株価が下がったときに「安くなったから買い増せば平均取得単価が下がる」と考える投資初心者は少なくありません。
いわゆる ナンピン買い ですが、正しく理解せずに繰り返すと、大きな損失につながる危険な行動になってしまいます。
もちろんナンピン買いにはメリットもあります。
業績が堅調な優良株を長期で保有する場合には、取得単価を引き下げる有効な手段になることもあります。
しかし、業績が悪化している銘柄や、根拠のない期待でナンピンを繰り返すと「落ちるナイフをつかむ」ような結果となり、取り返しがつかない損失になることも少なくありません。
本記事では、
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ナンピン買いとは何か
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ナンピン買いで失敗する人の特徴
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投資初心者が陥りやすい心理的なワナ
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失敗を避けるための考え方
をわかりやすく解説します。
「ナンピン買いは危険」という言葉の裏にある理由を知ることで、安易に繰り返すリスクを避けられるはずです。
① ナンピン買いとは?基本的な仕組みを理解する
ナンピン買いの基本
ナンピン買いとは、株価が下がったときに同じ銘柄を追加で購入し、平均取得単価を引き下げる投資手法 のことです。
たとえば1株1,000円で購入した株が800円に下がったときに追加購入すると、平均取得単価は下がり、株価が戻ったときに含み益が出やすくなります。
一見有効に見える理由
株価は上がったり下がったりを繰り返すため、「安くなったときに買い増しておけば、いつか戻ったときに利益を出しやすい」と考える人が多いです。
また、平均取得単価が下がれば「少しの値上がりでもプラスに転じやすい」という点も心理的な安心感につながります。
誤解されやすいポイント
しかし、ナンピン買いは「株価が必ず戻る」ことを前提にしています。
もし業績が悪化していたり、構造的に成長が見込めない業種だった場合、株価は戻らずにさらに下落を続けることもあります。
このとき、ナンピンを繰り返すと損失が拡大し、資金を拘束されるリスクが高まります。
私個人の意見
私も投資を始めた頃、ナンピン買いを「お得な買い増し」と勘違いしていた時期がありました。
しかし実際には、業績が傾いた銘柄にナンピンして平均取得単価は下がったが、合計の損失額は大きくした苦い経験があります。
ナンピンは単なる平均単価の調整ではなく、リスクを伴う判断であることを理解するのが第一歩だと感じています。
② ナンピン買いのメリットと成功するケース
優良株を長期保有する場合には有効
ナンピン買いは必ずしも「悪い手法」ではありません。
特に、業績が安定しており成長余地のある優良企業の株を長期保有する場合には、株価下落時に買い増すことで将来的なリターンを大きくできる可能性があります。
たとえば一時的な市況悪化や外部要因で株価が下がったときに買い増すことで、株価回復時のリターンを効率的に得られるのです。
配当株やインデックス投資で使うケース
配当を安定的に支払う企業や、S&P500などのインデックス投資を長期保有する場合、ナンピン買いは効果的です。
下落時に買い増すことで平均取得単価を下げつつ、配当利回りを高められるというメリットがあります。
また、インデックス投資では長期的に右肩上がりの成長が期待できるため、「下げ局面での積み増し=長期リターン強化」となりやすいです。
正しいナンピンと間違ったナンピンの違い
ナンピンが有効に働くのは「一時的な下落」であり、業績が健全で長期的に成長が見込める企業に限られます。
逆に、赤字続きの企業や構造不況にある業種でナンピンを繰り返しても、株価が戻らず損失を広げるだけです。
つまり、ナンピンの成否を分けるのは銘柄選定と根拠にあります。
私個人の意見
私は過去に、好業績で株価が右肩上がりの銘柄を長期保有しているときに一時的な下落(コロナショックなどで全体が大きく下落)でナンピンを行い、数か月後には株価が回復して含み益をさらに高められた成功体験があります。
一方で、根拠のないナンピンをした銘柄はほぼ失敗でした。
この経験から、「ナンピン=悪」ではなく、条件を満たせば有効。ただし銘柄選びを間違えると大失敗につながる」 ということを実感しています。
③ ナンピン買いで失敗する人の特徴
業績悪化や赤字企業でも買い増してしまう
ナンピン買いで最も危険なのは、企業の業績が悪化しているのに「株価が安いから」と買い増してしまうことです。
株価が下がるのには必ず理由があり、赤字転落や不祥事といった根本的な要因がある場合は、株価が戻らず下落を続ける可能性が高いです。
根拠なく「いつか戻る」と信じてしまう
投資初心者に多いのが、「株価はいつか必ず元に戻る」という思い込みです。
しかし、企業の競争力が低下していたり、業界全体が縮小傾向にある場合、株価は元の水準に戻らないことも珍しくありません。
根拠のない期待でナンピンを繰り返すのは、損失を拡大させる典型例です。
損切りができずに塩漬け株化する
ナンピンを続けると、含み損がどんどん膨らみ「損切り」がますます難しくなります。
結果として株を長期間手放せず、塩漬け株化して資金が動かせなくなるのです。
投資は資金の回転が重要であり、動かせない資金が増えるほど他の投資チャンスを逃すことになります。
私個人の意見
私も過去に「安いからそのうち戻るだろう」と思ってナンピンを繰り返し、結局塩漬け株になった経験があります。
特に根拠が弱い銘柄でのナンピンは、資金を縛り付けるだけでチャンスを逃すことにつながりました。
ナンピンは「戻る確信がある銘柄」以外ではやるべきではない──これが私の結論です!
④ 投資初心者が陥りやすい心理的なワナ
含み損を認めたくない「損失回避バイアス」
人は「利益の喜び」よりも「損失の苦痛」の方を強く感じる傾向があります。
この心理を 損失回避バイアス と呼びます。
投資初心者は含み損を確定させるのを嫌い、ナンピンして「まだ負けていない」と思い込むことで安心しようとします。
しかし、損失を先送りするだけで根本的な解決にはなりません。
平均取得単価にこだわる心理
「平均取得単価を下げれば助かる」という発想も、投資初心者が陥りやすいワナです。
確かに数字上は損失が小さく見えますが、企業価値そのものが落ちている場合には単なる帳尻合わせにすぎません。
本来は「その株に将来性があるかどうか」で判断すべきなのに、平均取得単価という“数字のマジック”にとらわれてしまうのです。
ナンピンで「安く買えた」と錯覚する危険性
株価が下がると「お得に買えた」と錯覚してしまうことがあります。
しかし、それは業績悪化や市場全体のトレンド変化の結果であることが多く、本質的にはリスクが高まっている状態です。
「安く買えた」ではなく「なぜ安くなっているのか」を考えなければ、失敗を繰り返す原因となります。
私個人の意見
私は過去に「損失を確定させたくない」という心理からナンピンを繰り返し、含み損を大きくしたことがあります。
後から振り返ると、心理的な錯覚に振り回されただけでした。
投資においては「冷静に企業価値を見極める」ことが一番大事であり、数字や感情にごまかされてはいけないと強く感じています。
⑤ ナンピン買いが危険になる具体的なケース
成長余地のない低迷業種に投資した場合
市場全体が縮小している業種では、株価が下がるのは必然です。
たとえば、国内需要が減少し続ける産業や、技術革新に取り残された業界は長期的に株価が戻りにくい傾向にあります。
こうした業種でナンピンを繰り返すと、資金を塩漬けにするだけで、他の成長分野への投資機会を失うことになります。
不祥事や構造不況にある企業に投資した場合
企業不祥事(粉飾決算・品質偽装など)が発覚した場合、株価は一時的に急落します。
このとき「安いから」とナンピンしても、信頼回復までに長い時間がかかる、あるいは回復せずに上場廃止になることもあります。
また、構造的に不況が続く業種(例えば衰退産業)は、株価が下がり続けるリスクが高く、ナンピンでの回復は望みにくいです。
減配・優待廃止に直面した株
高配当や株主優待を理由にナンピンする人も多いですが、業績悪化で減配や優待廃止が発表されると、株価はさらに下落します。
「利回りが高いから安心」と思ってナンピンを繰り返すのは危険です。
👉 この点については、私の過去記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

私個人の意見
私は過去に「配当があるから大丈夫」と思い、下落している銘柄にナンピンして痛い目を見ました。
減配や優待廃止の発表は、株価にとって致命的な下げ要因になります。
この経験から、「株価下落=買い場」ではなく、「下がる理由」を確認することが先」 と強く学びました。
⑥ 私個人の意見
私自身、ナンピン買いで何度も失敗した苦い経験があります。
株価が下がるたびに「平均取得単価を下げれば助かる」と思い込んで買い増しを続け、結局は含み損を大きく膨らませてしまったのです。
特に、根拠のない楽観や「いつか戻るだろう」という期待感に頼ったナンピンは、ほとんどが失敗でした。
一方で、業績が堅調で将来性のある企業に対して、下落局面で少額ずつ買い増したケースは結果的にプラスとなりました。
この経験から、私は次のように考えています。
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「安いから買う」ではなく「成長するから買う」 ことが大前提
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ナンピンをするなら「資金管理」と「銘柄選定」を徹底する
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失敗を避けるには「なぜ株価が下がっているのか」を冷静に分析することが不可欠
特に初心者の方には、**ナンピンは「保険」ではなく「諸刃の剣」**であることを理解してほしいと思います。
成功するケースもありますが、安易に繰り返すと資金を縛り付けて大きなチャンスを逃すリスクがあるのです。
⑦ まとめ|ナンピン買いは慎重に判断すべき
ナンピン買いは、株価下落時に平均取得単価を引き下げられる手法として一見有効に見えます。
しかし、その前提は「株価が将来的に戻ること」であり、業績悪化や構造的な衰退にある企業ではむしろ損失を拡大させる危険な行動です。
投資初心者が陥りやすいのは、
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「含み損を認めたくない」という心理
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「平均取得単価が下がったから大丈夫」という錯覚
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「安いから買える」という誤解
といった心理的ワナです。
一方で、業績が堅調な優良株やインデックス投資での積み増しのように、根拠がある場合には有効な戦略になることもあります。
要は 「なぜ株価が下がっているのか」を冷静に分析し、ナンピンをするかどうかを判断することが全て です。
私個人の意見
私はこれまでの経験から、ナンピンは投資初心者にとってリスクが高いと考えています。
成功するケースもある一方で、失敗すると資金を拘束し、次のチャンスを逃す可能性が大きいからです。
ナンピンを安易に使うのではなく、まずは銘柄選定と資金管理を徹底すること──これが投資で長く生き残るために欠かせない姿勢だと思います。