当に価値があるのか

も確認したいところです。

例えば会社が持っている資産の中に、

  • 売却しにくい不動産
  • 古い設備
  • 収益を生まない子会社
  • 回収が難しい債権

などが多く含まれていれば、帳簿上の純資産が大きくても、実際の価値は低い可能性があります。

そのため、

「純資産が多いから安心」

ではなく、

その資産が何で構成されているか

まで見ることが重要です。

借入金も確認する

PBRが低い会社でも、借入金が非常に多ければ注意が必要です。

例えば、

現金100億円
借入金500億円

という会社と、

現金100億円
借入金50億円

という会社では、財務余力がまったく違います。

そのため私は、PBRを見るときにも、

自己資本比率

を一緒に確認します。

一般企業であれば、

自己資本比率50%以上

を一つの目安にしています。

もちろん銀行やリースなどは別ですが、一般企業なら財務の安全性を見る一つの基準として使いやすいです。

PBR1倍割れは「調査対象」

このブログでは、

PBR1倍割れ=買い

とは考えません。

私にとってPBR1倍割れは、

「なぜこんなに低いのか調べてみよう」

というサインです。

PBR1倍を割っていたら、

ROEは低すぎないか
利益は出ているか
資産内容は悪くないか
借入金は多くないか
自己資本比率は十分か

を確認します。

ここまで見て問題がなければ、

「本当に市場から割安に放置されている可能性がある」

と考えることができます。

PERとPBRは役割が違う

PERとPBRは似ていますが、見ているものが違います。

指標何を見る?私の使い方
PER利益に対して株価が高いか安いか10倍前後を調査基準
PBR純資産に対して株価が高いか安いか1倍前後・1倍割れを調査対象

PERは利益を見る指標。

PBRは資産を見る指標。

両方を組み合わせることで、

「利益面でも安いのか」
「資産面でも安いのか」

を確認できます。

ただし、PERもPBRも数字だけで「買い」と判断するものではありません。

割安株を探すときは、

数字が低い理由を調べること

が一番大切です。

次は、割安株探しで私が特に重視している**配当利回り3%と総合利回り4%**について、どのように買値へつなげるのかを確認していきます。

 

④ 配当利回り3%・総合利回り4%から買値を逆算する

PER・PBRと並んで、割安株を探すときに確認したいのが配当利回りです。

配当利回りとは、

投資した金額に対して、年間どれくらいの配当を受け取れるか

を見る数字です。

計算式は、

年間配当 ÷ 株価 × 100

です。

例えば、

  • 株価:1,500円
  • 年間配当:45円

なら、

45円 ÷ 1,500円 × 100 = 3%

となります。

この記事では、配当利回り3%以上を一つの調査基準にしています。

配当利回り3%になる株価を逆算する

配当利回りは、現在の利回りを見るだけではありません。

年間配当が分かれば、

「株価がいくらまで下がれば配当利回り3%になるか」

を逆算できます。

計算式は、

年間配当 ÷ 0.03 = 配当利回り3%になる株価

です。

例えば年間配当45円なら、

45円 ÷ 0.03 = 1,500円

となります。

年間配当別に見ると次のようになります。

年間配当配当利回り3%になる株価
30円1,000円
40円約1,333円
50円約1,667円
60円2,000円
80円約2,667円
100円約3,333円

例えば年間配当60円の会社が株価2,400円なら、配当利回りは2.5%です。

株価が2,000円まで下がれば、

60円 ÷ 2,000円=3%

になります。

このように、

「今日は株価が下がったから買う」

ではなく、

「配当利回り3%になる2,000円まで待つ」

と、自分なりの買値を決めることができます。

株主優待があるなら「総合利回り」を見る

株主優待がある銘柄では、配当だけでなく、

配当+株主優待

を合わせた総合利回りも確認します。

この記事では、

総合利回り4%以上

を一つの目安にしています。

計算式は、

(年間配当+実際に使える優待価値)÷ 投資金額 × 100

です。

例えば100株保有で、

  • 年間配当:4,000円
  • 株主優待:2,000円相当
  • 投資金額:15万円

なら、

(4,000円+2,000円)÷15万円×100=4%

となります。

総合利回り4%から買値を逆算する

総合利回りでも、買値を逆算できます。

例えば100株で、

  • 年間配当:4,000円
  • 実際に使える優待:2,000円

なら、年間の還元額は合計6,000円です。

総合利回り4%になる投資金額は、

6,000円 ÷ 0.04=15万円

です。

100株なら、

1株1,500円

が買値の一つの目安になります。

年間配当優待価値年間還元額総合利回り4%になる100株購入額1株あたり
3,000円1,000円4,000円10万円1,000円
4,000円2,000円6,000円15万円1,500円
5,000円2,000円7,000円17万5,000円1,750円
6,000円2,000円8,000円20万円2,000円

これなら、

「優待があるから欲しい」

ではなく、

「総合利回り4%になる○○円なら検討する」

と具体的に考えられます。

優待は「額面」ではなく自分が使える価値で考える

ここは重要です。

例えば5,000円相当の株主優待でも、

自分が使わない商品券や割引券なら、実際の価値は5,000円とは限りません。

使わない優待なら、

自分にとっての価値は0円

と考えた方が安全です。

逆に、毎年必ず利用する店舗の商品券であれば、額面に近い価値で考えることができます。

総合利回りを計算するときは、

企業が発表している「○○円相当」ではなく、自分が実際に使える金額

で計算することが大切です。

高配当だから安心とは限らない

配当利回りが5%、6%と高い株を見ると、

「かなりお得なのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、高配当になっている理由が、

株価が急落したから

という場合もあります。

例えば、

  • 業績悪化
  • 減益予想
  • 財務悪化
  • 減配懸念

によって株価が下がれば、見かけ上の配当利回りは高くなります。

そのため、高配当株では配当性向も確認します。

配当性向とは、

会社が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当に回しているか

を見る数字です。

一般企業では、この記事では40~50%程度を一つの確認基準としています。

配当性向見方
40~50%程度利益とのバランスを確認しやすい
70~80%超配当余力に注意
100%超利益以上の配当を出しており、継続性を要確認

例えば配当利回り5%でも、

配当性向120%

なら、現在の利益だけでは配当を賄えていないことになります。

一方で配当利回り3.5%でも、

業績が安定し、配当性向40%程度で増配を続けている会社なら、長期では魅力的な場合があります。

PER・配当・総合利回りを並べると買値が見えてくる

例えば、ある会社が次の条件だったとします。

  • EPS:150円
  • 年間配当:45円
  • 100株優待:1,500円

それぞれの基準から買値を逆算すると、

判断基準買値の目安
PER10倍1,500円
配当利回り3%1,500円
総合利回り4%1,500円

このように複数の基準が1,500円前後に集まれば、

「1,500円付近なら詳しく検討しよう」

と買値を決めやすくなります。

逆に現在株価が2,000円なら、

「良い会社だけれど、今は自分の買値ではない」

と待つこともできます。

利回りは「買うため」より「待つため」にも使える

割安株投資では、

良い会社を見つけたら、すぐ買わなければならない

わけではありません。

配当利回りや総合利回りから買値を決めておけば、

株価が高いときには待つことができます。

そして自分の基準まで下がってきたときに、改めて業績・財務を確認して購入を検討する。

この方法なら、

株価が上がっているから慌てて買う

という行動も減らしやすくなります。

ただし、PERや利回りが魅力的でも、会社の財務が弱ければ安心はできません。

次は、割安株を探すときに確認したい自己資本比率50%という財務基準について見ていきます。

 

⑤ 自己資本比率50%はどう見る?割安株でも財務が弱ければ注意

PERやPBR、配当利回りから「割安かもしれない」と思う銘柄を見つけたら、次に私は財務を確認します。

いくら株価が割安に見えても、

会社そのものの財務が弱ければ、長く安心して保有しにくい

からです。

そのとき、一般企業で私がまず確認するのが自己資本比率です。

自己資本比率とは?

自己資本比率とは簡単にいうと、

会社の総資産のうち、返済する必要のない自己資本がどれくらいあるか

を見る数字です。

計算式は、

自己資本 ÷ 総資産 × 100

です。

例えば、

  • 総資産:1,000億円
  • 自己資本:600億円

なら、

600億円 ÷ 1,000億円 ×100=60%

となります。

一般的には、自己資本比率が高いほど借入金などへの依存度が低く、財務に余裕があると考えやすくなります。

私は一般企業なら50%以上を一つの目安にする

私は製造業や小売、食品、サービス業などの一般企業を見る場合、

自己資本比率50%以上

を一つの目安にしています。

ただし、

50%以上なら安全、50%未満なら危険

という意味ではありません。

あくまで、

「財務に無理がないか」を確認するための入口

です。

目安としては、私は次のように見ています。

自己資本比率私の見方
70%以上財務はかなり強い
50~70%比較的安心して見やすい
30~50%業種や借入内容を確認
30%未満財務内容をより詳しく確認したい

50%未満でも悪い会社とは限らない

自己資本比率が40%だからといって、

「この会社は買えない」

とは考えません。

例えば、

  • 工場建設のため一時的に借入が増えた
  • M&Aを行った
  • 成長投資を積極的に進めている

といった理由で自己資本比率が下がっている場合もあります。

逆に、

業績悪化によって純資産が減り、自己資本比率が低下している

のであれば注意が必要です。

重要なのは、

数字そのものではなく、なぜその数字になっているのか

を見ることです。

自己資本比率が高くても安心しすぎない

反対に、自己資本比率80%だから必ず良い会社というわけでもありません。

例えば、

  • 利益がほとんど伸びていない
  • 現金を持っているだけで活用できていない
  • 株主還元が少ない
  • ROEが低い

という会社もあります。

財務が強いことは大きな安心材料ですが、

財務が強い=株価が上がる

ではありません。

そのため、自己資本比率は業績や利益成長と一緒に確認します。

銀行・リース・不動産などにはそのまま使わない

ここは特に注意したいところです。

私の自己資本比率50%という基準は、主に一般企業を見るときのものです。

銀行やリース、金融、不動産などは、借入や預金などを活用して利益を生み出すビジネスモデルです。

そのため、これらの業種へ一般企業と同じ50%基準をそのまま当てはめることはしません。

業種50%基準の使い方
製造・食品・小売・サービス一つの目安として使いやすい
銀行・証券そのまま使わない
リースそのまま使わない
不動産事業内容や借入構造を見て判断

割安株ほど「安い理由」を財務から確認する

例えば株価だけを見ると、

「かなり安くなった」

と思える会社でも、

  • 借入金が急増している
  • 自己資本が減っている
  • 営業キャッシュフローが悪化している

のであれば、市場が財務悪化を先に織り込んでいる可能性があります。

一方、

業績が安定していて、財務にも余裕があるのに株価だけ低く評価されている

のであれば、割安株候補としてさらに詳しく調べる価値があります。

ここまでの記事では、

利益面を見るPER
資産面を見るPBR
株主還元を見る配当・総合利回り
財務の安全性を見る自己資本比率

を確認してきました。

大切なのは、どれか一つの数字で判断するのではなく、

複数の数字を組み合わせて「安い理由に問題がないか」を確認すること

です。

では、ここまでの指標を実際にどの順番で確認すれば、効率よく割安株候補を絞り込めるのでしょうか。

次は、私が実際に割安株候補を探すときの流れを一つにまとめます。

 

⑥ 私が割安株候補を探すときの順番

ここまで、割安株を見るための基本的な指標を確認してきました。

では実際に銘柄を探すとき、私はどのような順番で確認しているのでしょうか。

最初から1社ずつ詳しく調べるのではなく、

まず数字で候補を絞り、その後に中身を確認する

という順番です。

① まず条件に合う銘柄を絞る

最初は証券会社のスクリーニング機能などを使って、候補銘柄を絞ります。

この段階では、

「買う銘柄を決める」のではなく、「詳しく調べる銘柄を探す」

ことが目的です。

数千社ある上場企業を1社ずつ見るのは現実的ではありません。

まず自分の基準に近い会社を抽出して、候補を数十社、さらに数社まで減らしていきます。

② 過去の業績を確認する

候補が見つかったら、次に業績を確認します。

私が特に見るのは、

  • 売上高が大きく落ち込んでいないか
  • 営業利益が安定しているか
  • 一時的な利益で最終利益だけ増えていないか
  • 来期予想が急激に悪化していないか

です。

1年だけ好調でも、それだけでは判断しません。

できれば数年分を並べて、

利益を安定して出せる会社なのか

を確認します。

個別銘柄を本格的に調べる場合は、企業IRを過去までさかのぼって確認することもあります。

③ 配当が続けられそうか確認する

高配当株の場合は、

現在の配当額だけでなく、今後も続けられそうか

を見ます。

例えば、

  • 利益が減っているのに配当だけ増えている
  • 配当性向が急上昇している
  • 特別配当で利回りが高く見えている

といった場合は注意します。

反対に、

利益成長に合わせて配当も増えている会社

なら、長期保有しやすくなります。

④ 「なぜ安いのか」を調べる

ここが一番重要です。

数字上は割安に見えるのに株価が低いということは、

市場が何かを心配している可能性

があります。

そこで、

  • 業績悪化
  • 減益予想
  • 不祥事
  • 大型投資
  • 原材料高
  • 業界全体の低迷
  • 一時的な悪材料

などを確認します。

ここで重要なのは、

悪材料が一時的なのか、それとも会社そのものの問題なのか

を分けることです。

例えば市場全体の下落に巻き込まれているだけなら、企業価値そのものは大きく変わっていない可能性があります。

一方、主力事業そのものが衰退しているのであれば、「割安」ではなく「今後さらに悪くなる可能性がある株」かもしれません。

⑤ 最後に自分の買値を決める

会社そのものに問題がなさそうだと判断しても、すぐには買いません。

最後に、

「この会社なら、いくらまでなら買いたいか」

を決めます。

そして現在株価が自分の買値より高ければ、待ちます。

良い会社だからといって、必ず今日買う必要はありません。

私は、

良い会社を見つけること
+良い価格まで待つこと

の両方が大切だと考えています。

割安株探しの流れをまとめると

実際の流れはシンプルです。

条件で候補を絞る
↓
業績を確認する
↓
配当の継続性を見る
↓
なぜ安いのか調べる
↓
自分の買値を決める
↓
条件に合う価格まで待つ

割安株探しで一番避けたいのは、

「数字が安く見えたから、その場ですぐ買う」

ことです。

数字はあくまで候補を見つける入口。

最後は必ず、

会社の中身と、安くなっている理由

を確認してから判断します。

次は、割安に見える株で特に注意したい、**「安い理由が危険なケース」**を具体例で確認していきます。

 

⑦ 割安に見えて実は危険?「安い理由」がある株に注意

割安株を探していると、

「こんなに安いなら買ってもいいのでは?」

と思う銘柄に出会うことがあります。

しかし、株価が安く評価されているのには理由があります。

中には、安いまま長期間放置されたり、さらに株価が下がったりする銘柄もあります。

こうした株は、**バリュートラップ(割安のわな)**と呼ばれることがあります。

① 利益がこれから大きく減る

最も注意したいのが、

現在の利益は良く見えるのに、今後大幅に利益が減る会社

です。

株式市場は、現在よりも先の業績を見て動くことが多いため、

「今の数字では安いのに株価が上がらない」

場合、市場が先に減益を織り込んでいる可能性があります。

例えば、

  • 主力商品の販売が急減している
  • 大口顧客との取引が終了する
  • 原材料価格上昇を価格転嫁できない
  • 海外事業で損失が拡大している

といった材料があれば注意します。

② 一時的な利益で安く見えている

企業の利益が一時的に膨らむこともあります。

例えば、

  • 不動産売却
  • 保有株式売却
  • 子会社売却
  • 補助金
  • その他の特別利益

などです。

この利益がなくなれば、翌期の利益は元の水準へ戻ります。

つまり、

「今だけ利益が大きいから、割安に見えている」

可能性があります。

私は利益が急増した会社を見ると、

本業で利益が増えたのか、それとも一時的な利益なのか

を確認するようにしています。

③ 高配当でも減配が近い

株価が急落すると、配当利回りは高くなります。

そのため、

「高配当だから割安」

と思って買った直後に減配されることがあります。

特に、

  • 利益が減っている
  • キャッシュフローが悪化している
  • 財務負担が増えている
  • 会社が業績予想を下方修正している

といった状況では注意が必要です。

高い利回りが、

「お得な配当」ではなく「減配リスクを織り込んだ株価」

になっている場合があります。

④ 業界そのものが縮小している

会社単体では黒字を維持していても、

業界全体が長期的に縮小している

場合があります。

例えば、

市場そのものが毎年小さくなっているのであれば、会社が今後大きく成長するのは難しくなります。

このような会社は、何年経っても評価が上がらず、

ずっと割安に見える

状態になることがあります。

割安株を見るときは、

会社だけでなく、その会社がいる市場が今後も必要とされるのか

を見ることも大切です。

⑤ 借金が増え続けている

業績が悪化している企業ほど、

借入金で事業を維持している

場合があります。

例えば、

利益減少
↓
現金が減る
↓
借入金を増やす
↓
利息負担が増える
↓
さらに利益が減る

という悪循環に入ることがあります。

一時的な設備投資などで借入が増えるのとは違い、

本業の赤字を埋めるために借金が増えている

場合は注意したいところです。

⑥ 現金を生み出せていない

決算上は利益が出ているのに、

実際には現金が増えていない

会社もあります。

そこで確認したいのが営業キャッシュフローです。

営業キャッシュフローが長期間マイナスであれば、

本業で現金を生み出せていない可能性

があります。

利益が出ているように見えても、

  • 売掛金が急増している
  • 在庫が増え続けている
  • 売上代金を回収できていない

といった問題が隠れている場合があります。

⑦ 不祥事や会計問題が起きている

株価が大きく下がって割安に見える原因が、

会社そのものへの信頼低下

というケースもあります。

例えば、

  • 会計不正
  • 品質不正
  • 法令違反
  • 経営陣の不祥事

などです。

こうした銘柄では、

「これだけ下がったから、もう悪材料は織り込んだだろう」

と考えたくなります。

しかし、新たな問題が後から出てくることもあります。

株価下落率だけを見て飛びつかず、

問題が本当に解決したのか

を確認する必要があります。

「安い理由」を一覧で整理

安く見える理由確認したいこと
今後大幅減益来期以降の利益予想
一時的な利益本業で利益が増えているか
高配当配当を維持できる利益・現金があるか
市場縮小将来も需要が残る事業か
借入増加借入の目的と返済余力
営業CF悪化本業で現金を生み出せているか
不祥事問題が解決・再発防止されているか

割安株投資では、

「安い株を見つけること」より「安い理由に問題がない株を見つけること」

の方が重要です。

株価が下がったからといって、必ず元の価格まで戻るわけではありません。

私が気になる銘柄を見つけたときは、

「なぜ市場はこの会社を安く評価しているのだろう?」

と一度考えてから、さらに調べるようにしています。

次は、ここまでの記事内容をまとめながら、私が割安株を探すときに最終的に何を重視しているのかを整理します。

 

⑧ まとめ|割安株は「安い理由」と「買値」まで考える

割安株を探すとき、

株価が下がったから安い

という理由だけで判断するのは危険です。

大切なのは、

企業の利益や資産、配当などに対して、本当に株価が低く評価されているのか

を見ることです。

そして、数字だけで終わらず、

なぜ安く評価されているのか

まで確認する必要があります。

私の意見

私は割安株を探すとき、

数字で候補を見つける
↓
会社の中身を確認する
↓
安い理由を調べる
↓
自分の買値を決める
↓
その価格まで待つ

という流れを大切にしています。

一番避けたいのは、

「昨日より株価が下がったから買う」
「昔より半値だから安い」

という判断です。

株価が下がったのには、必ず何らかの理由があります。

その理由が、

一時的な市場下落なのか
業績悪化なのか
減配懸念なのか
会社そのものの問題なのか

によって意味はまったく違います。

割安株投資で重要なのは、

安い株を見つけることではなく、安い理由に大きな問題がない株を見つけること

だと私は考えています。

そして、良い会社を見つけたからといって、すぐ買う必要もありません。

「この会社なら○○円以下で買いたい」

と自分なりの買値を決め、その価格まで待つ。

この考え方ができるようになると、株価の上げ下げだけを見て慌てて売買することも減っていきます。

配当だけでなく株主優待も確認したい人へ

割安株を探している人の中には、

配当だけでなく、株主優待も楽しみたい

という人も多いと思います。

ただし株主優待も、

「優待があるから買う」

ではなく、

必要資金はいくらか
自分が実際に使える優待か
配当と合わせた総合利回りはどうか
長期保有条件はあるか
優待廃止の可能性はないか

まで確認することが大切です。

株主優待の仕組みや選び方については、こちらの記事で初心者向けに詳しくまとめています。

株主優待とは?いつ買えばもらえる?初心者向けに仕組み・選び方・注意点を解説

株主優待とは?いつ買えばもらえる?初心者向けに仕組み・選び方・注意点を解説株主優待はいつ買えばもらえる?100株で大丈夫?権利落ちで損しない?初心者が迷いやすい疑問を、仕組み・選び方・注意点まで実例を交えてわかりやすく解説します。...

割安株と株主優待は、どちらか一方だけを見るのではなく、

企業の業績や財務を確認したうえで、自分にとってどれだけ魅力があるか

を考えることが大切です。

※本記事は株式投資における銘柄選びの一般的な考え方と、私自身の判断基準をまとめたものです。企業の業績、配当、株主優待などは変更される可能性がありますので、実際に投資する際は最新の企業IRをご確認ください。

※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

ABOUT ME
マッスルトレーダーベイマックス
プライム企業で34年勤務(設備系管理職) 筋トレをこよなく愛するサラリーマン 2010年から株式投資を開始し、配当と株主優待を中心に多数保有 年間1000万円の配当収入を目標に、仕事と投資の両立を実践中 元現場管理のリアルな視点で、投資にも「地に足の着いた考え方」を持ち込みたいと考えています 。 保有資格 FP3級