ベルーナ(9997)は本当に割安か?通販不振でも注目したい理由を冷静に分析
ベルーナ(9997)は、かつて通販事業で成長してきた企業ですが、
近年は楽天やAmazonなど大手ECとの競争激化もあり、
「通販はもう厳しいのでは」と見られがちな銘柄です。
実際、株価も長らくさえない状況が続いています。
一方で、決算内容や事業構造を詳しく見ていくと、
単なる通販企業として片付けてしまうのは早計だと感じました。
ベルーナは現在、ホテル・リゾート事業を中心とした非通販分野が着実に成長しており、
企業全体としての収益基盤は想像以上に底堅い印象があります。
本記事では、
ベルーナの直近業績、通販事業の現状、ホテル事業の成長性、
そして株価・配当・割安性を整理したうえで、
現時点でベルーナは「買いなのか」「見送りなのか」を冷静に検証します。
通販不振というイメージだけで判断せず、
中身を見たうえで投資判断をしたい方の参考になれば幸いです。
① ベルーナの事業構造を改めて整理
ベルーナ(9997)は、一般的には「通販会社」というイメージが強い企業ですね。
実際、衣料品や生活雑貨を中心とした通販事業で成長してきた歴史があります。
しかし現在のベルーナは、通販一辺倒の企業ではありません。
事業は大きく以下のように多角化されています。
-
通販事業(衣料・生活雑貨など)
-
データベース・プロパティ事業
-
ホテル・リゾート事業
-
その他事業(金融関連、飲食など)
この中で、かつて主力だった通販事業の比率は相対的に低下しています。
一方で、ホテル・リゾート事業や不動産関連事業が新たな収益源として存在感を高めているのが現在のベルーナの姿へと変わってきました。
そのため、ベルーナを評価する際に
「通販が厳しい=会社全体も厳しい」
と単純に結論づけてしまうと、実態を見誤る可能性があります。
まずは、
ベルーナはすでに“複数の事業で収益を生み出す企業構造へと変化している”
という点を押さえておく必要があります。
② 通販事業は逆風、それでも業績が大きく崩れていない理由
ベルーナの通販事業は、近年明らかに厳しい環境に置かれています。
背景には、次のような構造的な逆風があります。
-
楽天・Amazonなど大手ECとの競争激化
-
原材料費や物流費の上昇
-
広告宣伝費の高止まり
-
消費者の購買行動の変化
これらの影響により、通販事業単体で見ると
大きな成長を期待しにくい局面にあるのは事実です。
しかし注目すべきなのは、
こうした逆風にもかかわらず、ベルーナ全体の業績が大きく崩れていない点です。
その理由は、通販事業の不調を
他の事業が補完する構造がすでに出来上がっているためです。
特に、
-
利益率の異なる事業を複数持っていること
-
通販以外の事業が安定的にキャッシュを生み出していること
これらが、会社全体の業績を下支えしています。
つまり現在のベルーナは、
「通販が好調でなければ成り立たない会社」ではなく、
通販が伸び悩んでも耐えられる体質へと移行している段階と見ることができます。
市場では依然として
「通販不振=ネガティブ」という見方が先行しがちですが、
実態としては、リスクが分散された企業構造になっている点は評価すべきポイントです。
この“見えにくい安定感”が、
ベルーナの株価が割安水準に放置されている一因でもあり、
同時に投資判断の難しさにつながっていると感じます。
③ 成長の柱になりつつあるホテル・リゾート事業
近年のベルーナを語るうえで欠かせないのが、ホテル・リゾート事業の存在感の高まりです。
通販企業というイメージが強いベルーナですが、実際にはこの分野が着実に業績を支え、
将来の成長エンジンとしても期待される位置づけになっています。
ホテル・リゾート事業が伸びている背景には、次のような要因があります。
-
インバウンド需要の回復
-
国内旅行需要の底堅さ
-
高付加価値型の宿泊施設へのシフト
特に、単なる宿泊数の拡大ではなく、
単価を意識した運営に舵を切っている点は評価できるポイントです。
また、この事業は通販事業と比較して、
-
価格競争に巻き込まれにくい
-
ブランドや立地といった「資産価値」が残る
-
利益の振れ幅が相対的に読みやすい
といった特徴があります。
その結果、
通販事業が厳しい局面でも、
ホテル・リゾート事業が収益の下支え役として機能している状況が生まれています。
ベルーナを
「通販が伸びない会社」
と見るのではなく、
「通販から脱却し、観光・不動産を含む複合事業体へ移行しつつある企業」
と捉えると、見え方は大きく変わります。
この変化が市場に十分に織り込まれていないことが、
現在の株価水準や評価の低さにつながっている可能性があり、
投資家としては注目しておきたいポイントだと私は感じました。
④ 株価・指標から見たベルーナの評価
次に、ベルーナ(9997)を株価・指標の観点から確認します。
現在のベルーナは、市場から高い評価を受けている銘柄とは言い難く、
指標面では明確に“低評価ゾーン”に位置しています。
具体的には、
-
PERは同業他社と比較して低水準
-
PBRも1倍を下回る水準で推移
といった状況が続いています。
この背景には、
「通販事業が伸び悩んでいる企業」
というイメージが強く残っていることがあると考えられます。
一方で、③で見てきたように、
ベルーナはすでに
-
事業の多角化が進んでいる
-
ホテル・リゾート事業が利益を下支えしている
-
極端な業績悪化リスクは小さい
という状態にあります。
それにもかかわらず、
株価は依然として通販不振を強く織り込んだままであり、
事業構造の変化や安定性が十分に評価されていない印象を受けます。
もちろん、
高い成長性を期待する銘柄ではないため、
市場が積極的にプレミアムを付けにくい点は理解できます。
ただし、
-
財務面に大きな不安がない
-
安定的なキャッシュフローが見込める
-
新たな成長分野が存在する
これらを踏まえると、
現在の株価水準はやや慎重すぎる評価ではないかと感じます。
短期的な株価上昇を狙う局面ではありませんが、
中長期目線で見れば、
「大きく崩れにくい割安株」として一定の投資妙味がある水準だと考えています。
⑤ 配当と株主還元の考え方
ベルーナ(9997)は、いわゆる高成長株や高配当株に分類される銘柄ではありません。
ただし、株主還元に対して極端に消極的な企業でもないという点は押さえておきたいところです。
配当については、
-
派手な増配を繰り返すタイプではない
-
その一方で、急激な減配を行うような企業でもない
という、比較的安定志向の配当方針が見て取れます。
これは、
通販事業の不安定さを抱えつつも、
ホテル・リゾート事業や不動産関連事業など、
複数の収益源を持つ企業構造が背景にあると考えられます。
また、ベルーナは
「成長投資に全振りする企業」ではなく、
一定の利益を株主に還元しながら事業を継続していく姿勢が感じられます。
そのため、
-
短期間で配当が大きく伸びることを期待する
-
高利回りを最優先に狙う
といった投資スタイルには向きません。
一方で、
-
配当を受け取りながら長期で保有する
-
株価の大きな変動に振り回されたくない
こうした投資家にとっては、
一定の安心感を持って付き合える銘柄と言えます。
ベルーナは、
「配当だけで大きなリターンを狙う銘柄」ではなく、
事業の変化を見守りつつ、安定した還元を受け取る銘柄
として評価するのが現実的だと考えています。
⑥ 私の判断|まずは100株で様子を見たい銘柄
これまで整理してきたとおり、ベルーナ(9997)は
「通販が厳しい企業」という見方だけでは評価しきれない銘柄です。
-
通販事業は逆風にある
-
一方で、ホテル・リゾート事業が着実に成長している
-
事業の多角化により、会社全体の安定感は増している
-
株価指標は割安水準にあり、大きな下値不安は限定的
こうした点を総合すると、
現時点で強く買い向かう銘柄ではないものの、
投資対象として無視できない位置にあると判断しています。
そこで私のスタンスは、
いきなり大きく投資するのではなく、まずは100株だけ購入して様子を見る
というものです。
この判断にした理由は明確で、
-
通販事業の回復がまだ見通せないこと
-
成長ストーリーが市場に十分織り込まれるまで時間がかかりそうなこと
こうした不確実性が残っているためです。
一方で、
-
ホテル・リゾート事業が新たな収益の柱として定着しつつあること
-
業績が急激に悪化するリスクが低いこと
-
株価がすでに慎重すぎる水準まで調整されていること
これらを踏まえると、
100株であればリスクを抑えつつ、事業の変化を当事者として確認できる
と考えています。
今後、
-
決算でホテル事業の成長がより明確になった
-
通販事業の悪化に歯止めがかかった
-
株価が割安水準のまま安定して推移している
こうした条件が揃えば、
その時点で買い増しを検討する余地は十分にあると見ています。
ベルーナは、
短期で結果を求める銘柄ではありません。
だからこそ、
まずは小さく入り、数字と事業の変化を見ながら判断する
このスタンスが最も合っている銘柄だと考えています。
⑦ まとめ
ベルーナ(9997)は、
通販事業の停滞という分かりやすいネガティブ材料がある一方で、
事業の多角化やホテル・リゾート事業の成長によって、
企業全体としては想像以上に底堅い状況にあります。
現在の株価水準は、
そうした変化や安定性を十分に織り込んでいるとは言い難く、
割安感のある水準に放置されている銘柄という印象を受けます。
また、ベルーナは
-
株主優待があり
-
2026年についても減配の予定が示されていない
という点から、
保有中のストレスが比較的小さい銘柄でもあります。
そのため私としては、
いきなり大きな金額を投じるのではなく、
まずは100株を購入し、株主優待をもらいながら、
事業の変化と株価の推移をじっくり見守る
というスタンスが最も合っていると考えています。
株主優待を受け取りつつ、
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ホテル・リゾート事業の成長が数字として定着するか
-
通販事業の悪化に歯止めがかかるか
-
株価が時間をかけて評価を見直されていくか
これらを確認しながら、
株価上昇と将来的な評価修正を待つ
そんな向き合い方ができる銘柄です。
短期的な値上がりを狙う投資ではありませんが、
優待と配当を受け取りながら、
中長期で落ち着いて付き合える一社として、
今後も継続して注目していきたいと思います。
